改良工事でまもなく見納め 築80年三角屋根の木造駅舎 可部線 下祗園駅(広島県広島市安佐南区)
広島市安佐南区にある下祗園駅では令和6(2024)年度完成を目指して駅改良工事が行われている。今年度末(来年3月頃)には新駅舎が使用開始となり、現駅舎は役目を終える予定だ。
※R5.12.2追記 新駅舎使用開始は令和6(2024)年1月28日と発表されました。
下祗園駅の現駅舎は昭和18(1943)年頃の駅移転時に建てられたもので、築80年。駅周辺は昭和47(1972)年8月27日に広島市に編入されるまで安佐郡祇園町だったところで、広島市の中心から少し離れているので、駅舎も戦火を免れて今まで生き残ることができたのだろう。可部線では梅林駅、上八木駅、可部駅にも古い駅舎が残るが、いずれも戦後のものなので、下祗園駅の駅舎が線内では一番古い。
駅舎の改札・待合室部分は天井が高く、風格が感じられる。高い天井に明り取り窓というスタイルの木造駅舎は戦前期に地域の中心駅などに多く建てられたが、年々数を減らしており、広島のような大都市では貴重な存在だ。
下祗園駅には平成4(1992)年11月1日にみどりの窓口が設置されたが、令和5(2023)年5月31日に営業を終了。代わりにみどりの券売機プラスが導入されている。可部線では起点の横川を除いて最も利用者の多い駅で、令和3(2021)年度の1日平均乗車人員は4755人だ。
ホームは島式1面2線。駅舎と同時期に造られた古く狭いもので、改良工事により外側に新ホームが造られているので、役目を終える日は近い。
来年3月頃に使用開始となる新駅舎は改札口が二階にある橋上駅舎で、あき亀山方で建設が進められている。現在の駅は東側にしか出口がなく不便な上に、駅舎からホームに行くためには踏切を渡らなければいけない。工事完成の暁には西口が設置され、構内踏切も廃止される予定だ。
広島近郊の駅で80年に渡って多くの乗客を見守ってきた駅舎もあと一年と経たずにその役目を終える。気になる方は早めに行っておいた方がいいだろう。