不安症とHSPの違いとは?共通点やセルフチェックについても解説
こんにちは、精神科医しょうです。
日常の中で、『不安』という感情を経験することは誰にでもありますよね。
面接や会議の前に不安になったり、緊張で胸がドキドキするのは普通の反応です。
しかし、その不安や緊張が過剰になりすぎるといずれ恐怖に発展し、心だけではなく身体にもさまざまな不調が起こる恐れがあります。
その状態を『不安症』といいます。
HSPの人はとても敏感な気質を持っているので、不安を感じやすいという特徴を持っています。
HSPが不安症になりやすいのか気になる人もいるのではないでしょうか?
今回は、HSPの人は不安症になりやすいのか、不安症の特徴や原因について詳しくご紹介します。
HSPは不安症になりやすい?
HSPは生まれつき繊細な気質を持っているため、物事に対してとても敏感で、他の人よりも不安を感じやすい傾向があります。
そのため、普通の人であれば気にならないようなことでも気になってしまい、時には過剰に反応してしまうこともあるでしょう。
私たち人間は、嫌なことがあると趣味に打ち込んだり誰かに話すことによって気分転換をしてストレスを和らげることができます。
しかし、HSPは真面目な性格ゆえに他人の顔色を必要以上にうかがい空気を読もうとするため、誰かに相談することで迷惑をかけてしまうのではないかと考え、悩みやストレスを心の内側に抱え込んでしまいがちです。
ストレスによって心に負荷がかかると神経が過敏になり、不安症のほかにもうつ病などの心の病を発症してしまう恐れがあります。
したがって、HSPは他の人よりも不安症になりやすいリスクを抱えているといえます。
HSPと不安症の違いは?
HSPはアーロン博士が定義したもともと生まれ持った特性のことで、人口の約15~20%がHSPの特性を持つと言われています。
外敵や危険から身を守るために働くSPS(感覚処理感受性)が、通常の人よりも過剰になってしまう人のことをHSPと呼んでいます。
眩しい光や大きな音、におい、環境の変化などを敏感に感じ取り、繊細で複雑な感受性を持っているのが特徴です。
一方不安症は、精神医学上で定義されており、『不安障害』または『不安神経症』とも呼ばれています。
不安症はHSPと共通点が多く、類似した特徴を持っています。
不安によって社会生活に支障が出ている状態が半年以上続いている場合、不安症の可能性が高いです。
不安症とは?
不安症とは、強い不安や恐怖によって心身に不調があらわれ、日常生活に支障をきたす病気です。
不安という感情は、危険を避けるために備わった機能のひとつであり悪いものではありません。
しかし、中には感情をコントロールできず、日常生活に支障が生じるほどの強い不安が出てしまうケースもあります。
大事な会議での発言がうまくできなかったり、緊張して上司とコミュニケーションが取れず職場で孤立してしまったり、不安になる場面を避けるために行動が制限されてしまうなど、大きな悩みを抱えている不安症の患者さんはたくさんいます。
WHOの調査によると、不安症の患者さんは国内で約1,000万人以上いるといわれています。
不安症の原因
不安症の原因は明らかになっていませんが、本来持っている神経質な性格や環境的なストレス、不安症の家族がいるなど、複数の因子が影響し合って発症するのではないかと考えられています。
人間関係のトラブルや災害などの環境の変化、過度なストレスにうまく対応することができない場合などに、不安症を発症することがあります。
不安症はよく見られる精神病のひとつで、症状が重たくなるとうつ病や睡眠障害などを引き起こします。
不安症の自己診断チェックリスト
不安症には以下のような特徴があります。
当てはまる項目が多い、またはその症状が長期にわたって続いている場合、不安症の可能性が高いでしょう。
・不安や恐怖によって強い苦痛を感じる
・日常生活や社会生活に支障が出るほどの不安を感じることがある
・不安状態が長期にわたって続いている、または繰り返している
・人前で話したり電話をかけることに不安を感じる
