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JR北海道「南千歳―苫小牧間」の普通列車が大混雑!? 特急全席指定席化と往復割引切符廃止の影響か?

鉄道乗蔵鉄道ライター
南千歳駅(写真AC)

特急すずらん号の全席指定席化

 JR北海道は3月のダイヤ改正で、北海道内の特急列車の指定席化を拡大し、窓口での往復割引切符の販売を廃止した。割引切符の販売は、前日までに予約が必要なえきねっとでの販売に移行されたが、予約手続きの煩雑さなどから一部の乗客は高速バスなどに流れた様子で、ダイヤ改正以降は、空席が目立つ特急列車の様子や混雑する高速バスの様子がSNS上を賑わせている。特に空席が目立つとされたのは札幌―室蘭間を結ぶ特急すずらん号。

 特急すずらん号は、札幌から苫小牧や室蘭を結ぶ短距離特急であるが、これを全席指定席化して、割引切符の販売はえきねっとに一本化された。地元紙でも、3月のダイヤ改正以降、高速バスの利用者が伸びているということが報じられた。なお、JR北海道が5月7日に発表した「ゴールデンウィーク期間のご利用状況に関するお知らせ」でも、函館方面の苫小牧―東室蘭間については、新型コロナウイルスの「5類感染症」移行前の昨年ゴールデンウィークと比較して98%の利用と利用者を落としていたようだった。

高速バスだけではなく普通列車も混雑

 さらに、札幌―苫小牧間については、高速バスだけではなく千歳―苫小牧間を結ぶ普通列車も混雑をみせている。3月のダイヤ改正で、JR北海道は、札幌―苫小牧間の普通列車の運行系統を大きく見直した。ダイヤ改正前までは、札幌から苫小牧駅に直通する普通列車は、日中は1時間に1本程度の設定があったがこれを廃止。代わりに札幌―新千歳空港間を結ぶエアポート号を毎時5本から、特別快速、快速、区間快速からなる6本に増発。普通列車は札幌―北広島間と千歳―苫小牧間に運行系統が分割された。

 これにより、日中時間帯に、札幌から苫小牧に乗り換えなしで行こうとすると全席指定席の特急すずらん号か特急北斗号に乗る必要がある。にもかかわらず千歳駅または南千歳駅で乗り換えが必要な料金不要の普通列車の方に乗客が流れているようで、ダイヤ改正以降はこの区間の普通列車の混雑も増しているという。

割高感と使い勝手の悪さが否めないえきねっと割引

 札幌―苫小牧間を乗り換え不要な特急列車に当日乗車した場合、乗車券と特急券の合計で片道3,360円が必要で所要時間は約50分。一方で、途中駅で乗り換えが必要でも、特急券が不要な普通列車は乗車券の1,680円のみで乗車でき、所要時間は約1時間だ。高速バスを利用した場合は、片道1,580円となり、所要時間は1時間40分となる。こうした状況から札幌―苫小牧間で予約なしで乗車できる交通手段は、所要時間と価格面で普通列車が利用しやすいように感じられる。

 なお、前日までに予約が必要なえきねっとを利用した場合、5月中だと前日までに予約が必要な特急トクだ値1では、乗車券・特急券合わせて2,180円、14日前までに予約が必要な特急トクだ値14では、乗車券・特急券合わせて1,840円となるが、乗車前までに紙の切符の発券が必要で、発券後は変更ができないなど利用には制約がある。

 札幌―苫小牧間には当日利用が可能なチケットレス特急券の設定があり、こちらは特急券のみ15%引きの1,420円で利用できるが、乗車券・特急券の合計額は3,100円となり、10分の時間短縮のために1,420円を追加で支払うのは割高感が否めない。

 ダイヤ改正前は、特急すずらん号に自由席が設定されており、札幌―苫小牧間の往復割引切符2,640円に専用の「すずらんオプション特急券」340円を追加するだけで利用できた。片道あたりに換算すると1,660円で、高速バスを意識した価格帯と言えた。

※南千歳ー苫小牧間の普通列車の混雑については「【北海道】乗り物大好きチャンネル」さんでも紹介されています。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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