大型補強のユヴェントスは、欧州を制覇できるチームになったのか? 識者10名の見解
28歳の選手に100億円以上ものカネを投じる意味はあったのか。ユヴェントスがナポリからFWゴンサロ・イグアインを獲得したことは議論を呼んだ。イタリアで圧倒的な強さを誇る王者が、ライバルからエースを引き抜いたのは、チャンピオンズリーグ(CL)制覇という夢のためだ。では、イグアインを手に入れたユーヴェは、ビッグイヤーを掲げられるだけのチームになったのだろうか。
マッシミリアーノ・アッレグリ監督が就任した一昨季、ユヴェントスは決勝まで駒を進めたが、バルセロナに屈した。昨季はバイエルン・ミュンヘンを相手に見事な2試合を演じたが、わずかに及ばずベスト16敗退に終わっている。
アッレグリ体制3年目の今季、ユーヴェはイタリア史上初となる国内6連覇も目指している。だが、クラブとサポーターが何より望むのは、「欧州王者」のタイトルだ。これまでの方針と異なり、大盤振る舞いを始めたのは、1996年以来となるCL優勝を真剣に狙っているからにほかならない。
イグアインのほかにも、ユーヴェはローマからMFミラレム・ピアニッチ、バルセロナからDFダニエウ・アウベス、バイエルンからDFメディ・ベナティアを獲得した。各ポジションに優れた選手たちを加えた形だ。だが、MFポール・ポグバがマンチェスター・ユナイテッド移籍に向かっている。
新生ユヴェントスは昨季王者レアル・マドリーやバルセロナ、バイエルンといった優勝候補たちに引けを取らないチームとなったのだろうか。現役の監督を含めた識者たちが、7月31日付イタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』でそれぞれの見解を示した。それをご紹介したい(中略あり)。
◆デメトリオ・アルベルティーニ(元イタリア代表)
すでに2年前からユヴェントスは欧州のエリート、トップ8に含まれており、現在はあらゆる点で非常にうまくやっている。すでに強かったが、さらに強くなっているところだ。バイエルン、レアル、バルセロナと並び、私の優勝候補の一角に入ることは確かだね。
◆ルイジ・デ・カーニオ(元ウディネーゼ監督)
ユヴェントスは最高の補強をした。特にイグアインは素晴らしい補強だ。だが、ポグバの退団が痛い。クオリティーをもたらすピアニッチのほかに、ポグバの代役としてハイレベルなMFが加われば、CL制覇に向かえるだろう。だが、現時点では、レアル、バイエルン、バルセロナが少しだけ前にいる。技術レベルだけでなく、頂点にいることに慣れていることからもね。
◆ステファノ・コラントゥオーノ(元ウディネーゼ監督)
イグアインは最後に加わったというだけで、D・アウベスから始まるすべての補強がユーヴェの技術レベルを大きく高めた。欧州制覇の野望を抱くのは当然だ。すでにCLの舞台でもうまくやってきたが、これで本当に競うことができる。バルセロナやレアル、アトレティコ・マドリーは一段上のままだが、ユーヴェもすぐ次におり、勝負するだけの良いカードがそろっている。
◆ロベルト・ドナドーニ(ボローニャ監督)
ユヴェントスが非常に強くなり、CLでとことん争っていけるのは確かだ。素晴らしい選手たちを獲得し、欧州有数のチームになっている。私は、バイエルンとマンチェスター・シティ、バルセロナが前にいると思うな。ユーヴェはその一歩後ろだ。
◆ステファノ・エラーニオ(元リヴォルノ助監督)
私は今のユーヴェが優勝候補に入ると思う。バイエルン、レアル、バルセロナと並んで、最後まで競い、CLを制覇できるチームだ。ユーヴェは強く、経験があり、熟練している。そしてイグアインが加わったのなら、不可能なことはない。リーグ戦で36得点を挙げるのではなく、セリエAでは20得点、CLでは10得点で十分だ。とにかく、アッレグリ監督の言うとおり、サッカーに絶対はない。
◆マルク・ユリアーノ(元ラティーナ監督)
CL制覇には多くの要因があり、運や偶然の出来事も重要となる。だが、ユーヴェが優勝候補の一角であることに疑問はない。クラブ、最高級の選手たち、監督がおり、必ずうまくやるはずだよ。トップにはバルセロナ、レアル、バイエルンがいる。だがもはや、ユーヴェもそう遠くない。
◆マウロ・タソッティ(ウクライナ代表助監督)
理論上では、2年前と同じく、ユーヴェはCL優勝候補の一角だ。だが、サッカーとは、優勝候補の一角が優勝するものではない。気を引き締めているアッレグリ監督は見事だね。リーグ戦で集中を保つことも大切だ。満足感を覚えたら致命的になりかねない。私は、ユーヴェ、レアル、バルセロナ、バイエルンがベスト4だと思う。
◆チェーザレ・プランデッリ(元イタリア代表監督)
イタリアで勝ち、欧州でもうまくやっているなら、あと少しで十分だ。彼らは素晴らしい補強をし、イグアイン獲得で最後の飛躍を遂げた。もちろん、困難もあるだろう。だが、理論上は優勝候補の一角だ。レアル、アトレティコ、バルセロナ、バイエルン、ボルシア・ドルトムント、パリ・サンジェルマンと最後まで競えるだろう。イングランド勢は少し下がると思う。団結力、フレッシュさ、情熱など、ユーヴェにはほかのチーム以上のものがあるかもしれない。
◆ロランド・マラン(キエーヴォ監督)
他チーム以上の強化を遂げたことは疑いない。CLも狙えるように、一線級のチームをつくった。欧州でも今年はやれると思う。リーグ戦で他チームを大きく引き離しているのは大きい。国際レベルの選手たちを加えて強化し、さらにイグアイン加入だ。彼は必ずユーヴェを強くするだろう。
◆パオロ・トラメッザーニ(アルバニア代表助監督)
今のユーヴェがCLの優勝候補の一角であることは確かだ。決勝まで進んだ2年前もそうだったし、昨季もそのレベルだった。バイエルンとの不運な2試合でも、トリノでのファーストレグの最初の30分を除いて相手を上回っていたからね。バルセロナ、レアル、バイエルンとともに、セミファイナリストとなるだろう。