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『マツコ会議』でも話題騒然! 猫のキキちゃんはなぜ「待て」「お座り」ができるのか?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより

『マツコ会議』『行列のできる法律相談所』など、多数のメディアに出演している猫のキキちゃんは、食事のときに「待て」ができます。人気のInstagramにも投稿されています。犬なら「待て」ができるのは、一般的ですが、なぜ、猫のキキちゃんができるのか? 考えてみましょう。

【画像 キキちゃんは3匹の柴犬と並んでいます】

Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより
Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより

アメリカンショートヘアの「キキ」ちゃんは、柴犬のワンコと一直線に並び「待て」をしています。

左から

・アメリカンショートヘアの猫の「キキ」ちゃん

・黒柴の「いぶき」ちゃん

・白柴の「さき」ちゃん

・豆柴の「はづき」ちゃん

です。まるで4匹のワンコのように(実際は、柴犬3匹+猫1匹)、飼い主さんの合図を待っています。

【画像 「ヨシ」の合図でキキちゃんたちは「いただきます」】

Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより
Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより

「ヨシ」の合図で、一斉に、ワンコとニャンコは、食べ始めました。普通の猫は、そんなに一生懸命食べない子も多いですね。遊びながら、食べる子も珍しくありません。でもキキちゃんは、隣りのワンコと同じように夢中で食べています。Instagramの他の投稿を見ると、キキちゃんは、「待て」だけではなく、「お座り」も「来い」もできます。

なぜ、猫のキキちゃんは「待て」ができるのでしょうか?

猫は、気ままであまり人の言うことを聞かないという印象がありますね。

でも、キキちゃんは、柴犬の子と同じように「待て」ができて、「ヨシ」で一心不乱に食べています。自分が猫だということを知らないように見えます。それは鏡像認知が関係しています。猫や犬には、鏡像認知がないと言われています。

鏡像認知とは

鏡像認知とは、簡単にいえば、鏡に映った自分を見て、それが自分だと認識ができることです。

犬や猫は、鏡に自分が映ってもそれが自分だとわからないのです。筆者の病院の入り口が、ガラスになっているのですが、犬は自分の姿が映っているのに、自分ではなく、他の犬がいると思ってワンワンと吠える子もいます。もちろん、家に鏡があり、初めは不思議そうに映っている犬を見ているのですが、ニオイでだんだんと理解をする子もいます。それはニオイでわかるだけで、鏡を見てわかっているのではないのです。それは猫も同じです。

つまり猫のキキちゃんは、鏡を見ても自分が猫だということは理解していません。キキちゃんが見える犬を見て、自分も同じ犬なのでは、と考えているのでしょう。

鏡像認知ができる動物とは?

霊長類、イルカ、アジアゾウなどは鏡に映った自分を自分だとわかります。つまり、これらの動物は、鏡像認知ができるのです。

実験方法としては、チンパンジーに麻酔をして、眉や耳のあたりに赤い染料をつけます。そして、チンパンジーに鏡を見せる前は,赤い染料部分がつけられた部分をほとんど気にせず触れません。一方、鏡を見せた後では、赤い塗料が付いた部分を頻繁に触れます。このような実験から、チンパンジーなどは、鏡像認知があると考えられます。

キキちゃんは、生後2カ月で家に来る

キキちゃんは、まだ脳の発達段階の生後2カ月で、柴犬の3匹のところに来ています。そして、柴犬のワンコたちが、キキちゃんに優しいです。家に来てから、柴犬のワンコたちと寝るときもキキちゃんと一緒にいます。キキちゃんは、それが心地よかったので、同じように行動できるようになったのでしょう。キキちゃんは、ワンコと同じように行動しようと思いそれができるのですから、猫の中でも知能が高いのでしょうね。

動物が人と一緒に住むということで、元来、猫になかった不思議な行動もします。猫は、単独行動の動物なのですが、家族として群れの一員として生きていく子もいます。それがペット化(家畜化)ということなのです。

まとめ

【画像 ソファの上に4匹のワンコのように並んでいます】

Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより
Instagram  saki.ibuki.hazukiさんより

猫や犬は、鏡像認知ができないことのメリットはあります。猫や犬が、鏡を見て自分が老いたとなげくこともありません。そして、癌ができて、目や鼻が腫れて「かわいく」ないと思うこともありません(飼い主は、愛犬や愛猫がこんな顔になって、昔はもっと男前、美人だったのに、と思い嘆きます)。それはいい点ですね。

キキちゃんは、自分が猫だろうと、犬だろうと関係なく、家族の一員として、柴犬のワンコと一緒に生きていきたいのでしょうね。そんな姿を見るだけで、マツコさんだけでなく、誰もが癒されて和みますね。

飼い主さんのInstagramやYouTubeでは、「待て」の動画も見られます。4匹のニャンコとワンコの仲睦まじい姿がたくさん投稿されています。

画像提供:saki.ibuki.hazukiさん

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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