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「討論会でバイデン氏がトランプ氏に勝つのは不可能」ケネディ候補が明言 そのワケとは? 米大統領選

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 「(討論会では)トランプ氏が勝つと予想している」

 無所属候補として米大統領選に出馬している弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏が、イギリスのテレビショーホスト、ピアーズ・モーガン氏のインタビューに対し、こう明言している。

 米国時間の本日6月27日、11月の大統領選に向けた第一回目の大統領候補討論会がCNNテレビの主催で行われる。ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ氏の両氏による討論会となるが、ケネディ氏は出席資格を得られなかった。

近代アメリカ史上最高の討論者

 ケネディ氏はなぜ、トランプ氏が討論会で勝つと考えているのか? その理由について、同氏はこう述べている。

「ドナルド・トランプが、おそらくリンカーン・ダグラス論争以来、近代アメリカ史上最高の討論者としての賞を獲得できると思うからだ」

 リンカーン・ダグラス論争とは、1858年、イリノイ州の連邦上院議員選で、当時共和党の新人だったリンカーン元大統領と民主党上院議員だったスティーブン・ダグラス氏が、7回にわたる討論会を行い、奴隷制をめぐって議論を戦わせたことを指す。ダグラス氏は奴隷制をとるか否かは州政府が決める住民主権を主張、一方、リンカーン元大統領は奴隷制が拡大する動きに反対した。リンカーン元大統領はこの選挙では敗れたものの、その主張は広く報道され、討論の原稿を編集した本も売れたことから、その名は一躍全米に轟き、1860年の大統領選では共和党大統領候補者の指名を受けて当選、大統領の座を射止めた。

でっち上げた事実を売り込む能力

 ケネディ氏はまた、2016年の共和党予備選時の討論会で、トランプ氏が他の候補者たちを圧倒したことや、でっち上げた事実を売り込む能力があることを理由に、トランプ氏が勝つと予想している。

「彼は16人の共和党候補者たちを圧倒していた。彼には並外れたテクニックがあり、見ていて面白い。彼は物事を事実としてでっち上げ、それを絶対的に信じ、それを事実としてでっち上げ、売り込む能力を持っている。彼は素晴らしいエンターテイナーであり、何事にも動じない。討論会でバイデン大統領がトランプ氏に勝つことは不可能だと思う」

 ケネディ氏は討論会の司会をする2人のモデレーターが、バイデン氏とトランプ氏に厳しい質問を投げかけないのではないかとも見ている。彼らは、コロナ禍の折、トランプ前政権とバイデン政権がとったロックダウンという政策を支持していたからだという。

「CNNのアナウンサーたちは、彼らの政権下で下された最も大きく重要な決定のいくつか、例えば、ロックダウンなどを支援していた。ロックダウンの結果、4.3兆ドルの富が新たな億万長者へと行き、中流層が破壊され、正当な手続きなしに330万の企業が閉鎖され、教会は私たちにマスクを着用させた」

バイデン氏が候補から降ろされる可能性も

 ケネディ氏は、討論会が大惨事になった場合、バイデン氏が候補から降ろされ、8月の民主党指名大会前に、別の候補が送り込まれる可能性について、「それはあり得る」とも述べている。

 失言が問題視され、力強さに欠けるとも言われているバイデン氏は、討論会に向けて、ワシントン郊外にある大統領専用の山荘、キャンプ・デービッドで準備をしていたという。トランプ氏が放つであろう侮辱的発言に対応する準備が模擬討論の中で行われている可能性があると、米メディアでは指摘されていた。一方、トランプ氏のアドバイザーらは、長時間の演説をこなしてきたトランプ氏は模擬討論などする必要はないと話していたという。

 大統領候補討論会で、バイデン氏が、ケネディ氏が勝つと予想しているところのトランプ氏に対して、どのような戦略で立ち向かうのか、勝敗がどちらになるのか注目される。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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