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大人気ミュージカル『RENT』で注目、MIMI役に抜擢された青野紗穂 19歳の魅力

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
右から3番目が青野紗穂

この夏話題となった大人気ミュージカル『RENT』。メインで活躍するMIMI役に抜擢された19歳の青野紗穂に注目が集まっている。

故ジョナサン・ラーソン氏の作詞、作曲、脚本により制作されたブロードウェイ・ミュージカル『RENT』。初演は1996年、オフブロードウェイのワークショップにて上演。大好評を博し、同年オンブロードウェイへと昇り、トニー賞ミュージカル部門で4部門を受賞。ピューリッツァー賞ドラマ部門でも最優秀作品賞受賞の数々の栄冠に輝き、現在では、世界的名作ヒット・ミュージカルのひとつに数えられている名作だ。

20年以上熱狂的に愛され続けてきた『RENT』が、2017年7月2日(日)から8月6日(日)まで、東京日比谷シアタークリエにて上演された(※8月10日(木)より名古屋、大阪、福岡公演がスタート!)。

RENT の熱狂的なファンは“レントヘッド”と呼ばれ、カルチャーとしてそれぞれの国に深く根ざしている作品だ。その理由に、客席をも巻き込む熱いダンス・ナンバーの数々や、またスポットを当てて取り上げられている人々が、民族差別や性差別、ドラッグ中毒者やHIV患者など、社会の中で偏見に苦しみながらも自分の人生を生きているマイノリティーであることも、観た人の心に深く突き刺さるテーマとなっている。

SNSなどで評判をチェックすると、今回初めてMIMI役を演じた19歳の青野紗穂への注目の高さがうかがえた。そこで、気鋭の新しい才能、青野紗穂がいかにして『RENT』へたどり着いたのか話を聞いてみた。

●青野紗穂 独占インタビュー

ーー毎日の『RENT』公演で忙しそうですね(※取材日:7月19日)。

紗穂:そうですね。『RENT』のMIMIはダブルキャストなんです。なので、シングルの方々に比べれば全然楽だと思います。プラスまだ19歳だから回復が早いというか、寝れば元気になるという(笑)。

ーーいま11ステージ目ですよね。先程終えられたばかり?

紗穂:はい、そうですね。

ーーどんな気持ちですか?

紗穂:11ステージ目にしてはじめて舞台上でセリフを噛みました(苦笑)。なんていうか、稽古中の『RENT』を通して見ていた世界と。本番がはじまって時間が経過して『RENT』を通してみる日常が全然違うように感じています。というのも、はじめて『RENT』を通して生活をするようになって、新しい発見があって楽しかったんです。毎回ステージ上でお客さんと向き合いながら、人と関わったり、ぶつかったりして。だんだんと意識も変わってきて、もっと私の奥の部分を感じて欲しい。とか、そんな気持ちが深くなりました。

ーーRENTにおいてMIMIって重要な役ですよね。まさに紗穂さんは、大抜擢だったんだなって。

紗穂:本当にありがたいですね。

ーーしかも、初日から完成度が高くて。良い感じでスタートしましたよね。

紗穂:毎日『RENT』な生活を楽しんでいますよ。それこそ休みの日は、基本食べたいものを食べて、『RENT』の台本とにらめっこしてたり。あとは映画やブロードウェイ作品を観たり。『RENT』の歌を歌っていたり。2時間半くらいかけて一人で『RENT』してみたり(笑)。もう無意識に、毎日やっていることだから。休みの日も11時くらいからメイクしはじめて。普通に服を着替えて。14時くらいにはスタンバイ完了している自分がいました、家で!(笑)

ーー日常生活から、『RENT』の世界観に入り込んでいるんですね。

紗穂:そうですね。ちょっとびっくりしました。自分でも。

ーーここまで大きな舞台ははじめてだそうですね。不安はありましたか?

紗穂:不安でしたよ。とんでもない不安が。でも、若いというか、ほかの出演者の方からしたらガキンチョにしか見えない年齢だし。お芝居の経験もそんなになかったですし。なにせもう、素晴らしい方々が出演されていて。そんな中で MIMI役をいただいて。すごく嬉しかったんですけど。それ以上に不安すぎて。受かりましたという連絡が来た瞬間に、何分かはフリーズしたぐらいで(苦笑)。

●ダンスをはじめたきっかけ

青野紗穂
青野紗穂

ーー元々ミュージカルや演劇の道を志していたわけではないんですよね?

