オートバイのあれこれ『ヤマハの提案「バイクでトレッキングしない?」』
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01613295/title-1703501612990.jpeg?exp=10800)
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今宵は『ヤマハの提案「バイクでトレッキングしない?」』をテーマにお話ししようと思います。
皆さんは、「トレールバイク」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
トレールバイクとは、字のごとく“トレール(自然の小道)を行くバイク”のこと。
噛み砕いて言えば、獣道や未舗装の林道を走るためのバイクですね。
![▲オフロードファンには定番の林道ツーリング](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01613295/image-1703501823818.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
今ではすっかり「林道ツーリング」が定着し、それに合わせたトレールモデル(オフロードバイク)もたくさん世に出回っているわけですが、実は1970年代以前の日本には、そういうバイクの楽しみ方も、トレールバイクというもの自体も存在していませんでした。
もっと言うと、“オンロード/オフロード”という概念すら無かったのです。
そのようななか、“バイクで自然の中に分け入る”という遊び方を最初に提案したのが、ヤマハでした。
1960年代半ばのアメリカ西海岸で流行していた“荒野や原っぱを自由に走り回る遊び”を、日本のバイク市場へ持ち込んだのです。
そして、その新たな遊び方の提案とともに生み出されたのが、『DT-1』というバイクでした。
![▲DT-1(1968)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01613295/image-1703496649817.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
DT-1は、モトクロッサー(オフロードレース用のバイク)を参考にした軽量な車体に、当時としては異例のストローク量を持つサスペンション、専用に新開発された太いブロックタイヤなどが標準装備されていました。
未だかつて無いオフロード走行前提の「トレールバイク」として発売されたDT-1は、アメリカでも日本においても大きな話題を呼び、瞬く間に大人気モデルとなったのでした。
そしてここから、ヤマハは「ヤマハトレール」という独自のコンセプトを掲げ、DT-1の血統を紡いでいくことになります。
1980年(昭和55年)には『XT250』、そして85年にはかの有名な『セロー』をリリース。
![▲XT250(1980)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01613295/image-1703496757335.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
セローは、2020年まで生産され続けロングセラーモデルとなりましたね。
姿形こそ異なれど、XT250やセローはDT-1の血統を確かに受け継ぐ存在だったと言えるでしょう。
DT-1という全く新しい世界観を持つバイクを生み出したこともそうですが、何より、“バイクを自然の中で楽しむ遊び方”を日本に広く普及させたことは、ヤマハの大き過ぎる偉業だと言って差し支えありません。
![▲2020年に登場した最終型のセロー](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/rotti/article/01613295/image-1703496787127.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)