Yahoo!ニュース

カブスがトレードで放出した一塁手は2年前にマイナーリーグで36本塁打、来年27歳。新天地で開花も!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・マービス Apr 26, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月29日、マイアミ・マーリンズは、ビダール・ブルーハンと交換に、シカゴ・カブスからマット・マービスと金銭を獲得した。

 ブルーハンは、内外野を守る。マービスは、一塁手だ。2人とも、2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は27歳。それぞれ、2月と4月に誕生日を迎える。

 マービスは、2022年にマイナーリーグで137試合に出場し、打率.309と出塁率.379、36本塁打、OPS.984を記録した。ホームランの内訳は、A+の27試合で7本、AAの53試合で14本、AAAの57試合で15本だ。二塁打も多く、計40本を数えた。

 2021年の夏に、カブスは、一塁手のアンソニー・リゾー(現FA)をニューヨーク・ヤンキースへ放出した。その後、フランク・シュウィンデルが一塁を守り、56試合で打率.342と出塁率.389、13本塁打、OPS1.002とブレイクしかけたものの、翌シーズンの継続はならず。2022年と2023年の一塁は、流動的な状態が続いた。

 マービスは、2023年の5月初旬にメジャーデビューした。チャンスが巡ってきたということだ。けれども、27試合で打率.167(90打数15安打)と出塁率.242、3本塁打、OPS.531。6月中旬にAAAへ戻された。ちなみに、AAAでは、昇格前と降格後を合わせ、100試合で打率.282と出塁率.399、22本塁打、OPS.932を記録した。

 今年1月、カブスは、ロサンゼルス・ドジャースから一塁手のマイケル・ブッシュを獲得した。その時点のメジャーリーグ出場は、ブッシュもマービスとまったく同じ、2023年の27試合に過ぎず、スタッツも打率.167(72打数12安打)と出塁率.247、2本塁打、OPS.539だったが、こちらも、マイナーリーグではよく打っていた。

 また、ドラフト外でプロ入りしたマービスと違い、ブッシュは2019年のドラフト全体31位だ。マービスは、2016年のドラフトでワシントン・ナショナルズから39巡目・全体1174位に指名され、それを断って大学へ進んだ。

 ブッシュは、メジャーリーグ2年目の2024年に、一塁手として130試合のスターティング・ラインナップに名を連ね、152試合で打率.248と出塁率.335、21本塁打、OPS.775を記録した。マービスのメジャーリーグ2年目は、シーズン序盤の9試合にとどまった。

 一方、2024年にマーリンズで一塁手として50試合以上に先発出場の2人のうち、ジョシュ・ベルは夏のトレードでアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移り(オフにFA)、ジェイク・バーガーは今月中旬のトレードでテキサス・レンジャーズへ移籍した。

 彼らに次ぐ、一塁手として34試合に先発出場のジョナ・ブライドは、71試合で打率.276と出塁率.357、11本塁打、OPS.818ながら、メジャーリーグ3年目の開花と呼ぶには、サンプル数が少し足りない気がする。過去にプロスペクトと目されていたわけでもなく、数日前に29歳となった。

 ブッシュとブライドを比べると、マービスが台頭するチャンスは増した、という見方もできなくはない。

 なお、今回のトレードで移籍した2人は、2024年にメジャーリーグのマウンドにも上がった。マービスが打たれた二塁打3本のうち、1本目の相手は吉田正尚(ボストン・レッドソックス)だった。ブルーハンは、被本塁打2本の2本目を大谷翔平(ドジャース)に打たれた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事