紗穂:そうなんですよ。ミュージカルは観るものという意識しかなくて。自分がやるとは思っていませんでした。

ーー最初興味あったのはダンス?

紗穂:そうですね。5歳からずっとダンスをやってました。幼稚園の頃、人前で話せない性格だったんですよ。お姉ちゃんがすごく気さくな子だったので。私はもうお姉ちゃんの後ろに隠れているか、お母さんの足をずっと持っているかという。人に質問されるだけで、泣いちゃう子でした(苦笑)。小学校受験でも、面接で喋れなくて落ちてしまって。それで、お母さんがこれはいかんということでダンスをやらせようって。

ーーそんなきっかけだったんですね。

紗穂:ダンスでオーディションを受けたのがエイベックス主催の『キラット☆エンタメ・チャレンジコンテスト2007』でした。初年度でモデル部門の特別賞で受かって。そのままスカウトされてレッスン生となりました。モデルをしたりダンスをしたり。レッスンを重ねているうちに、モデルのテストがあって。でも、その日の待ち時間がすごく長かったんですね。廊下でリラックスするために音楽を聴きながら声に出して歌っていたんです。そうしたら、スタッフさんが「歌も楽しいからレッスン受けてみなよ!」と勧めてくれたのが歌うことになったきっかけでした。

ーー打ち込めることが見つかって、友達もできたり?

紗穂:はい、おかげでコミュニケーションを取れるようになりましたね。

ーー10代前半で歌手活動を志されて、N.Y.アポロ・シアターのアマチュアナイトのキッズ部門『Stars of Tomorrow』に出場し、なんと優勝してしまったという。

紗穂:海外にすごく憧れを持っていました。日本人って一般的に世界と比べると、細かいことが得意じゃないですか? それってダンスも一緒で。でも、グルーヴ感でいうと欧米とは文化的に違うように感じたんですね。そこが羨ましくて。なんで立っているだけで、あんなにカッコイイんだろうみたいな。その時の私のダンスの師匠が、アポロ・シアターのアマチュアナイトのことを教えてくれたんです。実力で判断してくれる場所だから、最初はそこを目指しなさいって。

ーー2012年でしたっけ。14歳のときですね。

紗穂:そうですね。ん、もう5年前か〜。

ーーその頃はどんな音楽が好きだったんですか?

紗穂:王道の洋楽ポップスですね。R&B、HIP-HOPが大好きでした。今でも楽屋でレゲエやスペイン語で歌っているR&Bなどを聴いて、南国気分にしてテンションが上げるみたいな。

ーー音楽がいいスイッチになるのかな?

紗穂:スイッチ切り替わりますね。

ーー邦楽は?

紗穂:邦楽は、小さい頃からほとんど聴いてなくて。それで、歌のレッスンをすることになってから邦楽を聴くようになりました。はじめて聴いた邦楽は中島美嘉さんの「LIFE」(2007年)でした。

ーーダンスも洋楽で踊ることが当たり前と。

紗穂:はい。

ーーその後、意識的に邦楽で面白いなと思うアーティストはいましたか?

紗穂:そうですね、すごく好きになったのが福原美穂さん。よくライブにも行ってました。やっぱりグルーヴが凄かったんですよ。日本語なのに日本語に聞こえなくて。でもしっかり伝わってくるというか。すごく衝撃的でした。

●歌とミュージカルの違い

堂珍嘉邦×青野紗穂
堂珍嘉邦×青野紗穂

ーーずっと持ち続けている夢はあるんですか?

紗穂:あります。大きすぎるんですけど。スーパーボールのハーフタイムショーに出たいです。死ぬまでには立ちたいなと。

ーーいいですね。ちなみに、スクールではたくさんレッスンされた?

紗穂:ここ数年は、学校終わったらレッスンするか、ライブかっていう生活でした。学校終わって遊びに行こうってこともなかったですね。

ーーレッスンで同期っていうと、アイドルが多いのかな?

