永瀬王座4連覇か、豊島九段初の奪取か――第70期王座戦五番勝負展望
永瀬拓矢王座(29)に豊島将之九段(32)が挑戦する第70期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)は第1局が8月31日に東京都港区「グランドプリンスホテル新高輪」で行われる。
永瀬王座は4連覇が、豊島九段は初の王座獲得がかかる。この顔合わせで行われるタイトル戦は2020年の叡王戦七番勝負以来2度目。五番勝負の勝敗と戦型を、データを基に予想してみた。
調子はわずかに挑戦者がまさるか
<五番勝負日程>
第1局 8月31日 東京都港区「グランドプリンスホテル新高輪」
第2局 9月13日 愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第3局 9月27日 京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」
第4局 10月4日 神奈川県秦野市「元湯陣屋」
第5局 10月12日 山梨県甲府市「常磐ホテル」
<永瀬王座の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)
6月9日 順位戦A級
対豊島九段 ○
6月15日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局
対藤井聡太棋聖 ●
6月27日 叡王戦予選
対丸山忠久九段 ○
7月4日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局
対藤井棋聖 ●
7月8日 順位戦A級
対稲葉陽八段 ●
7月17日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局
対藤井棋聖 ●
7月22日 棋王戦コナミグループ杯本戦
対伊藤匠五段 ●
8月1日 竜王戦決勝トーナメント
対山崎隆之八段 ●
8月7日 将棋日本シリーズ2回戦
対糸谷哲郎八段 ○
8月17日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選
対門倉啓太五段 ○
<豊島九段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)
6月9日 順位戦A級
対永瀬王座 ●
6月28、29日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局
対藤井聡太王位 ○
7月6日 王座戦本戦準決勝
対木村一基九段 ○
7月13、14日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局
対藤井王位 ●
7月20、21日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第3局
対藤井王位 ●
7月25日 王座戦挑戦者決定戦
対大橋貴洸六段 ○
7月28日 ALSOK杯王将戦2次予選
対梶浦宏孝七段 ○
8月4日 順位戦A級
対斎藤慎太郎八段 ○
8月12日 ALSOK杯王将戦2次予選
対山崎隆之八段 ○
8月24、25日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局
対藤井王位 ●
両者とも五冠を保持する藤井竜王(王位・叡王・王将・棋聖)との対戦が多く星は思うように伸びていない。
永瀬王座の直近10局は4勝6敗の負け越しで、途中5連敗を喫しているのが気がかりだ。豊島九段は直近6勝4敗と調子は可もなく不可もなしというところ。
調子の比較では豊島九段がややリードしているといえるが、今年6月の対戦では永瀬王座が勝っており大きな差はないとみていいだろう。
直接対決もほぼ互角、長期戦は必至か
両者の直接対決は永瀬王座の10勝9敗(2持将棋1千日手)とほぼ互角の星取りだ。2020年の叡王戦七番勝負では2度の持将棋と1度の千日手をはさみ七番勝負が第9局まで指される「超長期戦」となって、この時は豊島九段が4勝3敗でタイトルを奪取している。
戦型は最近の傾向からは永瀬王座が先手なら角換わりが本命で、次に相掛かりの可能性が高そう。
豊島九段が先手でも角換わりが中心で次に相掛かりを志向するだろうが、後手の永瀬王座が雁木などに変化することも考えられる。
総合的にはまったくの五分で、どの対局も長期戦のねじり合いになると思われる。