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ドジャースが鈴木誠也のトレードを打診すれば、カブスは応じるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
鈴木誠也(シカゴ・カブス)May 6, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースは、FAになったテオスカー・ヘルナンデスを呼び戻そうとしているようだが、今のところ、実現はしていない。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールは、ドジャースが他の選択肢も検討、と報じ、テオに代わる右打者として、ハソン・キム(FA)、ルイス・ロバートJr.(シカゴ・ホワイトソックス)、鈴木誠也(シカゴ・カブス)の名前を挙げている。

 ロバートJr.と鈴木は、テオと同じ外野手だ。キムの場合は、キムが遊撃を守ってギャビン・ラックスと併殺デュオを形成し、ムーキー・ベッツは外野、あるいは、キムが遊撃、ベッツが二塁、ラックスは外野、というシナリオだと思われる。

 FAのキムと違い、ロバートJr.と鈴木は、ドジャースが欲しがっても――現時点でどれくらい欲しているのかは不明だが――相手の球団がトレードに応じなければ、手に入れることはできない。

 再建中のホワイトソックスは、数年後に台頭が期待できる若手との交換なら、その人数は1人とは限らないものの、ロバートJr.を手放すはずだ。一方、カブスは、来シーズンのポストシーズン進出をめざしている。今オフにヒューストン・アストロズから獲得したカイル・タッカーは、このままいくと、来シーズンの終了後にFAとなる。

 来シーズンのカブスにとって、鈴木は、不可欠な打者だろう。2人の左打者、タッカーとマイケル・ブッシュの間に位置し、ラインナップの中軸に並びそうだ。鈴木に代わるDHの候補は、見当たらない。プロスペクトのマット・ショウが三塁を守る予定なので、三塁に加えてDHにも実績のない若手を抜擢、ということは考えにくい。一塁のブッシュとセンターのピート・クロウ-アームストロングも、来シーズンは実質2年目だ。

 また、先発投手が不足していれば、鈴木との交換もあり得なくはないものの、カブスのローテーションには、2024年に130イニング以上を投げて防御率3.75未満の4人、今永昇太ジャスティン・スティールジェイムソン・タイオンハビア・アサッドが並ぶ。アサッド以外の防御率は、3.30を下回った。

 彼らに次ぐ5人目は、2年2900万ドル(2025~26年)の契約で迎え入れたマシュー・ボイドが有力だ。他にも、ジョーダン・ウィックスベン・ブラウンコディ・ポティートらがいる。ポティートは、今オフ、外野手&一塁手のコディ・ベリンジャーとのトレードで、ニューヨーク・ヤンキースから加入した(「元MVPの29歳に500万ドルをつけたトレードで交換に得たのは…30歳で通算83.0イニングの投手」)。

 ドジャースが鈴木を手に入れようとして、先発投手の誰か、ダスティン・メイボビー・ミラーランドン・ナックギャビン・ストーンを交換要員とするトレードを打診しても、カブスが鈴木を手放す可能性は高くない気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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