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春の空気は雪国へも一気に北上 多雪地帯は雪解け災害に要注意

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
屋根から滑り落ちる雪(写真:イメージマート)

春の空気は雪国へも北上

上空の気温予想(ウェザーマップ)
上空の気温予想(ウェザーマップ)

きのう8日(火)は、曇雨天模様となった関東地方で特に気温が上がらず、東京都心の最高気温は8.0度と真冬並みの寒さとなりましたが、きょう9日(水)は、冬の空気が北日本へ北上していき、東京都心の最高気温は13.6度とほぼ平年並みに戻りました。

さらに上空1500メートル付近で0度以上の春の空気に包まれた九州を中心に、西日本では15度以上の所も多くなりました。

この春の空気は、上図の通り、今週後半にかけて東日本から東北地方へと一気に北上していく見込みで、特に関東以西には一段と暖かな空気が流れ込むため、20度以上の4月半ば頃の陽気となる所も多くなりそうです。

一方、雪国では、なだれや屋根からの落雪、融雪洪水など、雪解けによる災害に、いっそう注意が必要となります。

東京都心は初20度以上

東京都心の予報(ウェザーマップ)
東京都心の予報(ウェザーマップ)

ウェザーマップが発表している東京都心の予報では、あす10日(木)は5日ぶりに15度以上まで上がり、あさって11日(金)には18度、そして12日(土)には、今年初めて20度の大台を突破する予想です。

そして当面ピークとなる13日(日)には21度と4月下旬並みの陽気が予想されており、その後週明けにかけても、雲は多めながら連日20度近くまで上がる予想です。

ウェザーマップが発表している最新のさくらの開花予想では、東京都心の開花は全国で最も早い来週週末の19日(土)となっています。ただ来週の気温はもう少し低くなる可能性もあり、低い方への振れ幅によっては、開花が数日後ろにずれ込むかもしれません。

雪国は一気に雪解けが進む

積雪の深さと平年比(気象庁発表に筆者加工あり)
積雪の深さと平年比(気象庁発表に筆者加工あり)

上図は気象庁が発表しているきょう9日(水)現在の積雪の深さとその平年比を表したものです。

この冬の多雪傾向を反映して、日本海側や山沿いの多くの所で平年より多くの雪が積もっており、平年の2倍(赤色)から3倍(紫色)以上の所も目立つ状態です。

ただこれから週末にかけての気温上昇で一気に雪解けが進みますので、なだれや屋根からの落雪、融雪洪水などにいっそう注意が必要となります。現在、東北から中国地方にかけての広い範囲になだれ注意報が発表されており、これからしばらくの間、雪解けによる災害に要注意です。

積雪300センチ近い津南も陽春へ

新潟県津南の予報(ウェザーマップ)
新潟県津南の予報(ウェザーマップ)

新潟県の津南では、先月24日に積雪が419センチに達し、これまでの積雪の記録を更新しました。

その後も雪の降った日は幾日もありましたが、目立った大雪はなく、積雪は順調に減り、きょう9日(水)午後2時の積雪は285センチとなっています。これでも平年よりはまだ1.5倍近い積雪となっており、これから週末、そして週明けにかけて、一気に雪解けが進みそうです。

ウェザーマップが発表している津南の予報では、あさって11日(金)に11度と二桁に上がり、13日(日)には14度まで上昇、これは津南としては4月半ば過ぎの陽春の暖かさとなります。

来週の後半には一時的に寒の戻りがありそうですが、しばらく平年より暖かな状態が続く見込みです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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