子育て支援も現役世代の負担!子育て支援金負担額、会社員や公務員の負担が自営業者や年金受給者を上回る
こども家庭庁は、少子化対策の財源確保のため公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」の年収別徴収額の試算について、9日に会社員ら被用者保険について公表したのに引き続き、11日に自営業者や前期高齢者等が入る国民健康保険(国保)についても、加入者1人あたりの年収別の試算額を示しました。
こども家庭庁による試算結果をまとめたのが下表です。
この比較表を見ますと、同じ年収でも会社員や公務員等被用者の方が国保加入者よりも負担額が大きくなっていることが分かります。これは国保の場合、子育て支援金では子ども分は支払いが免除されることが影響しているのだと思われます。
しかも、被用者保険の場合、労働者と同額の企業負担分がありますから、実質的にはより大きな負担が課されていることになります。
加藤鮎子こども政策相によれば、「国保の場合、9割の世帯が年収400万円未満だ」とのことです。これは恐らく年金受給者の影響でしょう。実際、表2によれば、主に年金受給世代に相当する前期高齢者は全体の41%弱となっています。
資産保有額にかかわらず所得の低い年金所得者が多いということなので、厚生労働省が好んで使う「応能負担」を反映した結果なのでしょうが、結局、子育て支援も現役世代の負担となって、なかなか国民の理解を得るのは難しいのではないでしょうか?
元々は全世代で子育てを支援するとして、公的医療保険料徴収の仕組みを利用したはずですが、公的医療保険もそもそも現役世代から高齢世代への支援で成り立っているのですから、結局、負担の多くは現役世代が負うこととなっていることが分かります。
厚労省が好んで使うフレーズには、先に挙げた「応能負担」の他に、「世代間の扶け合い(世代間扶養)」があります。
子育て支援に関しては、高齢世代から子育て世代への支援という世代間の扶け合いがあって然るべきだと思いますが、読者のみなさまはいかがお考えでしょうか?