クリスマスとサンタと「鬼畜」:サンタクロースが来ない家と子どもの格差
クリスマスは、格差が最も大きく表れる。素敵なクリスマス物語をつむぐ親。力が足りない親。そして「鬼畜」になる親も。
■クリスマスの朝
クリスマスの朝に、悲しいニュースが入った。
■クリスマスの子ども格差:サンタクロースが来ない家
クリスマスは、格差が最も大きく表れるときだ。「クリスマスの25日未明」。恵まれた家庭環境なら、子どもの枕元にサンタからのプレゼントが置いてある時間だ。
毎年高価なプレゼントをもらう子どももいる。プレゼントだけではなく、工夫を凝らしたクリスマスパーティーや、夢があふれるサンタ物語が繰り広げられる家庭も多くある。サンタから子ども宛の手紙が届く家。庭にサンタの足跡が残っている家。サンタのために子どもが用意したミルクとキャンディーが、ちゃんとなくなっている家。
子どもと一緒に飾るクリスマスツリー、きれいなイルミネーション、テーブルに並ぶご馳走。みんなで歌う「きよしこの夜」。そして毎年必ずやって来て、子どもが欲しがっていたプレゼントを持ってきてくれるサンタクロース。親はなかなか大変だけれども、それでも親にとってもクリスマスは楽しい。子どもの笑顔は、すばらしい。
その一方で、サンタが来ない家もある。クリスマスのない家がある。季節の行事が何もない家もある。お金だけの問題ではない。焼き鳥一本と100円ケーキでもクリスマスパーティーはできる。折り紙で作ったツリーだって、親子で楽しく作れば、ほほえましい。だが、お金がなくてもそんなことができるのは、とても心に余裕がある親だけだろう。
調査によれば、シングルマザーの3割が、「クリスマスがなければいいのに」と感じている。さらに、1割のシングルマザーが「サンタは来ない」と子どもに告げたことがある。もちろん、これはシングルマザーだけの問題ではない。両親がいても、同じ事情の家庭はたくさんあるだろう。
■「鬼畜」
今年の24日クリスマスイブの夜、テレビ朝日系列で放送されたドラマ『鬼畜』(原作:松本清張)は、実話から生まれた子殺しと虐待の物語だ。
よりにもよって、クリスマスイブに放送しなくてもと感じた人もいたようだ(イブに松本清張の衝撃作を放送するテレビ朝日:ツイッターモーメント)。
物語も、実話も、設定は同じだ。男が、妾(めかけ)に3人の子を産ませる。だが、お金が続かなくなる。そこで、お妾さんは、3人の子を連れて男の家へ。そして、子どもだけを置いて去っていく。男の妻には子どもはなく、妾の子との生活が始まる。そこで、妻は「鬼畜」となり、夫婦での虐待と子殺しが始まる。
子どもは見知らぬ変質者よりも親に殺されている。だが多くの場合、虐待死させた親も、子どもが息をしなくなるとあわてて119番している。物語の夫婦も、苦悩している。物語りも現実も、もし何かが違っていたら、虐待も子殺しも、起きていなかったかもしれない。物語では、それでも親をしたう子どもがいじらしい。
虐待する親、子どもを殺す親を、鬼と罵ることはたやすい。だが、犯罪とは縁遠かったはずの親、悪人ではなったはずの親も、ときに「鬼畜」になる。
子育ての最大の責任者は両親だが、社会にも子育ての責任があるはずだ。こんな犯罪を防ぐためにも、親と子を、社会全体で支援したい。