この秋以降、エルニーニョ発生の可能性
エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差が11か月ぶりにプラスに転じた。今後、太平洋赤道域にある暖水が東に移動し、海面水温はさらに上昇する見通し。この秋以降、エルニーニョが発生する可能性がでてきた。
日米豪ともにエルニーニョ発生予測
6月のエルニーニョ監視海域(NINO.3)の海面水温の基準値との差は0.3℃で、2017年7月以来11か月ぶりにプラスに転じました。2017年秋に発生したラニーニャ現象はこの春に終息し、現在は海洋、大気ともに平常の状態です。
気象庁の予測では、この夏は平常の状態が続くものの、秋はエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性がそれぞれ50%としています。
アメリカ海洋大気庁はこの秋以降、エルニーニョの発生確率が65%から70%と高くなると予想しています。そして、オーストラリア気象庁も今年中にエルニーニョが発生する可能性が高いとしています。
注目は暖水の東進
エルニーニョは太平洋赤道域東部の海面水温が基準値よりも高くなる現象で、それに伴って赤道付近の貿易風(東風)も弱まります。現在の海面水温は基準値に近い値ですが、今後は太平洋赤道域の海洋表層(海面から水深約500メートルまで)にある暖かい水が東に移動することで、太平洋赤道域東部の海面水温がさらに上昇するとみられます。
エルニーニョの発生には、この暖水が東進して、海面水温が高くなること、そして貿易風が弱まることが必要です。今はまだ、先がはっきり見えているとは言い難いですが、この暖水の東進に注目しています。
この冬はどうなる?
ラニーニャはこれまで15回発生し、そのうち9回は今年と同じように春に終息しました。この9回のその後を詳しくみてみると、1968年はその年の秋に、1976年はそのあとすぐに(夏に)エルニーニョが発生しました。
今回は3度目になるのでしょうか。
過去2例の冬を調べてみると、1969年冬(1968年12月-1969年2月)は暖冬、一方1977年冬(1976年12月-1977年2月)は大寒冬でした。冬はまだまだ見えません。
【参考資料】
気象庁ホームページ:エルニーニョ/ラニーニャ現象
気象庁:エルニーニョ監視速報(No.310),2018年7月10日
NOAA:July 2018 ENSO Update: Dog days,July 12, 2018
オーストラリア気象庁:ENSO Wrap-Up,3 July 2018