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出掛ける前からジャズ気分: HARMONIA I 塩谷哲 special duo with 古澤巌

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●公演概要

2月2日

会場:渋谷区総合文化センター大和田 さくらホール(東京)

出演者:塩谷哲(ピアノ) 古澤巌(ヴァイオリン)

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塩谷哲さんのプロフィールはこちらを参照してください⇒塩谷哲のオフィシャル・サイト

ボクがソルトこと塩谷哲さんを最初に取材したのは、1996年5月の“SALT & SUGAR”のライヴでした。Sing Like Talkingのヴォーカリストである佐藤竹善さん(=シュガー)には、サックスの土岐英史さんのバンド“CRUISING(クルージング)”のアルバム『ナイト・クルーズ』に彼が参加した際に取材で会っていて、ジャズに造詣が深いことは知っていました。一方の塩谷哲というピアニストについては、オルケスタ・デ・ラ・ルスでのライヴを観た記憶と、コンテンポラリー系ジャズに傾いてきたソロ活動での印象が混ざったもので、“SALT & SUGAR”のステージでも“歌と(伴奏の)ピアノ”とは異なるスタンスで音楽に接する姿がとても印象的だったことを覚えています。

2000年以降はライヴのレポートだけではなくインタビューも定期的にするようになり、とくにここ数年は、暮の恒例行事であるゲスト満載の“ソルティッシュナイト”と今回のようなソロ公演は呼んでいただく機会も多かったので、“サウンド・プロデューサーとしての塩谷哲”と“ピアニストとしての塩谷哲”を対比させながら自分のなかでその音楽性を反芻できるという、リスナーとしてはかなり幸福な状況にいます。

彼のソロ・ピアノのスタイルは、演奏自体は完全なインプロヴィゼーションではない傾向が強いものですが(でも必ず1曲は完全なインプロヴィゼーション=即興を組み入れているというのが恒例です)、思いついた曲名を紙に書き出し、それを眺めながらステージ上で次に弾きたい曲をその場で決めて進行させていくというスタイルは、彼が音楽に求める“自由さ“をそのまま行動化しているエピソードだと言えるでしょう。

今回はゲストに古澤巌さんを迎えます。古澤巌さんのプロフィールはオフィシャル・ブログを参照してください。⇒古澤巌のオフィシャル・ブログ

古澤巌さんは、ネオ・クラシックと呼ばれる、格式張らずにスムースなサウンドで生活に溶け込むスタイルの音楽的アプローチを提唱した先駆け的な存在で、ボクもそのステージに触れて独特の存在感に圧倒された覚えがあります。

もともとソルトさんは、東京芸術大学在学中から金子飛鳥さん(古澤巌さんと並んでボーダレスなフィールドで活躍している日本を代表するヴァイオリニスト)たちが結成していたポップ・グループ“Adi”にも参加していたくらいですから、ヴァイオリンとのコラボレーションに慣れていないことはないはず。どんな”火花”がステージ上に飛び散るのか楽しみです。

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●Satoru Shionoya 塩谷 哲 Earth Beat

塩谷哲のオリジナル曲「アース・ビート」は、彼が初のソロ・アルバム『SALT』をリリースした1年後の1994年にシングル盤として制作され、翌年のセカンド・フル・アルバム『SALT II』にも収録された、“ソルト・ピアノの原点”とも言うべき作品。この動画ではソロ・ピアノでこの曲を再現していますが、ソロ・コンサートではこれに近い雰囲気で彼が生み出してきた美しい作品の数々が再現されることをいつも期待してしまいます。

●Stephane Grappelli with Iwao Furusawa- Tiger Rag

古澤巌さんの動画を探していたら、1992年にジャズ・ヴァイオリンのパイオニアであるステファン・グラッペリと共演しているものを見つけました。マヌーシュ・スウィングと呼ばれるヨーロッパ由来のジャズも軽々と、そして表情豊かに弾きこなしてしまっているので、ジャズ・ヴァイオリンの御大の目の色も途中から変わり、2人の掛け合いが伯仲していく様子を楽しむことができます。ソルトさんのピアノとの掛け合いでは、どんな展開になるのでしょう?

では、行ってきます!

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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