阪神・安芸キャンプ 練習試合で好投の谷川投手が宜野座へ!横田選手の屋外初フリー打撃《2/17》
阪神タイガースの春季キャンプは第4クールを終えました。予想していた第3クール終了時ではなく、ここで1軍の沖縄・宜野座キャンプとのメンバー入れ替えが行われるようですね。今のところわかっているのは、ドラフト5位ルーキー・谷川昌希投手(25)が宜野座へ行き、3年目の青柳晃洋投手(24)とドラフト3位ルーキー・熊谷敬宥選手(22)が安芸へ来るというもの。残り約1週間で猛アピールをして、オープン戦出場を勝ち取らないといけませんね。行く人も来る人も。
さて安芸キャンプ・第4クールの締めくくりは17日と18日の練習試合でした。17日は西武B班と春野運動公園野球場で対戦し1対0、18日は四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスを安芸市営球場に迎えて12対1と連勝です。きょうはまず17日に行われた西武戦の詳細をご覧ください。この試合は7回制で、特別ルールにより勝ち負け関係なく7回裏まで行われました。
また安芸に残って練習したメンバーの中に横田慎太郎選手もいて、この日は予定通り『屋外で初めてのフリーバッティング』を決行!その模様もご紹介します。
《安芸キャンプ練習試合》
西武 - 阪神2月17日(春野)
阪神 000 010 0 = 1
西武 000 000 0 = 0
※申し合わせにより7回終了、裏まで
◆バッテリー
【阪神】福永-谷川-竹安 / 岡崎
【西武】佐野(1回)-川越(2回)-豊田(2回)-南川(2回) / 駒月‐藤澤(6回~)
◆二塁打 西武:坂田
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]指:上本 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)
2]二:荒木 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]中:板山 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
4]左:伊藤隼 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
5]三:西田 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
6]右:緒方 (2-1-0 / 0-1 / 2 / 0)
7]一:今成 (3-1-0 / 0-0 / 1 / 0)
8]遊:山崎 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0)
〃遊:森越 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
9]捕:岡崎 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
福永 3回 26球 (1-0-0 / 0-0) 143
谷川 2回 23球 (1-2-0 / 0-0) 141
竹安 2回 29球 (1-1-2 / 0-0) 142
<試合経過>※敬称略
まず攻撃から。1回は2死から板山が四球を選ぶも牽制死。2回は伊藤隼が中前打し、暴投により無死二塁となりますが後続を断たれて0点。3回は三者凡退でした。4回も先頭の荒木が中前打したものの、内野ゴロ3つで後が続かず。ようやく5回に先取点を奪います。先頭の緒方が四球、すかさず二盗を決め、1死後に今度は三盗成功!山崎の右前タイムリーで先制のホームを踏んでいます。また山崎もスタートを切って豊田のボークを誘い1死二塁。2死後に上本が死球、荒木の内野安打で満塁としましたが、板山は二ゴロで1点止まり。
6回は2死から山崎と今成が連打。暴投で緒方が三塁へ、ついで今成は盗塁を決めて2死二、三塁とチャンスを広げたのですが、途中出場の森越は見逃し三振で追加点なし。7回も1死から上本が左前打を放ち、荒木の一ゴロで二塁へ(ものすごくいいスタートを切っていて、もう到達済みでした)、さらに暴投で2死三塁とするも板山は右飛。この回も無得点で終了です。
次に投手陣。先発の福永は9球で三者凡退に切って取り、2回は1死から5番の戸川に右前打を許しながらも、後続を難なく片づけています。そして3回も7球で三者凡退!2人目の谷川は4回、2死を取ったあと4番の坂田に左中間への二塁打を浴びました。しかし次は2球で左飛。そのまま5回も三者凡退で、初の2イニングも1安打2三振無失点と上々の出来と言えるでしょう。
最後に竹安が登板して、6回は8球で三者凡退。7回は先頭の代打・西川に右前打、そのあと内野ゴロ2つで三塁まで進め、連続四死球で2死満塁のピンチを迎えます。ここで岡崎や今成などがマウンドへ行って声をかけ、最後は8番・金子一を遊ゴロに打ち取って試合終了。1点を守って逃げ切りました。
