コロナ禍パソコン需要急増、過去10年で最大の伸び アップル過去最高更新
シンガポールに本部を置く調査会社カナリスがまとめたレポートによると、今年7~9月期の世界パソコン出荷台数は前年同期比12.7%増の7920万台だった。
世界の多くの国が新型コロナウイルスの第2波に見舞われ、リモートワークへの移行が進んだ。これによりパソコン需要が急増し、伸び率は過去10年で最大となった。
今年初めに停滞していたパソコン市場は4〜6月期に持ち直した。その勢いは7~9月期も続き、前年実績を上回るに至ったとカナリスは報告している。
パソコンの種類別で見ると、ノートパソコンの出荷台数が6400万台で全体の8割を占めた。この台数はこれまでの最高である2011年10〜12月期の6460万台に迫ったという。
ノートパソコンと、モバイルワークステーションと呼ばれる高性能ノートパソコンを合わせた出荷台数は同28.3%増加した。一方で、デスクトップパソコンは同26%減少した。
アップルとエイサーの伸び、トップ3上回る
メーカー別出荷台数の上位5社は、中国レノボ・グループ、米HP、米デル・テクノロジーズ、米アップル、台湾・宏碁(エイサー)の順。
このうち、首位レノボの台数は1927万台で、1900万台の大台を突破。前年同期比伸び率も11.4%と好調だった。HPは同11.9%増の1866万台で2位を確保した。一方、デルは同0.5%減の1198万9000台だった。
また、4位のアップルは同13.2%増の637万2000台、5位のエイサーは同15%増の563万8000台。この2社の伸び率は上位3社を上回った。
7〜9月も好調だったアップル
これに先立ち米調査会社のIDCが公表していた今年4〜6月期の世界パソコン出荷台数は、前年同期比11.2%増の7230万台。IDCも在宅勤務や遠隔学習の広がりで、需要が急増したと報告している。
IDCによると、4〜6月期は当初物流が停滞したものの、その後、感染拡大前の状態に戻った。メーカーも生産を拡大し、需要に応えたという。また、4〜6月期はアップルの出荷台数が同36%増となり、上位5社の中で最も伸びた。
アップルの今年7〜9月期の決算資料を見ると、パソコン「Mac」の売上高は前年同期比29%増の90億3200万ドル(約9500億円)となり、四半期として過去最高を更新した。
タブレット端末「iPad」も同46%増の67億9700万ドル(約7100億円)と大きく伸びた。
アプリや音楽、動画の配信などの「サービス」の売上高が同16%増の145億4900万ドル(約1兆5300億円)で、こちらも過去最高を更新した。
パソコン需要は今後も増加
カナリスは、世界のパソコン需要は今後も増加するとみている。新型コロナウイルスはいまだ終息を見ない。
こうした中、人々の働き方や学習・共同作業の方法が変化しており、パソコンをはじめとする電子機器が重要になっていくとしている。
また、パソコンのみにとどまらず、リモートワーク用のアクセサリー機器や、新たなサービス、サブスクリプション型のサービスなども伸びると予測している。
カナリスによると、パソコンメーカーは今年4〜9月、法人市場への対応に注力してきた。年末商戦のある10〜12月期は消費者需要への対応に追われると予測している。
- (参考・関連記事)「「在宅」でパソコン人気復活 、利用・販売ともに大幅増 (小久保重信) -Yahoo!ニュース個人」
- (このコラムは「JBpress」2020年10月13日号に掲載された記事をもとにその後最新情報を加えて再編集したものです)