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「5類」移行後、初の年末年始 帰省先で熱が出たら

倉原優呼吸器内科医
イラストACより使用

インフルエンザが全国的に流行しているのはご存じの通りですが、水面下で新型コロナの感染者数がじわじわと増えています。新型コロナが「5類感染症」へ移行してから初めての年末年始です。帰省で注意すべきことをおさらいしておきましょう。

急増している新型コロナ

定点医療機関あたりのインフルエンザおよび新型コロナの感染者数は、図1の通りとなっています。だいだい10人を超えてくると「多くなってきたな」と実感しますが、直近(第50週)でインフルエンザ29.94人新型コロナ4.15人となっています。

図1.定点医療機関あたりのインフルエンザおよび新型コロナの感染者数(参考資料1、2より筆者作成)
図1.定点医療機関あたりのインフルエンザおよび新型コロナの感染者数(参考資料1、2より筆者作成)

特に新型コロナはかなりの速度で増えてきており、このまま次の波に突入すると予想されています。

新型コロナは「JN.1」というオミクロン株の末裔(まつえい)のような変異ウイルスが流行しています。重症化することは多くありません。また、効果は減弱するものの、おおむね現行のXBB.1.5対応ワクチンも有効とされています。

いくら重症化しにくいとはいえ、新型コロナの感染者が増えすぎると、救急医療や医療機関は当然逼迫します。

帰省先への持ちもの

解熱鎮痛薬などの市販薬はあったほうがよいでしょう(図2)。日頃から、ご家族の人数分を備えておくことをおすすめします。

健康保険証を忘れて医療機関にかかると、一時的に自己負担額が10割になります。また、お住いの都道府県外の病院へかかった場合、こども医療証は使用できません。いずれの場合も、あとで所定の手続きを行えば、医療費が助成される仕組みになっています。

図2.年末年始の帰省先への持ちもの(イラストAC、いらすとやより使用)
図2.年末年始の帰省先への持ちもの(イラストAC、いらすとやより使用)

忘れがちなのが「おくすり手帳」です。お薬そのものを見ながら医師がカルテに手入力するのはなかなか骨の折れる作業なので、手帳で一気に確認できるほうがありがたいです。

マイナ保険証がもう少し普及すれば、処方歴などの情報を閲覧する仕組みが活用されると思いますが、まだ「マイナンバーカードさえ持って行けば大丈夫」とは言えない状況です。

また、症状があって医療機関を受診する際、マスクの着用を求められるところが多いので、可能なら携帯するようにしましょう。

現在、インフルエンザと新型コロナの両方の診断が可能なキットがドラッグストアなどで市販されており、手元にあるならこれを持って行ってもよいかもしれません。

帰省先で発熱した場合

咽頭結膜熱や溶連菌感染症などいろいろな感染症も流行しているので、症状だけでどの感染症かを見抜くことは難しいです。検査キットは鑑別の一助になります。

去年の年末年始は、ローテーションを組んで医療機関を開けてもらっていた地域もありましたが、今年はそれがなくなり、多くの医療機関が休業すると予想されます(図3)。

図3.年末年始は多くの医療機関が6連休(イラストはFrame illustより使用)
図3.年末年始は多くの医療機関が6連休(イラストはFrame illustより使用)

重症でない場合、手持ちの解熱鎮痛薬などを服用して様子を見るようにしましょう。インフルエンザや新型コロナだけでなく、その他流行している感染症も、おおむね発熱やのどの痛みなど共通する症状が出ます。

受診が必要な場合、厚労省の都道府県別の案内を参考にするとよいでしょう。

受診を急いだほうがよさそうな場合、自治体の所定の相談窓口だけでなく、「救急安心センター(#7119)」、「子ども医療電話相談(#8000)」を検討してください(図4)。

図4.救急安心センター(#7119)と小児救急電話相談(#8000)(イラストは看護roo!より使用)
図4.救急安心センター(#7119)と小児救急電話相談(#8000)(イラストは看護roo!より使用)

「#8000」がつながる時間は以下のサイトを確認してください。夜間に稼働していることが多いです。

■子ども医療電話相談連絡先と都道府県別実施時間帯(下のほうに掲載)(URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

まとめ

新型コロナは1月下旬頃にピークを迎えると思われますが、それまでに現在のインフルエンザの流行がおさまっていなければ、強烈なダブル流行になる可能性があります。

今回の年末年始は、人の往来がこれまでより多くなるでしょうから、個々の感染対策がきわめて重要な局面と言えます。

(参考)

(1) 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00438.html

(2) インフルエンザに関する報道発表資料 2023/2024シーズン(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00014.html

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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