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日仏名門ホテルが紡ぐ「ル・ロワイヤル・モンソー ラッフルズ パリ ウィーク」とは?

東龍グルメジャーナリスト

名門ホテル

日本で伝統ある名門ホテルと言えば、どこを思い浮かべるでしょうか。

人によって名門の捉え方は異なるかも知れませんが、1890年に開業し最も歴史が長い帝国ホテル 東京を挙げても異論はないかと思います。何度か立て替えを行いながらも、同じホテルとしてブランドも人もノウハウも受け継がれており、2015年で125周年を迎える帝国ホテルは、まさに日本のホテルの歴史そのものであると言ってもよいでしょう。

では、フランスの名門ホテルと言えばどこを思い受かべるでしょうか。

フランスには伝統あるホテルがたくさんありますが、ル・ロワイヤル・モンソー ラッフルズ パリを挙げたいと思います。1928年に前身ル・ロワイヤル・モンソーとして開業した最高級老舗ホテルで、フランスを代表するデザイナーであるフィリップ・スタルク氏が2年半もかけて改装して2010年に10月にリニューアルオープンしたばかりです。2013年6月、パリ市内では6軒目となる最上級ランクのホテル「パラス」に認定されたり、フランス料理レストラン「ラ キュイジーヌ」がミシュランガイド1つ星や2014年度『ヴィレジアチュール賞 ヨーロッパ最高の朝食 部門』グランプリを獲得したり、パティシエ界のピカソと称されるピエール・エルメ氏がパティシエに就任したりと、輝かしいばかりでしょう。

1週間限定のコラボレーション

ラ ブラスリー
ラ ブラスリー

2015年1月19日から25日までの一週間、ル・ロワイヤル・モンソー ラッフルズ パリ総料理長ローラン・アンドレ氏を招聘し、帝国ホテル 東京の「ラ ブラスリー」で「ル・ロワイヤル・モンソー ラッフルズ パリ ウィーク」が開催されており、特別メニューが提供されています。ラ ブラスリー は1983年にオープンし、歴代料理長らによって生み出されてきた帝国ホテルの味を継承するレストランです。

この日仏名門ホテルの豪華なコラボレーションはどういったフェアなのでしょうか。

川カマスのクネルとデザートがおすすめ

ル・ロワイヤル・モンソー・ラッフルズ パリのセールスマネージャー佐藤直也氏は「フレンチでもイタリアンでもミシュランガイドで星を獲得している当ホテルの味を、日本のお客さまにもお届けしたい」と意気込みを語り、「お客さまにご満足していただけているので、今回で3回目のフェアを迎える」と、日仏名門ホテルのコラボレーションが定番になりつつあるとします。

おすすめの料理に関して訊くと「川カマスのクネルを是非食べていただきたい」として、理由を問うと「練り物は日本では高級感はないが、アンドレ総料理長が故郷リヨンの素晴らしさを味わっていただきたいと考え、オマール海老と合わせて最高の一皿に仕上げた」と答えます。

確かに、「クネル」=「練り物」は庶民的なイメージがありますが、オマール海老と合わせて豪華に仕上げたというのでしたら、どのようなものか興味を引かれるでしょう。

デザートについて尋ねると「動画を撮影したくなるような、驚きの一品をご用意している。味はもちろん、目でも十分にお楽しみいただきたい」と最後まで目が離せないと言います。

年を重ねるごとに素晴らしいフェアへ

そもそも、この日仏名門ホテルはどういったつながりがあったのでしょう。そう言えば、帝国ホテルはハワイの名門ホテル「ハレクラニ」と提携していますが、これと同じようにホテルを挙げての結びつきがあるのでしょうか。

帝国ホテル 東京 レストラン 部長 岡田泰史氏は「佐藤氏はもともと帝国ホテル出身。ル・ロワイヤル・モンソー・ラッフルズ パリは名門ホテルだが、日本では残念ながらホテル通の方にだけしか知られていない。日本のお客さまにもよさを知ってもらいたいということで、企画が持ち上がった」と経緯を話します。さらには、「名門ホテルとのコラボレーションはスタッフにもよい刺激になっている。そのため年を重ねるごとに素晴らしいフェアとなっている」と自信を持ちます。

では、佐藤氏や岡田氏が自信を持って勧めるメニューの一部をご紹介しましょう。

アミューズ ブーシュ

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ニシンのマリネ入りのトマトソースをサクサクのパイ生地に載せています。始まりは、クラシックで気軽な滑り出し。

フランス産川カマスのクネル ほうれん草 ソースオマールディーヌ

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アンドレ氏がリヨンの味を再現したいということで、作ったクネルです。オマールのハサミとオマール海老のソースで、くっきりとした旨味を感じられる一皿になっています。

鶏の胸肉 ブイヨンで火入れをした胸肉 小海老 ニョッキパリジェンヌのグラタン ソース アルビュフェラ

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低温で2時間じっくりと火入れした胸肉に、濃厚なソース アルビュフェラがよく合います。シュー生地を絞ってチーズをかけて作った、俵型のニョッキパリジェンヌは、穏やかな味で胸肉にあった添え物です。

びっくりたまごチョコ ブルボンヴァニラのグラス ヘーゼルナッツ ピスタチオとアーモンドのキャラメリゼ 温かいチョコレートソース

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温かいチョコレートソースをかけると、卵型チョコレートが溶け出して、中から卵型のグラスが現れます。チョコレートとバニラとナッツの味わいが調和しており、食感には起伏があります。冷温のコントラストも刺激的でしょう。普段の伝統的なラ ブラスリーとは違ったデザートです。

ヴァニラとチョコレートのシュー

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小さいながらも、背が高いシュー。バニラとチョコレートの香りは軽めで、アーモンドクラッシュが小気味いいです。

宮殿の料理を味わう

2010年、フランスでは、これまでホテルの最高級ランクであった5つ星より上となる「パラス」を新しく設けました。このフランス語で「宮殿」を意味するパラスは、5つ星を獲得していることに加えて、歴史や立地、規模や設備、サービスはもちろん、ミシュランガイドで星を獲得するくらいのレストランを有していることなど、多くの項目が厳しく審査されるので獲得することが非常に難しいとされています。

帝国ホテルの偉大なる料理人たちの味を継承するラ ブラスリーで、このフランス<宮殿>の料理を味わうという貴重な体験ができるのは、この一週間だけです。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考

ラ ブラスリーについてはレストラン図鑑にも詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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