東京2020オリンピックの競歩とマラソン 暑さを避けた札幌の記録的な暑さと台風10号の接近
男子20キロ競歩
メダルラッシュの東京2020オリンピックですが、8月5日に札幌で行われた男子20キロ競歩でも、池田向希選手が銀メダル、山西利和選手が銅メダルを獲得しました。
東京2020オリンピックの競歩とマラソンは、当初、東京で行う予定でした(表)。
【追記(8月7日11時00分)】
女子マラソンは、札幌の暑さを理由に競技前日の20時頃に、6時スタートに変更となっています。
このスタート11時間前の前例がない前倒しの変更は暑さ回避を歓迎する選手がいる一方、時間調整に苦労する選手が続出しました。
男子マラソンについては、現時点では、変更はありません。
しかし、令和元年(2019年)の9月下旬から10月上旬にかけてカタールのドーハで開催された陸上世界選手権では、暑さの中、棄権する選手が続出しています。
このため、国際オリンピック委員会は日本の組織委員会に対して、東京の猛暑に関する懸念が伝えられ、開催地が東京から札幌に変更になりました。
東京と札幌の最高気温
札幌のほうが東京より暑さが厳しくないとしての競歩・マラソン競技の移転でしたが、令和3年(2021年)夏の北海道は、記録的な暑さに見舞われています。
例年であれば、東日本から西日本に張り出してくる太平洋高気圧が、北海道方向に張り出してきたためです(図1)。
札幌では、7月後半から最高気温が30度以上の真夏日の日が続くようになり、東京の最高気温より高い日が相次いでいます(図2)。
これまでの東京2020オリンピック期間の札幌の最高気温は、ほぼ東京の最高気温と同じです。
そして、この傾向は、閉会式が行われる8月8日まで続く見込みです。
結果論から言えば、札幌も東京並みの気温の中で競歩とマラソン競技が行われることになります。
ただ、東京2020オリンピックの最終日、札幌で男子マラソンが行われる8月8日には傘マーク(雨)がついています(図3)。
気温が高い中での雨、南から暖かくて湿った空気の流入による雨ですので、過酷なレースになるかもしれません。
東京並みの暑さの中、選手の奮闘に期待です。
日本付近は台風だらけ
8月5日15時に沖縄近海で台風10号が発生し、同時刻に日本の東海上で台風11号が発生しました。
数年に1回くらい発生している「双子の台風」です(図4)。
また、南シナ海で発生した台風9号が接近してきますので、日本付近には3つの台風が並んでいます(図5)。
これらの台風の影響で、日本列島は雨が降りやすくなっているのですが、気がかりなのは台風10号です(図6)。
雨と風の分布予想によると、東京2020オリンピックの閉会式が行われる8月8日は、台風10号の接近により、雨風ともに強くなるという予想です(図7)。
屋外で長時間にわたって競技する競歩とマラソンの札幌開催は、気温の面から言えば変わらなかったということができますが、雨や風の面から言えば、札幌開催の方が良かったと言えそうです。
過去に例を見ない、様々なできごとがある中で開催されている東京2020オリンピックです。
大会を遂行するために、最後まで努力を続けている多くの関係者、多くの感動を届けてくれる多くの選手に、台風10号という最後の試練を乗り切れると信じてエールを送ります。
図1、図5の出典;気象庁ホームページ。
図2の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料を基に筆者作成。
図3、図4、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。
表の出典:筆者作成。