専用リーダーは不要に。確定申告は「2次元バーコード」方式が便利
2021年分(令和3年分)の確定申告の受付が始まりました。マイナンバーカードを利用した「e-Tax」の普及が進む中、今回から「2次元バーコード」に対応し、さらに便利になっています。
国税庁は、マイナンバーカードを利用したe-Tax(国税電子申告・納税システム)による電子申告を推奨しています。海外出張中でも確定申告できるのが便利で、筆者も個人事業主になって以来、10年近く利用しています。
当初、e-Taxといえば「ICカードリーダライタ」が必須アイテムでした。しかし端末の購入に3000〜4000円の費用がかかり、面倒な手順でセットアップをしてもなかなかカードを認識してくれず、困った経験をした人も多いのではないでしょうか。
その後は「ID・パスワード方式」が加わり、あらかじめ税務署にIDとパスワードを発行してもらうことで、マイナンバーカードを使わずにe-Taxを利用する方法が用意されました。しかしこれはマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応とされています。
そして2022年から始まったのが、「2次元バーコード」を経由してスマホでマイナンバーカードを読み取る方式です。対応したスマホを持っていれば、ICカードリーダライタは不要になります。
最近は「スマホだけで確定申告」も可能になりつつありますが、まだ機能には制限があります。しかしこの方式を使えば、確定申告書や青色申告決算書はパソコンで作りつつ、マイナンバーカードを読み取るときだけスマホを使えるわけです。
スマホの対応機種は、iOS 13.1以上のiPhone 7以降の機種、Androidは最近の340機種となっており、「マイナポータル」アプリのインストールが必要です。
実際の操作手順としては、スマホでマイナポータルアプリを開き、パソコンのWebブラウザに表示された2次元バーコードを読み取ります。スマホ側でマイナンバーカードのパスワードを入力し、板カードにスマホを近づけて読み取ります。成功すると、パソコン側の画面は自動的に遷移します。
注意したいのは、マイナンバーカードを利用した電子申告では2種類のパスワードを求められる点です。数字4桁の「利用者証明用パスワード」は、アプリへのログインなどに使います。6桁から16桁の「署名用パスワード」は、確定申告書のデータを送信する際に使います。
利用者証明用パスワードを3回、署名用パスワードを5回連続で間違えて入力するとカードがロックされ、市区町村窓口で再設定する必要があります。なお、署名用パスワードについてはコンビニなどで初期化・再設定することが可能です。
将来的にはスマホにマイナンバーカードを搭載できるようになり、板カードの読み取り自体が不要になると期待されるものの、現状としてはベストな方法という印象です。
「給付金」受け取り用の口座登録も
実際に確定申告をやってみると、手続きの途中に「公的給付支給等口座の登録」という選択肢が加わっていることに気付きました。
これは2020年に配られた10万円の特別定額給付金のように、緊急時の給付金を迅速に支給する仕組みとなっています。デジタル庁によればマイナポータルでの対応は2022年春以降となっていますが、所得税の確定申告では一足先に導入されています。
日本では給付金が届くのに時間を要したのに対し、米国では迅速に配られたことが話題になりました。米国では多くの人が税の還付金を受け取る際に銀行口座を登録しており、その口座に振り込まれたためです。日本にも同様の制度が導入されたことで、今後の給付金はスピード支給を期待したいところです。