紗穂:そうですね。アイドルさんが多いですね。

ーー友達だった人とかいますか?

紗穂:SUPER GiRLS(スパガ)のメンバーですね。あとはモデルさんとか。

ーー音楽アーティスト活動をしながらも、2015年に、エイベックスから5曲入りミニアルバム『INTRODUCTION』が出るまではいろいろ焦りがあったのでは?

紗穂:ありました。もう、びっくりするくらい……。同い年、同期の子がどんどんデビューしていくんですよ。何が自分の中で引っかかっているんだろうとか。何が足りないのだろうとか。じゃあこれをすればいいのか、あれをすればいいのかって悩んで。それは、今でも続いていて、ずっと考え続けていますよね。自分としては焦っているんですけど。19歳という年齢が微妙で、周りからはまだ大丈夫だよと言われるギャップだったり、一時期はすごく悩みましね。

ーー『INTRODUCTION』を出された際は感慨はあった?

紗穂:特別な感じはなかったです。まだまだほんのスタートに過ぎないなと。でも、アルバムの中の1曲で、福原美穂さんに作曲で参加していただいたので、それは嬉しかったですね。

ーーその後、寺山修司×宇野亞喜良の音楽劇『人魚姫』に出たんですよね? 演劇ははじめてだったんですよね? しかも寺山修司×宇野亞喜良って、サブカル的にすごい組み合わせで。

紗穂:もともと寺山修司さんのことは知ってはいたんですよ。でも、そこまで深く掘ったことはなかったんです。しかも『リトルマーメイド』という有名なお話を、寺山修司さんが脚色という。不安というよりも、楽しみの方が強かったです。

ーーこれもオーディションだったのですか?

紗穂:演出家の藤田俊太郎さん(2005年から2015年春まで蜷川幸雄作品に演出助手として参加していた経験があり、『第22回読売演劇大賞』の杉村春子賞と優秀演出家賞を受賞)が、オファーしてくださいました。私がアポロ・シアターで歌ったときの動画をYouTubeで観て興味を持ってくださったようで。主演としてお声がけいただいてしまったのです。

ーーへぇ、人生は見えない糸で繋がっているんですねぇ。勉強になりましたか?

紗穂:なりましたね。そして、よく泣きました。初日から涙がポロポロ出ていたり。役のマルドロールという人魚姫はMIMIとは正反対なんですね。もちろんMIMIも純粋なんですけど。なんていうか純白の。すごく綺麗なモノというよりかは透き通る空気みたいな存在で。どこまでも純粋な役柄でした。

ーー演劇での手応えは感じられたんですか?

紗穂:手応えはまだなかったです。でも、もっと挑戦してみたいという気持ちは生まれましたね。やっぱり音楽で成長したいという気持ちも強かったんですよ。当時は、ミュージカルはミュージカル、音楽は音楽という感覚だったので。自分にあった曲を探したいだとか、どんな歌い方をしたいっていうテクニカル的な部分にしか目を向けていなかったんです。それが、逆に自分も縛っていて辛かったのかもしれませんね。

ーー歌手とミュージカルの違いはどういうところに感じていますか?

紗穂:『人魚姫』に参加した時は、お芝居は別世界のものと感じていました。自分と別の人になって、何かを伝えて話すことなんて今までなかったから。すごく不思議な世界だなと感じました。でも『RENT』に参加してみて気づきました。役うんぬんではなくまず自分がしっかり地に足をつけて、台本の中の世界を必死に生きるかってことが大事なのではないかと。そして、愛情がどれだけ大切なのかっていうことも。でも、舞台だけじゃなくて、歌にも繋がっているなって感じて。今はあんまり、歌手とミュージカルの違いとか、違和感は感じなくなりました。

●『人魚姫』を経由して『RENT』と出会う

ーー成長というわけですね。良い作品に巡り合えてよかったですね。ちなみに『RENT』は知っていたんですか?

紗穂:以前、「Seasons of Love」をライブで歌う機会がありました。なので、映画も観ていました。

ーー『RENT』のオーディションを受けた理由は?