「きょうは緒方が目立っていた」
では矢野燿大監督の談話からご紹介しましょう。まず野手陣です。ヒットと好走塁もあった上本博紀選手について。「いいスイングができているし、シートバッティングを見ても、打つのはまったく問題ない。最後にスタートを切って走ったのも、スタート自体よかったし。あとで聞いたら足は違和感ないと本人も言っている。実戦で行くだけ。準備はしっかりでき上がる段階に来て、あとは守備。あした(18日)は守備もやるよ」
気になるのは宜野座へ行くかどうかというところ。「足はもう大丈夫と言っているし、特別な問題はないと思う。上から声がかかれば行くかもしれない。でも上も今、二遊間で出る人数が多く、キャンプも終盤になるんでね。いつ行ってもおかしくないけど、上との絡みがあるので。ただ『どう?』と聞かれたら『大丈夫』とは言います」。※18日の試合後も上本選手に関して矢野監督の話を聞いています。次の記事でご覧ください。
唯一の打点を挙げた山崎憲晴選手の話になり「野球勘があるね、あいつは」と矢野監督。「粘ったのか、前に飛ばなかったのかはわからないけど、しっかり得点圏で打ったしね。ランナーで出てからも、ギャンブル的な?スタートを切ってボークを誘ったり。ベンチで声もよく出すし。いろんな野球勘を持った選手かな」と、これまで敵だった時には気づかなかったことが、味方になってわかったそうです。
そして緒方凌介選手。私が「緒方選手も…」と言いかけたら、すぐに「緒方、よかったよ」と返ってきました。きょう目立っていましたね。「目立ってた。目立ってた。バッティングもよかったし。いつもは寂しいバッティングしてたけど(笑)。走塁がね。リードがすごく大きくて、ベンチで見ていて“怖いな”っていうくらい大きくて。でもアウトになってもいいよと。どこまで出られるかという自分の限界を知るために、アウトになってもいいから挑戦してと今、言っている」
確かに最初の試合から、みんなが走る意識を前面に押し出していますね。「その中で、きょうの緒方はベンチで見ていたら(リードが)すっごくデカい!まあ次の塁を狙う姿勢とか、1軍の競争に入っていくためにはやっぱり、そういう部分もチームの中でアピールできれば、あいつのチャンスも広がるから。きょうはいいヒットもあったけど、走塁がよかった。一発でサードへ行ったり、凡打での全力疾走もそう。チーム全体でも全力疾走をやってくれているんだけど、きょうは緒方が目立った」
竹安大知投手には「ちょっと物足りないというか、本人もそう思ってるだろうけど。あいつの目指しているところは2軍のローテーションじゃないから。1軍ローテのピッチャーと競争していかないと。そう考えたら西武の2軍のバッター相手では、もっと圧倒するような気持ちで見下ろすピッチングじゃないと物足りないね。ランク的に上げていってもらいたいし、上げるだけのポテンシャルは持っていると思う」と期待があるからこその注文でした。
福永春吾投手は変化球がよかったですね。「よかったよ。前回のように真っすぐで押したかっただろうけど、逆にカーブでカウントを取ったり、ヒットを打たれたチェンジアップで次は抑えたのもよかった。カウントを不利にしてストライクを取るのが精一杯という感じじゃなかった。余裕があったかなと思う。順調に来てるよね。変化球でカウントを取るとか仕留めるのも課題だったけど、変化球の部分はできていたかな。楽しみが増えた。福永は、いい意味で前しか見ないようなヤツだから。どんどん上を目指してやってほしい」
出てくる課題のレベルも上がってきた
変わって選手のコメントをご紹介します。福永投手に監督の言葉を伝えると「変化球で、どの球種でもカウントを取れてカウントを作れて進めていけたのがよかったです。前回は真っすぐがよかったけど、変化球が入ったり入らなかったり、一発で決まったり決まらなかったりした。きょうは変化球をしっかり課題においてやっていたので」と納得の表情でした。
そう言ったあと自ら「でも一番は真っ直すぐなんですけどね」と言葉をつないだ福永投手。「徐々に、徐々に力強さも増しているかなと思うけど、シーズンのベストな状態にはまだまだなんで」
第3クール初日、15日のブルペンで非常によかったとか。「その時よかったイメージ通りに、きょう投げられたので、もっと暖かくなって体がしっかり動くようになれば。今は高重量のトレーニングをやっていて、プラスそれもやりながら機能的なトレーニングもやっていこうと思います。一瞬の爆発力を上げて(球の)キレというところを」
とても順調なキャンプ?「課題が出てクリアして、また課題が出て次でクリアして。その課題のレベルが上がってきたんですよ。どんどん高いレベルになって、それをクリアしてきています」。出てくる課題のレベルがどんどん上がっていって、クリアできたらさらに高いところへ行けるわけですね。監督の言葉通り、すごく前向きな発想!そのあと福永投手は「課題の出ないピッチングなんて、完全試合くらいでしょ?」と言っていました。
