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“第2のセクシークイーン”ユ・ヒョンジュが「日本のプロテストを受ける」と仰天発言。その理由とは?

金明昱スポーツライター
今週開幕の日本ツアーに初参戦しているユ・ヒョンジュ(筆者撮影)

「日本のプロテストを受けます」――。

 韓国の女子プロゴルファーが、わざわざ日本のプロテスト受けるという。その一言に驚かされた。

「韓国では“セクシークイーン”とか“フィールド上のモデル”と呼ばれています」

 恥ずかしそうにそう語ったユ・ヒョンジュ(24歳)。今日から開幕の日本女子プロゴルフツアー「ヤマハレディースオープン葛城」に主催者推薦で出場する。

 彼女にとって試合は今季初。しかも昨年、日本のファイナルQTで59位に入って以来の試合だという。

 大会が始まる2日前から彼女の姿を追ってきたが、どうやら注目されるのは決して嫌いではないようだ。

 韓国ツアーで過去に何度か取材したことがあるが、改めて人目が多いところで力を発揮するタイプだと感じたのが率直な感想だった。

 話をすれば愛嬌たっぷりに笑顔を振りまき、「ファッションにはとても興味がある」と語るほど、ゴルフ場を出るときの私服姿は目が留まるほど際立っていた。

 そんな彼女が今季、改めて日本挑戦を決意したのだ。

 昨日も日本ツアー参戦の理由について「海外で挑戦したいということと、日本ツアーの環境がいいと間接的に聞いていたので、来てみたかった」と改めて語っていたが、ようやく決心がついたようだった。

 今大会は彼女がヤマハのクラブを使用していることから、主催者推薦で招待された。注目されているのは、実力とは関係のない容姿の部分である。

プロ未勝利、その実力は?

 身長172センチのモデル体型、体のラインを強調したタイトなウエアもさまになる。カメラを向ければ、自然な動きで様々なポージングもしてくれる。ギャラリーの視線は自然と集まるだろう。

 これまでも“セクシークイーン”と呼ばれたアン・シネが、日本では大きな話題となったが、それと似たような現象が再び起こるのかと注目されているのが彼女と言うわけだ。

 では実力はどうなのか。

 2011年にプロとなり、12年の韓国レギュラーツアーでは、賞金ランキング73位に終わった。13年からは韓国の下部ツアーのドリームツアーを主戦場としてきた。

 16年はレギュラーツアーに復帰して、25試合に出場したが、賞金シード獲得に失敗。再び予選会から17年のシード権を獲得したが、ここでも賞金シードは得られなかった。今季は、再び下部ツアーでの戦いを余儀なくされている。

 つまり、プロではまだ未勝利と現状では思うような結果を残せていないのだが、そんな中で彼女が選択したのが、日本のQT(予選会)。ファイナルまで勝ち進み59位に入った。

 日本のレギュラーツアーには出場できないが、下部ツアーのステップ・アップ・ツアーには出場が可能だ。

 ただ、拠点は韓国だけに、今後の身の振り方について、かなり悩んでいたところ、日本ツアーを中心に戦う覚悟で、今大会に出場している。

「日本で推薦の話をいただければ必ず出場します。韓国でもいくつかスポンサーの大会に出場しながら、韓国の下部ツアーからレギュラーツアー出場権を狙いたいです。ただ、日本の下部ツアー出場も悩んでいるところです。日本のプロテスト(8~11月)も受ける予定です」

 プロゴルファーであるユ・ヒョンジュが、わざわざ日本のプロテストを受けるのには理由がある。

韓国プロのプロテスト受験は稀なケース?

 日本女子ツアーはこれまで、非会員でもQT受験が可能で、ファイナルQTで上位40位前後に入ればレギュラーツアー出場が可能だった。

 しかし、その制度は昨年まで。今年からQTを受験するには、プロテストに合格している正会員か、ツアーで優勝してLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の会員資格を得た者に限られることになったのだ。また、賞金ランキング50位以内に入っても会員資格が得られる。

 ユ・ヒョンジュは日本のプロテスト合格を目指し、正会員資格を得たあとにQT(11~12月)から日本の出場権を狙うと決めた。

 これは極めて稀なケースだろう。

 というのも、韓国の女子プロゴルファーがわざわざ日本のプロテストを受けて、日本ツアー参戦を狙うことは、ほとんどあり得ないと思っていた。

 そこまでして日本でプレーしたいと思うのは、やはり現状を打破するためだ。ビジュアル先行での人気も決して嫌いではないが、やはりプロゴルファーである以上、実力で認められたいという気持ちもある。

「韓国と並行して、日本の出場権を確保してプロゴルファーとしての可能性を切り開きたい」

 そう語っていたユ・ヒョンジュは、今年のオフは2月から約1カ月、アメリカのラスベガスで体力トレーニングを中心にショートゲームにも磨きをかけた。

 その成果を今年1年、どれだけ発揮できるのか。日本での人気上昇のカギは、実力向上と結果にかかっている。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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