・人と一緒に飲食すると過剰に緊張してしまう
・人に見られながら作業や仕事をすると動悸がしたり、手足や体が震える
・人から注目を浴びることに不安を感じる
・苦手な場面を想像しただけで苦痛を感じ、それらの場面を避けてしまう
不安症になりやすい人の特徴
・神経質で心配性
他の人の動きや発言が気になったり、何も起きていないのにも関わらず些細なことに対して過剰に心配してしまう性格の人は不安症になりやすいといえます。
神経質で心配性の人は、そうでない人よりも不安や恐怖を感じやすく物事をネガティブに受け止めてしまう傾向があります。
何かされたわけでもないのに陰口を言われているように感じたり、悪いことが起こるのではないかと心配して心が不安定になることが多いのであれば、注意が必要です。
心配しすぎてマイナス思考になり、行動が制限されてしまうこともあるでしょう。
・自己肯定感が低く、内向的
自己肯定感が極端に低いと常に誰かと比べて落ち込んでしまい、「自分は他の人よりも劣っている」と思い込んで、人前に出ることに対して恐怖を感じるようになります。
また、内向的な性格の人は目立つ行動があまり好きではなく、なるべく控えめに行動する傾向があります。
大勢よりも少人数を好み、人に注目されたり知らない人とコミュニケーションを取ったりすることが苦手です。
そのため、そのような場面に遭遇すると緊張や不安からいつものように振る舞えなくなることがあります。
緊張や不安を感じる経験が積み重なることによって苦手意識が生まれ、不安症を発症するリスクが高まる恐れがあります。
・完璧主義で真面目
完璧主義の人は自分に対しての理想がとても高く、「完璧にできて当たり前」「他人には良いところだけを見せたい」という気持ちを持っていることが多いです。
そのため、失敗したときの反動が大きく、「恥ずかしい思いをした」「もう失敗をしたくない」という気持ちから不安症を発症してしまう可能性があります。
また、「悪いことが起こらないように完璧に対策しなければならない」という気持ちから強迫観念のようなものが生まれ、自分を追い詰めてしまう傾向があります。
次第に「完璧でなければならない」という基準がどんどん上がっていき、何をしても安心できないという悪循環に陥ってしまいがちです。
・不安や緊張がもともと出やすい性格
もともと性格的に、不安や緊張が強く出やすい人もいます。
お店の店員とちょっとした会話を交わすだけでドキドキしたり、電話で職場の人やお客さんと話すと緊張したり、美容院に行くのも緊張するという人もいるでしょう。
人と会ったときにうまく会話ができず発汗や震えが起きたり、不安感から相手の目を見れないなど、他の人よりも緊張が強く出やすい人は不安症になるリスクがとても高いです。
不安や緊張が出やすい人は、生真面目な人に多く、他人からどう思われているのか気にしてしまうことが多いのではないでしょうか。
緊張によって声や手の震え、顔の火照りなどがあらわれ、そういった身体の状態を変に思われているのではないかと思うようになり、不安症を引き起こす可能性があります。
まとめ
今回は、不安症になりやすい人の特徴や原因、HSPとの違いについてご紹介しました。
HSPは生まれつき繊細な気質を持っているので、周りの環境や職場での人間関係などあらゆることに対して敏感に反応しストレスを溜め込みやすいので、普通の人よりも不安症のリスクが高いといえます。
不安症の自覚症状がある場合、「早く治したい、克服したい」と思うかもしれません。
しかし、自分自身で不安をコントロールしようとしてもなかなか難しく、「気にしないようにしよう」とかえって神経が過敏になり、症状が悪化してしまう可能性があります。
そうなる前に、専門のカウンセリングや心療内科、精神科などで診てもらい、適切な治療を受けることが必要になります。
つらい場合はひとりで溜め込まずに誰かに相談するか、または医療機関に相談してみてくださいね。
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