やっぱり緊張はしたんですね
ルーキー・谷川昌希投手はこれが2試合目の登板。奪った2つの三振は真っすぐとシュートでしょうか。2死を取ってから、4番・坂田選手に打たれた左中間への二塁打は?「シュートがちょっと…。うまく乗せられたと思います。そのあと、しっかり焦ることなく投げられたし、ランナーを置いて投げたことは収穫にしたいです」
前回は左バッターだけでしたが、今回は右バッターも。そのインコースに「シュートや真っすぐをいけたのでよかった」と言います。それとNPBが相手だとしても別に意識はしないと言っていた谷川投手でも、やはり「プロは初めてだったので、ちょっと1イニング目は緊張も」あったとか。でも2イニング目はしっかり修正したのはさすが社会人出身ですね
矢野監督は「高めに来ないしね。マウンドで落ち着いて、いい意味でふてぶてしい。きょうはタテ変化のボールも試して投げていた。谷川に関しても上との絡みはあるけど、上がれば勝負していけるレベルにはある」とコメント。“上との絡み”をクリアして宜野座へ合流することになった谷川投手。即戦力ルーキーの肝っ玉を見せてきてもらいましょう。
這い上がるための近道は…
1対0という試合、勝利打点の山崎選手は「内容と結果を残さないといけない立場なので、しっかり這い上がれるように」と気合いを口にしました。ボークを誘った場面は監督の話にも出てきましたよ。「(盗塁はいつでも)行っていいと言われているので、いいスタートを切れているし、そう言ってもらえることはありがたいです」。今まで足で評価されることって?「自分にはなかったことです」。そうなんですね。
次に緒方選手。矢野監督が一番目立っていたと。走塁の意識はかなり高い?「やっぱり打つ、守るより、とにかく1軍も走る選手がほとんどなので。(植田)海とか新しく島田とかのタイプが上にいるから、そういう選手は一人でも多いに越したことはない。走ることをアピールしていくのがチャンスだし、近道だと思います。どんどん行っていいと言われるし、特に今の時期は失敗を恐れず行こうと思っているので、いい結果につながっているのかなと」
監督が、怖いくらい大きいリードだと。「そうですか(笑)」。あえて大きく?「はい。行っています。筒井コーチと、そういう特訓をしているので」。この“特訓”について、また聞けたら書かせていただきます。
「いい打球にファンの方も喜んでくれた!」
最後に、17日は本隊が春野へ行っている間に、安芸で横田選手の屋外フリー打撃が行われました。矢野監督の「その方が周囲のプレッシャーをあまり感じずに打てるだろう」という配慮です。私は朝から春野へ行っていたため残念ながら、本当に残念ながら生で見られなかったんですけど、あとで状況と本人のコメントを教えてもらったのでご紹介します。※前日に一足早く“屋外”でロングティー打撃の様子はこちらでどうぞ。→<阪神の安芸キャンプ・横田選手が一日早く、外で打っちゃいました!「すごく嬉しかったです」>
この日は安芸もいいお天気で、横田選手はメイングラウンドでフリー打撃開始。その情報を前もってご存じのファン約50人が見守っていらっしゃったようですね。50人もの方が、春野の試合を見ずに、ですよ。そのお客様は、横田選手の打球が柵を越えると大きな拍手と歓声を送って下さり、それはとても感動的なシーンだったと聞きました。その説明だけでウルウルしてしまったのは私だけじゃないはず。
なお70スイングして3本の柵越えだとか。最初に柵を越えたのは23スイング目でした。バッティングピッチャーを務めていた手嶋トレーナーはガッツポーズ!ライトへ文句なしの打球で、次は右中間、最後もライト。では横田選手の話です。
★感触はどうだった?「最初にしては、いま意識していることが少しできました。いい打球を打ったら、ファンの方もすごく喜んでくれたし。すごく嬉しかったです!次は試合で喜んでもらえるよう頑張りたいと思います」
★いま意識していることとは?「しっかり鳴尾浜からやってきたことを球場でやれるように」
★それはできた?「フォームとかもいじっていないので、いま出せるスイングは出せたと思います。これから練習していきます」
★柵を越えたことは?「ファンの方が喜んでくれて、それが一番ですね」
★柵越えを打てると思った?「いい打球を1本でも多くと。なかなか越えないなあと思っていました」
★今後は中で打ったり、外で打ったり?「トレーナーさんの指示に従います」
★打って守って走って、全部できたらいいね。「そこを目標にやっています!」
横田選手自身も、見てくださったファンの皆さんの反応が一番嬉しかったみたいですね。次は本隊に合流、その次は試合と夢はどんどん広がっていきますが、ここは矢野監督が言われたように「焦らさず、穏やかに、長い目で」見てあげてください。
<掲載写真は筆者撮影>