紗穂:『人魚姫』の舞台を観に来てくださった東宝の方が「よかったよ!」と、『RENT』のオーデションの話をいただきました。だから全てつながっているんですよ。

ーーほんとだねぇ。面白いですね。ちなみに『RENT』はNYで生まれた物語で、いろんな生き方、多様性のある考え方を持った人間たちが登場しますよね。観客は自分だったらどうだろう、と考えさせられる物語だと思いました。この作品この物語を、ご自分でどう受けとめられましたか?

紗穂:最初は、壮大すぎて。“愛とは何か?”みたいなものを投げかけられているような気がして、どう受けとめたらいいのだろうと考えさせられました。あと、どれだけカンパニーのみんなの前で、舞台上で心から裸になれるか。どれだけ自分に正直になって自分と向き合えるかっていう。普段、日常生活でこれほど自分自身と向き合う機会ってあんまりなかったので、辛かったんですけど、自分の中のネガティブな感情を受け入れることが大変でしたね。あれ質問なんでしたっけ(苦笑)。

ーー自分の気持ちをどんどんさらけ出していかないと伝わらないということですよね。

紗穂:そうですね。私は最初、カンパニーの中で一番殻を被っていた人だと思います。演出家のアンディーに毎日「なんでそんなに自分をプロテクトしなきゃいけないの。プロテクトしないと紗穂は死ぬのか?」と言われたり。「わかった。じゃあ、できないなら帰っていいよ。怒らないから」みたいなことを言われて。帰れってなんだよってイラっときたりして。他にも「お前はケチな女だとか。なんで自分をそんなに出すのが惜しいんだ」とか。「自分をさらけ出さないとMIMIという人間と紗穂という人間はコネクトできない」って言われたり。「正直に生きていない人に、正直に生きているMIMIの役はできない」と。「でも別にMIMIである必要はなくて、そこでちゃんと紗穂として生きていれば。足元の地面を感じていればいいんだよ」っていう話とか。それらはすべてアンディーが私の性質を見抜いてアドバイスしてくれたと思うんです。それを少しづつ受け入れながら、徐々に心の殻が取れていったんだと思います。

ーー深いですねぇ。それこそ、役を演じることと紗穂さん自身がつながる瞬間ってことですね。

紗穂:そうですね。MIMIは、いろいろなハンデがある中で生きているので自分よりも複雑で大変な人生ですが。でも、つながる部分は多いと思いました。

ーー『RENT』は、再演が繰り返されている作品なので、継続して参加しているキャストが多いじゃないですか? そうなると、初参加の6人と、これまで参加されていたキャストとはまた全然感覚が違いそうですね?

紗穂:そうですね。振り付けとかは継続組が多い分、早いスピードで稽古が進んでいって、はじめての人たちは、必死にノートを取るというのが日々の光景でした。でも、はじめてという感じで扱わないようにしてくれていたので、わからないことがあれば、お互いディスカッションしてくれたり、無理な時は引っ張ってくれたり。それこそ愛情で包んでくださったりだとか。本番を迎えるにあたっては、いろいろありましたね。最初はやっぱり、続けて出られる方も多いから、足を引っ張らないかなと不安だったんですけど、そんな不安を一気に消し去るような素敵な方々で。びっくりするくらい心の優しい人たちでした。

ーーそれが『RENT』らしさなのかもしれませんね。いい仲間に出会えたということですね。

紗穂:そうですね。なので自分は今『RENT』で生きているんだなと思いました。みんなハートフルな人たちばかりで。愛情っていうのにどれだけ貪欲に生きていけるかとか。自分のハンデを自分でどう受け入れるかを、ちゃんと考えられる時間があったし。すごく本当にファミリーな感じです。

●『RENT』ファミリーとのやりとり

RENT ファミリー
RENT ファミリー

ーー同じくダブルキャストでMIMI役を演じられる先輩、ジェニファーさんはどんな存在でしたか?

紗穂:最初は正直緊張しました。『RENT』にずっと出演され続けている大先輩ですから。

ーージェニファーさんはMIMI役を何年くらい?

