【チョコレートの歴史】貴族の甘味、チョコレートの物語!18世紀、上流階級の口福を求めて
18世紀のヨーロッパで、チョコレートはただの飲み物ではありませんでした。
それは南ヨーロッパの貴族やカトリックに象徴される、特別な甘味として扱われました。
ブルジョアのコーヒーやプロレタリアのアルコールとは一線を画し、朝食や夕食後に冷たい水を一杯飲んでから味わうという、洗練された習慣が広がったのです。
スペインではイエズス会士がチョコレート文化の担い手でしたが、彼らが追放された後もその影響は消えず、都市ではチョコレートグラインダーのギルドが形成されました。
一方、イタリアでは毒薬の歴史的な使い方を引き継ぎつつも、美味しいレシピが北部で花開きました。
フランスでも菓子やデザートに使用され、ショコラティエ・ロンバールが初のチョコレート会社として名を刻みます。
この時代、技術革新も進みました。イギリスのウォルター・チャーチマンが水エンジンを用いた製粉特許を取得し、その後フライ家がそれを継承。
アメリカでも水力製粉が始まり、フランスでは油圧ミルが発明されるなど、チョコレートは貴族の舌を満たすだけでなく、産業の原動力ともなったのです。
こうして、チョコレートは貴族文化の象徴として、そして甘美な技術革新の成果として、ヨーロッパ全土を包み込んでいきました。
ソフィー・D・コウ&マイケル・D・コウ著、樋口幸子訳(1999)『チョコレートの歴史』河出書房新社