母の日市場が2倍でも父の日の方が理想的な理由
母の日の関連市場は1,170億円である一方、父の日市場はその半分(580億円)であるという(2018年度推計、2018年6月10日付、日経MJ記事より)。経済効果は母の日の方が大きいかもしれないが、ある側面から見ると、父の日の方が理想的であると言える。
母の日というと、多くの人が頭に描くのはカーネーションだろう。実際、母の日の当日やその前、生花店は、カーネーションで一杯になる。
反面、生花店の関係者が、需要と供給がずれて、花を大量に廃棄しなければならない事態を嘆く声も聞く。
筆者が専門にしている「食品ロス」の分野でも、たった一日、その日しか売れない食べ物というのが大量の食品ロスになっていることが大きな課題となっている。たとえば2月3日の恵方巻や、土用の丑の日のうなぎなどだ。
母の日のカーネーションも、生き物だ。花が大好きな人であれば、花を大量に廃棄しなければならないことに心を痛めるのは当然だろう。
父の日のプレゼントはますます多様化傾向
前述の日経MJの記事(2018年6月10日付)によれば、父の日のプレゼントは、以前、主流だったポロシャツやネクタイから、モノではない、コト消費も含めて、多様化傾向にあるという。2017年度よりも3%増とのこと。
人の好みはそれぞれなので、本来、全国一斉に同じものを購買して贈るというのは、よほどの理由がない限り、不自然ではないか。
母は必ずしも花を望んでいない
母の日に花の贈り物が欲しいと思っている調査結果もある。一方、子どもにして欲しいこととして、母親は、必ずしも花のプレゼントを望んでいないという結果もある。マクロミルの2018年度調査結果では、子ども側は62%がプレゼントを贈りたいと答えている反面、母親側が子どもに望む1位は感謝の言葉、2位がプレゼント、3位が一緒に過ごす時間、4位が家事の手伝い・・・という結果だ。
花のプレゼントをもらう母は多い反面、内心では・・・
楽天リサーチの2018年調査でも、母の日にもらいたいプレゼントは、「母への感謝の言葉」が30.1%と最も高く、次いで「フラワーギフト」(27.3%)、「食事」(24.5%)という結果が出ている。
「もらったことがあるプレゼント」と「もらいたいプレゼント」の回答結果に最も差があったのが「フラワーギフト」で、もらったことがある人は多いが、それより「もらいたいと思っている人」は12.6ポイント少ないという結果だ。逆に、「母と一緒に過ごす時間」は、もらったことがある人より、もらいたいと思っている人が11.9ポイントで多い結果となっている。
一日に一極集中して命ある生き物を大量廃棄するより、プレゼントはモノ・コト含めて多様でいいのでは
こうしてみると、いくら経済効果が2倍だとはいえ、母の日より、父の日のあり方の方が、社会として健全なように見える。母の日の経済効果の膨大さの裏側には、大量の無駄があると推察される。母の日に贈るものは、どうしても花でないといけないのか。カーネーションの立場に立って考えてみたい。
食べ物も花も命ある生き物だ。人間の都合で無駄にすることのないようにしたい。
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