紗穂:5回全てに出演していて10年目ですね。10年やられている方とダブルキャストというのは緊張しました。でも、ジェニファーさんが今まで見た自分以外のMIMIの中で一番コネクトしている部分が多い気がすると言ってくれたんです。もちろん今までのMIMI役の方々も素晴らしいんですけど、私の年齢もそうだし、立場もそうだし。抱えているハンデの大きさ。それを感じている自分の気持ちも。「毎回、頑張らなくていいから自分に自信を持ちなさい」と言ってくださって。すごく支えてくださいました。もちろん怒られることもあるんですけど。それは私のことを考えてくださっているからなんですよ。お姉さんなんですけど、私の中では見守ってくださっている女神様みたいな感じですね。

ーージェニファーさんの舞台をみてどうでしたか?

紗穂:もう凄すぎて終始、口があんぐりでした。人一倍『RENT』に対して、MIMIに対しての愛情が強いので、それがびっくりするくらいストレートに伝わってきて。感動するというより、直接心を触ってくるようで、言葉が出ませんでした。すごく可愛らしかったり、儚かったり。それでいて強くて。なんなんですかね。ジェニファーさんのMIMIってすごい不思議ですよね。

ーー素敵な先輩とも巡り会えたんですね。MIMIの相手役であるROGERを演じる堂珍嘉邦さん、ユナク(超新星)さんの2人はどんな存在ですか?

紗穂:お稽古場ではすごくお兄さんな感じで。ユナクさんは演技のことを教えてくださったり、堂珍さんはすごく私に寄せてくれるというか、気にかけてくださって。ユナクさんは日によって、私の芝居がちょっと違ったりしても、それを受けて違う風に返してくれたりだとか。よくアンディーが言うんですけど、瞬間瞬間の反応が新鮮なほど良いと。2人とも形容が違うROGERなので毎日が新鮮でした。

ーーダブルキャストで、役柄がクロスしていくってすごい経験ですね。

紗穂:MIMIとROGERは一番リアルに近いカップルだと思います。お互い思っていることがあるのに言えなかったり。そのまますれ違ってしまって爆発して。また仲良くなったと思ったら、些細なことでずれていったり。それが日常的であり非日常的でもあるというか。それをダブルキャストで行うので、確かに毎回が新鮮だと思います。

ーー作品にリピーターがつくというのがよくわかりますね。ダブル・キャストならではのクロスしていく楽しみ方もあるんだなと思いましたね。後、『RENT』と言うホームに帰ってこれる感覚が、お客さんとしても嬉しいんでしょうね。

紗穂:しかも舞台は生ものなので日によって、ハプニングがあるのも楽しいですよ。

ーーシンガーである先輩のおふたり、上木彩矢さんと紗羅マリーさんというMAUREENペアはいかがでしたか?

紗穂:上木さんは、言葉の強さというか。毎回素晴らしくて。本当にお姉さんのような存在です。困ったことがあったら相談にのってくださったり、励ましてくださったり、とっても可愛がってくださいました。歌も抜群ですし。彩矢さんはMAUREENそのものです。破天荒なんですけどとても芯があって、すごく素敵な女性です。

ーー紗羅マリーさんは?

紗穂:紗羅さんもやっぱりMAUREENそのものですよね。クレイジーという言葉がいい意味でぴったりな気がする。発想がびっくりするくらいぶっ飛んでいて、毎回、楽しませていただいてます。楽屋に置いてあるオブジェもすごく変わっていて。貼ってあるシールとかもすごくて。でも、紗羅さんは実はすごく男っぽいところもあったり。そうそう、みなさんそれぞれ楽屋がおもしろいんですよ。キャラクターが出ますよね。

ーー紗穂さんは、楽屋に何か置いていたりされるんですか?

紗穂:私はぬいぐるみを置いています。お姉ちゃんからもらったディズニーのテディベア、ダッフィーの女の子ちゃん。『美女と野獣』のベルの格好をしたシェリーメイを本番前に抱いて、トロピカルな曲を聴きながら待機しています(笑)。

●『RENT』を経験して得た成長

青野紗穂
青野紗穂

ーーちなみに、普段リラックスしたい時はどんなことされているんですか?

