Yahoo!ニュース

子ども依存症(子どもコンプレックス)とは? ~過保護・過干渉の原因~

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


依存症 について書きたいと思います。
今回は、「子ども依存症(子どもコンプレックス)」について記します。

と、その前に、まずは依存症の定義からです。定義は何ごとも重要です。
依存症とは、
特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。

続いて、コンプレックスについても、ここで定義したいと思います。
コンプレックスとは、
劣等感情と訳されることが多いのですが、ここでは、コンプレックスを、「こだわり」「モヤモヤとしたスッキリしない気持ち」と定義したいと思います。

依存には3種類あります。
「人への依存」「プロセスへの依存」「物質への依存」の3種類です。

人への依存とは、恋人や配偶者や子どもや友だちに依存することです。
プロセスへの依存とは、ギャンブルや買い物やゲームや性行為のことです。
物質への依存とは、アルコールやタバコや薬物のことです。

依存症になると、心身や社会生活に悪影響が出ます。
「特定の何か」以外のことがおろそかになるため、自分の健康を害したり、家族の生活に不都合が生じます。社会生活をしていく上で優先しなければいけない様々な活動を選択することが出来なくなってしまうからです。

優先しなければならないこととは、たとえば、仕事をすること、適切な食事を摂ること、毎日適切な睡眠をとること、大切な人と楽しく過ごすこと、等です。

依存症は、否認の病気と言われています。
病気とは認めない、病気の自覚がない、自分が依存症だとは思えない、という意味です。

日本人に1番多いのは、【子ども依存症】です。
自分の子どもが気になって仕方がない」というものです。
「旦那なんかどうでもいい。仕事にも興味がない。ママ友と仲違いしてもいい。自分の健康を害してもいい。自分の子どもにしか関心がない」というものです。

「子どもの成績に一喜一憂する」「子どものことが頭から離れない」「子どもの意向を無視し、良かれと思って教室や塾に入れる」というのは、【子ども依存症】の何ものでもありません。

よく、ここで、「母親(もしくは父親)が、子どものことを案じて何が悪いのだ!」と憤る方がいらっしゃるのですが、子どもの心身の健康状態を悪くさせたり、親子の人間関係を悪化させてまでやる行為は、愛とは呼べません

実際、私は、「子どもの頃は、親の過干渉が酷くて、ホント参った」というクライアントの訴えを聴くことが少なくありません。そうおっしゃるクライアントは、親が重すぎて、大人になっても、親とは極力距離を取ろうとします。
愛情をたっぷりかけたつもりになっている親としては、子どもから結果、嫌われた格好となり、非常に不本意と言いましょうか、正に踏んだり蹴ったりです。

また、母親は、多少なりとも「子ども依存でなければ育てていけない、守っていけない」という部分があるので、さらに【子ども依存症】の問題を難しく、根深くさせてしまっています。

子ども依存になりやすい人は、キャラ(生まれつき性格)でいうところの「お母さんタイプ」に多いのですが、このキャラについては、また機会があれば詳しくお話したいと思います。

※ キャラとは、エニアグラムを発展させたもので、2018年3月3日に、私(竹内成彦)が開発しました。「お母さんタイプ」は、エニアグラムでいうところの「タイプ2」にあたりますが、エニアグラムにも数多くの流派があり、一概に「そうだ」とは言えません。

【子ども依存】には、「良い依存」と「悪い依存」があります。

1.良い依存
子どもを主体性のある人間として認め、子どもの人権を尊重しながら、子どもを助ける。子どもとほど良い距離感が保たれている。これが良い依存です。

2.悪い依存
親自身が、自分が安心・満足したいため、子どもを支配・束縛しようとする。子どもが自分以外の人を仲良くするのを無意識で邪魔する。子どもと密着している。これが悪い依存です。

如何でしょうか?
あなたは、子ども依存症になってないでしょうか?
一歩間違えば、誰にでもなり得る可能性がある心の病、それが【子ども依存症】です。

【子ども依存症(子どもコンプレックス)】は、
薬物依存症やアルコール依存症やニコチン依存症やギャンブル依存症や性依存症や食依存症(過食・拒食)や買い物依存症や病的窃盗症に比べ、問題を問題ともしない傾向が強いので、当人はおろか、ご家族さえも、依存症に陥っていることに気付かないことがほとんどです。

次回は、「【子ども依存症(子どもコンプレックス)】をどう克服していけばいいのか?」という問題に関して、言及していきたいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

竹内成彦の最近の記事