気持ちか実益か・お歳暮品定めの駆け引きを探る
お歳暮に贈る予定のもの、贈られると嬉しいもの
この時期になるとスーパーやデパートの贈呈品コーナーは、お歳暮需要に応えるためいつも以上に多数の商品が並び、多くの客でにぎわうようになる。お歳暮の内容としてはハムなどの加工肉やビール、お菓子類がイメージされるが、実際にはどのような商品が選ばれているのか、そしてお歳暮を受け取る側はどのようなものを望んでいるのだろうか。
次のグラフはライフメディアのリサーチバンクが2013年11月に発表した、お歳暮に関する調査結果を基にしたものだが、今調査(既婚男女を対象、調査対象母集団全体のうち4割近くが今年お歳暮を贈呈予定)の結果によると、贈呈品目として一番人気となったのは「ハム・ソーセージ」だった。贈呈予定者の3割近くが選択予定としている。
「ハム・ソーセージ」のような加工肉、そして第2位の「お菓子類」は、デパートなどの贈呈品コーナー、通販サイトのお歳暮コーナーでお馴染みの顔触れ。また「コーヒー・紅茶・お茶」や「ビール」なども良く目にする。大抵がそこそこ日持ちがする、好き嫌いされることなく受け入れられやすい、相応の高級感があるなど、贈呈品としては無難な部類に属するのが、選択理由として挙げられよう。
一方、お歳暮の受け取り側としては、どのような品目を望んでいるか、贈られると嬉しいだろうか。こちらはお歳暮贈呈予定者だけでなく、調査対象母集団全体に尋ねている。
トップは「商品券」で44.1%。贈呈側ラインアップではわずかに3.5%しかなかったのにも関わらず、大人気な結果が出ている。利用時の柔軟性が高く、長期保存も可能なのがポイント。性質的に「商品券」とほぼ一致する「カタログギフト」も上位に顔を見せているが、こちらも贈呈側では3.3%に過ぎない。
次いで多いのは「ハム・ソーセージ」で、これは贈呈側の思惑とほぼ一致する。さらに続くのは「菓子類」では無く「プレミアムビール」。従来普通のビールを飲んでいる人には、「たまには上級のビールをたしなみたい」という願望を贈呈品により叶えられるという点で需要が高い。
贈る側の上位品目「コーヒー、紅茶、お茶」は、受け取り側の人気は低い。複数貰うと持て余してしまうのかもしれない(経験者は語る)。持て余すという点では「石けん・洗剤などの日用品」も同様だが、これは贈り手側も含め多数の人が経験しているらしく、贈り手側のラインアップとしても順位は低め。
もらって嬉しいものを何故贈らないのか
お歳暮の受け手側が「商品券」を望む傾向が強いのは昔からのことで、今調査の調査元リサーチバンクの昨年、一昨年における同様調査でも同じ結果が出ている。また別調査機関のお歳暮に関する調査でも、やはり「お歳暮にもらうと嬉しいもの」のトップには「商品券」が顔を連ねている(「お歳暮の 期待に応える 3アイテム「ハム・ソーセージ」に「カタログギフト」と?」)。
半ば定説化している、受け取り側が好む「商品券」「カタログギフト」の類が、贈呈側ではあまり選択されないのは、受け取り側が喜ぶことが分かっていても、あまりにも直接的過ぎる、さもしく見えてしまうからだろう。また、これら品目の汎用性の高さは、贈り手側の顔、想いが見えにくくなる。単に「相手に喜ばれる」「柔軟性・汎用性が高いのが良い」だけを望むなら、それこそ言葉通り「現金」を贈るのが一番。しかしそれではお歳暮としてあまりにも失礼。
お歳暮に限らず、贈り物は受け取る側はもちろんだが、贈り手側も選ぶ過程、そして受け取った人からのリアクションで、嬉しさを覚えるもの。相手が受け取った時、包みを開けた時の笑顔をイメージしながら、相手のことを考えて選択し、贈りたいものだ。
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