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去年までとは違う初雪の観測

饒村曜気象予報士
初雪(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

寒気の南下

 12月13日は、西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下したため、北日本を中心に寒い日曜日になりました。

 しかし、日本海で発生した小さな低気圧が三陸沖に抜ける週明けの14日の月曜以降は、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、等圧線の間隔が狭くなります。

 強い北寄りの風にのって今冬一番の寒気が南下してきます(図1)。

図1 予想天気図(12月14日9時の予想)
図1 予想天気図(12月14日9時の予想)

 日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500mと、上空約1500mの気温が使われます。

 上空約5500mの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。

 12月前半の上空約5500mで氷点下36度以下の非常に強い寒気は周期的に北海道を通過しましたが、氷点下30度以下の強い寒気は北海道から東北北部に南下したままでした。

 14日の週明けからは、北海道北部では、氷点下36度どころか、氷点下42度以下という、真冬でもなかなか出現しない強烈な寒気が南下してきます(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布(12月14日夜)
図2 上空約5500メートルの気温分布(12月14日夜)

 これだけでも、北日本や北陸では大雪に警戒しなくてはならない気温です。

 事実、気象庁では、5日先までに大雪警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で示した早期注意情報を発表しています(図3)。

図3 大雪に関する早期注意情報(12月15日)
図3 大雪に関する早期注意情報(12月15日)

 北日本の日本海側から北陸地方まで、大雪警報が発表となる可能性が「中」という情報です。

 また、平地で雨として降るか、雪として降るかの判断の目安が、上空約1500mの気温が氷点下6度です。

 降水現象が、上空約1500メートルの気温が氷点下6度未満であれば雪、氷点下6度以上であれば雨として降ることが多いからです。

 この上空約1500メートルで、氷点下6度という寒気は、14日の夜には、関東北部から九州・四国へ南下し、翌15日夜以降は、さらに南下する予想です(図4)。

図4 上空約1500メートルの気温分布(12月15日夜)
図4 上空約1500メートルの気温分布(12月15日夜)

 北日本や北陸だけでなく、関東から西日本でも、降水現象があれば雪として降る状況になりますので、各地から初雪の便りが届くかもしれません。

今年から変わる初雪の観測

 令和2年(2020年)から令和3年(2021年)冬の初雪は、11月3日の稚内で降りました。

 そして、翌日には札幌や函館など北海道の多くの地点で初雪を観測しました。

 その後、東北地方の日本海側や新潟、長野で初雪となっています。

 関東の初雪は、12月5日の宇都宮と水戸でした。

 今回の今冬一番の寒気の南下では、12月13日に仙台で初雪を観測しましたが、これから各地で初雪を観測すると思われます。

 初雪は、その冬に最初に降る雪のことですが、令和2年(2020年)の初雪は、多くの地点で前年と観測方法が違いますので、統計が切断しています。

 つまり、前年との比較は意味がありません。

 これは、令和2年(2020年)から、ほとんどの地方気象台等で、天気などの目視観測が自動化されたからです(関東甲信は前年2月1日より先行して自動化)。

 自動化での天気は、気温や湿度などの観測を組み合わせた天気計で観測しますが、目視観測に比べて、早く初雪を観測する傾向があるようです。

 現在、従来通りの初雪を観測しているのは、札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の11ヶ所に激減しています。

 厳密にいえば、この11地点だけが去年の初雪と比べることができます(那覇では、これまで雪が降っていません)。

タイトル画像の出典:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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