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得失点差がマイナスのクラブがJ1で3位にいる珍現象 なぜ札幌が上位争いをしているのか?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
10月28日の名古屋戦に勝利し、3位に浮上したコンサドーレ(筆者撮影)

明治安田生命J1リーグは第30節までを消化し、残り4試合となった(C大阪と名古屋は1試合未消化)。

J1順位表の上位を眺めてみると、首位川崎、2位広島、3位札幌となっているが、ひとつ奇妙な点がある。3位札幌の得失点差がマイナスなのだ。

本来、上位のチームは勝ち点を多く獲得するため、それに比例する形で得失点差もプラスに振れることが多い。18クラブで形成されるJ1リーグで、3位にいるチームが得失点差がマイナスになるのは、珍しい現象だ。

総得点よりも総失点の方が多いクラブがなぜ上位にいるのだろうか? その謎に迫る。

試合毎の得失点差の分布図を作ってみた

札幌の現時点の戦績は30試合13勝9分け8敗、得点42、失点44、得失点差-2となっている。

勝ち数と負け数の単純比較でいくと、5つ勝ち越しているが、失点が得点より2つ多い。この「逆転現象」の理由を探るために、試合毎の得失点差の分布図を作ってみた。

第30節時点(筆者作成)
第30節時点(筆者作成)

8つの負け試合の中では、得失点差が-4と-7の試合が目を引く(第15節の神戸アウェイ戦の0-4、第26節の川崎アウェイ戦の0-7)。

逆に勝ち試合に注目すると、大勝している試合が少なく、実に13試合中10試合を1点差で勝利している。

つまり勝つ時は僅差で、負ける時は潔く大敗するスタイルが、今季の札幌の特徴と言えよう。

1点差勝利のうち4試合が後半AT弾での勝ち越し

次に僅差で勝った試合に焦点を当ててみる。

1点差勝利の10試合の内訳を調べてみると、そのうち4試合が後半アディショナルタイムの勝ち越し弾で劇的な勝利を収めている(都倉3ゴール、チャナティップ1ゴール)。

終盤までもつれる展開の試合で、無類の勝負強さを発揮している点が今季のコンサドーレの快進撃を支えていると言っても過言ではないだろう。

総失点が総得点を上回っても、札幌が上位争いに加わることができている理由は、接戦の試合でことごとく勝ち点を稼いでいるから、と結論付けることができる。

ちなみに過去5年のJ1リーグ3位の勝ち点平均は61である(13年60、14年60、15年63、16年59、17年63)。1試合平均の勝ち点は1.79だ。今季の札幌は第30節時点で勝ち点48、1試合平均の勝ち点は1.6だ。

コンサドーレが例年のアジアチャンピオンズリーグ出場圏(3位)ラインに到達するには、残りの4試合を4連勝する必要がある。4位以下のチームとの勝ち点差も僅差なため、残りの試合をひとつでも取りこぼすと、3位から脱落する可能性が高まる。

ラスト4試合、ACL出場権争いからも目が離せない。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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