「逃げる」という選択肢 中学生の自殺 17年ぶりの年間100件超に向き合う
■「逃げる」という選択肢
学校や家庭、友人関係から逃げ出してもよいのだということ、そして逃げることを含めて、人生には選択肢がたくさんあるのだということを、私たち大人は子どもたちに伝えていかなければならない(相談窓口の一覧(内閣府)はこちら)。
中学生の自殺による死亡が、2015年についに100件を超えたことが、わかった【表1】。1998年以来17年ぶりのことであり、さらには自殺死亡率(10万人あたりの自殺死亡者数)【図1の赤い折れ線グラフ】は、過去最多の記録を更新し続けている[注]。
■中高生の危機的状況
成人を含めた日本全体の自殺率【図1の青い棒グラフ】は、減少傾向をたどっている。日本全体としては自殺が抑制されつつあるにもかかわらず、中学生の自殺傾向はむしろ強まっている。危機的状況と言えよう。
そして、高校生の自殺死亡率も1991年を下限に、概して増加傾向が続いている【図2】。件数としては、2015年には241件(2014年は213件)の自殺死亡事案が確認されている。
■大型連休が明けるときには十分な配慮を
内閣府が昨年夏に発表したデータは衝撃的であった。
「18歳以下の自殺者において、過去約40年間の日別自殺者数をみると、夏休み明けの9月1日に最も自殺者数が多くなっているほか、春休みやゴールデンウィーク等の連休等、学校の長期休業明け直後に自殺者が増える傾向がある」(内閣府『平成27年版自殺対策白書』)というのだ【図3】。
自殺にはさまざまな要因があるものの、その一つとして、学校に行くことが子どもを追い詰めていることは確かなようだ。(他方で、家庭で追い詰められる子どもがいることも、忘れてはならない。)
■「明日、学校に行きたくないあなたへ」
昨年8月18日に「不登校新聞」は、号外「緊急メッセージ 明日、学校に行きたくないあなたへ」を発した。その一部を以下に紹介して、この記事を閉じたいと思う。
[注]
自殺死亡率の算出方法は次のとおり。
1) まず『警察白書』『平成●年中における自殺の状況』等の資料より、昭和53年版から最新版までをもとに自殺数を拾い上げる。
2) 次に『学校基本調査』より各学校段階の在籍生徒数(中等教育学校の前期課程は中学校に、後期課程は高校に含める)を調べる。
3) 1)の値を2)の値で除して、それに10万を掛けて、10万人あたりの自殺死亡率を算出する。