紗穂:ボブマーリーの写真集を音楽をかけながら見ています。キャンドルをつけて。あと本番前、家を出る時はおばあちゃんの写真にお話します。それが一番リラックスかな。あとは食べたいものを食べたいだけ食べるとか(笑)。

ーー何がお好きですか?

紗穂:お肉が大好きで。もつ鍋か焼肉か、焼き鳥。あとはステーキも。この間、2日連続もつ鍋、2日連続焼肉に行って最高でした。

ーー『RENT』を経験されて、自分の中で成長を感じられたことってありますか?

紗穂:ちょっとしたことなんですけど、日常の一瞬一瞬をすごく大事にするようになりました。すごくドラマチックに聞こえるかもしれないんですけど、朝起きた時の部屋の空気や、外に出た時の日の射し方とか、葉っぱが落ちてくる感じとか。そういうのをすごく感じるようになりました。それって、日々当たり前のようでいて、でも当たり前ではないんですよね。それを感じるのがすごく楽しくて。そんな日常を意識することで『RENT』で感じることが変わってきたり。なので、すごく1日が長くなりました。日々がすごく楽しくなりました。楽しいってこういうことなんだとか、笑顔って大事なんだなとか。逆に悲しい時に自分を受け入れるって大事なんだとか。些細なことを大事にできるようになりました。

ーーMIMIを演じられていて、どの場面が一番すきですか?

紗穂:2つあります。曲でいうところの「Light My Candle」と「Without You」です。「Light My Candle」は一番大事なシーンというか、はじめてROGERに出会うシーンで。ROGERが拒否するけどちょっと歩み寄ってくれる感じとか。しかも暗い部屋の中で、灯りを照らしながら男女がかけひきするというロマンチックなシーン。逆に「Without You」は唯一抽象的な言葉を使った歌だけど核心をついてるというか。これは言葉ではうまく表せないんですけど、ひとつの感情が重きになっていて、独りよがりではなくすごく大きな話をしているんですけど、核心をついている場面で。好きなシーンですね。

ーーでは、最後の質問です。紗穂さんにとって『RENT』とは?

紗穂:大事な存在です。これに尽きます。ミュージカルファンにはもちろん観ていただきたいですが、ミュージカルが苦手な方やまだ観たことがない方々にこそ知って欲しい作品ですね。一瞬一瞬を、一生懸命生きている姿が描かれています。ライブ感覚で観れる楽しさもあると思います。

ーー紗穂さんとしては『RENT』で頑張りつつも、今後はシンガーとしての活躍も楽しみですね。

紗穂:そうですね。いろいろできればいいなぁ。最近、曲を作ったり歌詞を書いたりしているんですけど、ジャンルはひとつに固定せず何か伝えられるようなもの、共感してもらえるようなものを形にしていきたいなと思っています。

まだ19歳でありながら、圧倒的な歌唱力と、舞台2本目とは思えない熱のこもった迫真の演技で観客を魅了し、東京公演を駆け抜けた青野紗穂。青野MIMI、紗穂MIMIのファンは東京公演中に急増し、連日SNSを賑わせた。これから控える、愛知・大阪・福岡での公演を経て、更なる飛躍を遂げることだろう。今後も彼女が『RENT』で培った経験と愛を武器に、様々なステージでの活躍を期待したい。

シアタークリエ ミュージカル『RENT』

http://www.tohostage.com/rent2017/

▼名古屋公演:8月10日(木)

会場:愛知県芸術劇場 大ホール

http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/1351

キョードー東海

052-972-7466

▼大阪公演:8/17(木)~8/22(火)

会場:森ノ宮ピロティホール

http://www.kyodo-osaka.co.jp/schedule/E018490-1.html

サンライズプロモーション大阪 キョードーインフォメーション

0570-200-888

▼福岡公演:8/26(土)~8/27(日)

会場:福岡市民会館 大ホール

http://www.picnic-net.com/stage/08.26rent.html

ピクニックチケットセンター

050-3539-8330

青野紗穂 Twitter

https://twitter.com/aono_saho

青野紗穂 Instagram

https://www.instagram.com/sahoaono/

青野紗穂 HP

http://avex-management.jp/artists/AONOS/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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