主な新興国/米国経済ニュース(8日)
プライスライン、中国同業大手シートリップにと資本・業務提携へ
米オンライン旅行代理店大手プライスライン・ドット・コム<PCLN>は6日、中国の同業大手シートリップ(Ctrip.com International)と資本・業務提携することで合意したことを明らかにした。
合意ではプライスラインがシートリップの発行済み株式の最大10%に相当する転換社債を5億ドル(約510億円)で取得する。また、シートリップへの出資後、プライスラインはオブザーバーをシートリップの役員会に一人派遣する権利を獲得する。
合意に基づいて、両社はそれぞれ保有するホテルなど宿泊施設の客室予約やレンタカー予約に関するデータベースを共有し、事業拡大に役立てたいとしている。プライスラインは中国以外の全世界で50万軒超、一方、シートリップは中国国内で10万軒超の宿泊施設データを保有している。
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保険大手プルデンシャル、2014年4-6月期は黒字転換で予想上回り株価上昇
米保険大手プルデンシャル・フィナンシャル<PRU>が6日に発表した2014年4-6月期(第2四半期)決算は、純利益が前年同期の5億1700万ドル(約530億円)の赤字から10億5000万ドル(約1070億円)の黒字に転換し、1株当たり損益も1.12ドルの赤字から2.22ドルの黒字となった。また、税引き後の1株当たり営業利益は同8%増の2.49ドルとなり、アナリスト予想の2.35ドルの黒字を上回った。
黒字に転換したのは前年同期がデリバティブや為替の変動、特に円相場が主要通貨に対して大きく変動した影響で、税引き前費用が25億ドル(約2560億円)超にも膨れ上がったが、当期はその要因が剥落した反動で利益が膨らんだもの。
保険料収入を含めた金融サービス全体の営業収益は前年比5%減の111億1000万ドル(約1兆1350億円)となり、アナリスト予想の111億4000万ドル(約1兆3850億円)を下回った。この結果を受けて、同社の株価は6日、0.96%高の86.57ドルと、上昇している。
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タイム・ワーナー、2014年4-6月期利益は予想上回る
米ケーブルテレビ大手タイム・ワーナー<TWC>が6日に発表した2014年4-6月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比10%増の8億5000万ドル(約870億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同17%増の95セントとなった。また、調整後の1株当たり利益も同29%増の98セントとなり、アナリスト予想の84セントを上回った。
一方、売り上げは同3%増の67億9000万ドル(約6940億円)にとどまり、アナリスト予想の68億8000万ドル(約7030億円)を下回った。傘下のケーブルテレビ局HBOの売上高は同17%増となったが、映画配給部門のワーナー・ブラザーズは同2%減と、低迷。ニュース専門局CNNを含むターナー部門は同5%増だった。
また、今年の通期の業績見通しについては、1株当たり利益は前年同期の3.51ドルを13-14%上回るとの予想を維持した。
当期決算は利益が予想を上回ったものの、先週末に米メディア・娯楽大手トゥウェンティファーストセンチュリー・フォックス<FOXA>がタイム・ワーナーの買収を断念したとのニュースが尾を引いて、同社の株価は6日、12.85%安の74.24ドルで引け、その後の時間が取引でも米東部時間午後7時59分時点で、0.7%安の73.72ドルと、一段と値を下げている。
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ベトナム、今後10年間で51兆円のインフラ投資に―政府幹部
ベトナム計画投資省のラ・バン・タン入札管理局長は5日、ハノイで開かれた同省主催のセミナーで、今後10年間でインフラ整備のために5000億ドル(約51兆円)の投資が必要になるとの認識を示した。ベトナム紙トイチェー(電子版)が7日に伝えた。
同氏はインフラ整備として、港湾や空港、電力、浄水の関連設備の補修・改修工事や公共施設の建設など多岐にわたるとしている。一方、5000億ドルの投資に必要な資金は、国家予算やODA(政府開発援助)など公的機関からの支出によって、2000億ドル(約20.4兆円)までは資金調達が可能だが、残りの3000億ドル(約30.7兆円)は資金ショートを起こすと指摘している。従って、この差額を埋めるためには民間資本の導入が必要になるとしている。
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ロッキード、インドネシアの防空監視レーダー産業育成に着手
米航空・防衛機器大手ロッキード・マーチン<LMT>は6日、インドネシアの防空監視レーダー産業の育成に協力していく方針を明らかにした。アンタラ通信が伝えた。
これは同社のインドネシア法人の責任者であるロバート・レイン氏が明らかにしたもので、レーダー産業の育成のため、レーダーに関する先進技術の地場産業への移転や地元の大学との連携強化による人材育成などを実施していくとしている。同社はすでにバンドン工科大学(ITB)と共同で、レーダー技術に関するエンジニア養成のプログラムの開発に着手した。同社は現在、世界30カ国で防空監視レーダーの生産とメンテナンス業務を行っている。
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ロシア、西側の対ロ制裁報復として1年間の食品輸入禁止へ
ロシア政府は7日、ウクライナ危機に絡んだ西側の対ロシア経済制裁に対する報復措置として、今後1年間、米国やEU(欧州連合)加盟28カ国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーを原産国とする農産物や生鮮・加工食品の輸入を禁止する、と発表した。輸入禁止は即日実施された。
ノーボスチ通信(電子版)などが伝えたところによると、輸入禁止の対象となるのは、生鮮冷凍牛肉・豚肉や鶏肉、燻製肉、魚介類、牛乳を含む乳製品、野菜、果物、ナッツ、チーズ類。ロシアは昨年、430億ドル(約4.4兆円)の食品を輸入しており、ロシアはEU産の果物や野菜の最大の輸入国となっている。2011年で、ロシアはEU産果物の28%、EU産野菜の21.5%、米国産鶏肉の8%を輸入しているが、EUのビゴッキー・ウシャッカス在ロシア大使は、食品輸入禁止によって、EUの損害額は最大で120億ユーロ(約1.6兆円)に達する可能性があると指摘している。
ニコライ・フョードロフ農業相は、食品輸入禁止措置によって、短期的に国内にインフレ率が急伸する可能性を認めているが、中長期的にはインフレ加速のリスクは低いとの見方を示している。また、同相は食品の一部について、ブラジル産の肉類やニュージーランド産のチーズなどの輸入を増やすことで国内の消費需要に対応していくとも述べている。
一方、EUは今回のロシアの措置に対抗する報復措置を導入する権利を留保するとしている。(了)