横浜がアフリカに染まる日
いま横浜で、アフリカが盛り上がっています。
8月28日~30日、アフリカ各国から首脳級の要人が横浜に集まり、TICAD7(ティカッド・セブン)(※)という国際会議が開催されるからです。
(※)第7回アフリカ開発会議
国際会議と記すと、おかたい話題に聞こえますが、実はTICAD7はひと味違うんです。
アフリカは、まだまだ日本では「マイナー」かつ「ニッチ」な存在。
少しでも広くその存在に触れてもらえるよう、官民が連携して「アフリカに興味がない人も楽しめるイベント」が準備されているのです。
いくつか例を紹介すると――。
まず「美空ひばり×盆踊り×アフリカ」がコラボレーションする「BON for AFRICA」。
平たく言えば、日本とアフリカの合作による「新しい盆踊り」です。
「BON for AFRICA(アフリカ盆踊り実行委員会)」は、日本舞踊家の孝藤右近氏を中心に様々な業界からアフリカへの想いを持ったメンバーが集まり立ち上げられたプロジェクトです。
孝藤右近氏とTRFのリーダーDJ KOO氏が7月にアフリカに赴き、現地の人々と美空ひばりさんの名曲「川の流れのように」に合わせて踊る映像は必見です。
8月27日に横浜の「象の鼻パーク」で開催される「アフリカ盆踊り」には、DJ KOO氏と孝藤右近氏のユニット「UKOON」、オスマン・サンコン氏、Oswald KOUAME氏も参加予定とのこと。
参加費無料・入退場自由ですので、夏休み最後の思い出に「アフリカ盆踊り」などいかがでしょう?
TICAD7前夜祭 BON for AFRICA ~アフリカ盆踊り~ ※TICAD7公式パートナー事業
続いては9月1日に有楽町朝日ホールで開催される「Tokyo Africa Collection 2019」。
特別ショーディレクターに元AKB48の秋元才加氏を迎え、「最もアフリカらしくないアフリカ」をテーマに、知られざるアフリカの魅力をお届けする新感覚ファッションショーです。
運営の中心になっているのは約50人の学生。先月、秋元氏もアフリカ中部の国・ルワンダを訪問し、同地で開催された「Kigali Fashion Week 2019」を視察し来日予定のデザイナー・モデルの方々と交流を深めたそうです。
当日は、アフリカ各地から来日するデザイナーの作品披露や秋元才加氏の特別セクションに加え、ショーではアフリカ各国の魅力をコンセプトに据えたオリジナル衣装も製作・披露予定とのこと。
こちらは入場チケットが必要ですが、22歳以下であれば800円(当日券は1000円)で入場できるようです。
つい最近も、色とりどりの高級ブランドのスーツを身に纏った「サプール」と呼ばれる、アフリカ発の男性ファッションが話題になりました。
多様な文化と歴史が交差するアフリカ。
その大地から生まれた「新感覚のファッション」は、間違いなくみなさんの好奇心を魅了するはずです。
Tokyo Africa Collection 2019 ※TICAD7公式パートナー事業
ビジネス関連では、今週日曜日8月25日に東京赤坂で開催される「Good Africation Meetup 2019」がバラエティーにとんでいて興味深いイベントです。
ビジネス、カルチャー関連の「トークセッション」「ワークショップ」「ブース出展」と、三つのコンテンツが準備され、主催の「Africa Quest.com」が、そのキャッチコピー「アフリカに挑戦する日本人の為のニュースメディア」をフル活用した内容になっています。
トークセッションには、実際にアフリカで活動されている方が登壇されるようですし、ワークショップではコーヒーを使って絵を描く「珈琲画」など珍しい体験もできるようです。
会場にはアフリカ料理などの軽食やドリンクも用意されるようなので、アフリカにビジネスチャンスを求めている方だけでなく、家族で参加するのも面白そうです。
※TICAD7公式パートナー事業
他にもSDGsや平和、教育、医療、農業などのベーシックなテーマから、スポーツに関連するイベントまで、TICAD7の公式サイトやJICA(国際協力機構)、横浜市のサイトなどに多数掲載されていますので、興味がある方は是非ご覧ください。
TICADとは?
TICADとは「Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)」の略称で、アフリカの開発をテーマに1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)が共同で開催しています。
今回の議論の概要は、外務省のサイトに以下のように記されています。
またまだ詳細は発表されていませんが、首脳級間で2国間会談も多数予定されているとのこと。
あと少し変わったところでは、「野口英世アフリカ賞」という賞の授賞式も行われます。
なぜアフリカと野口英世氏が繋がるのかというと、1928年、黄熱病の研究中に自らも黄熱病に感染してしまい51歳の短い生涯を閉じた地がアフリカだったためです。
話が少し逸れますが、最期の地である西アフリカの国・ガーナには、1979年に日本の協力のもと、ガーナで深刻な問題である感染症の研究を行う「野口記念医学研究所」が設立され、本年2月には「先端感染症研究センター」も完成し、アフリカをリードする感染症対策拠点となっています。
受賞者は、「アフリカでの感染症等の疾病対策のための医学研究・医療活動の両分野において顕著な功績を挙げ、アフリカに住む人々の保健と福祉の向上に貢献した方々」とされていて、第三回目となる今回の受賞者は以下のお二人です。
・ジャン=ジャック・ムエンベ=タムフム博士(コンゴ民主共和国)
エボラウイルス病等の研究及び疾病対策の人材育成において多大な貢献
保健従事者の教育、研修、定着及び移住を含む世界の保健人材(HWF)危機への対処、また、アフリカはじめ世界での人材重視の保健及び医療制度の構築において多大な貢献
アフリカの水を飲んだ者は、アフリカに帰る
散々ここまで「アフリカ」と記してきましたが、「アフリカ」は国ではなく地域名です。地表面積の約20パーセントを占める地域に54もの国があり、約10.6億人が暮らしています。
未だアフリカが「地域」として、「それぞれの国」として、多くの問題を抱えていることは否定できません。しかしその一方で、アフリカに関係する人々の間では「アフリカの水を飲んだ者は、アフリカに帰る」という格言があります。
不思議なことに、一度その大地を踏んだ人は、なぜかアフリカに戻りたくなってしまうのです。
その理由は、「人」であったり、「自然」であったり、「体験」であったり、みんなそれぞれ違います。ただ、散々嫌な思いや辛い経験をして「金輪際アフリカの大地は踏まない!」と強く誓っても、ある日ふと「アフリカに帰りたい……」という衝動が湧きあがってくるのです。
TICADは実際にアフリカまで行かずとも、多種多様な「アフリカ」に触れられる3年に一度のお祭りです。可能な方は会場でその雰囲気を肌で感じ、足を運ぶのが難しい方はソーシャルメディアなどで流れる情報を通して、「知らなかったアフリカ」に是非触れてください。
そしていつの日か、実際に54ある国のどこかで「アフリカの水」を堪能してくれると嬉しい限りです。