『Sound Inn S』100回記念フェス開催　上白石萌音､三浦大知､リトグリ､yamaらが共演①

音楽&エンタメアナリスト

2023/7/28(金) 11:45

『Sound Inn S』が放送100回を記念して“100回記念フェス”を開催

アーティストと日本の音楽シーンを代表するアレンジャー、一流ミュージシャン達がオリジナル曲、カバー曲を一夜限りのアレンジでセッションする音楽番組『Sound Inn S』(第3土曜曜日･18時30分～)が、7月29日で放送100回を迎える。

それを記念したコンサート『Seiko Presents Sound Inn S 100回記念フェス〜音楽は時を越えて〜』が6月28日、東京国際フォーラムホールCで行われ、伊東ゆかり、上白石萌音、松崎しげる、三浦大知、yama、Little Glee Monsterが出演。30名を超えるバックバンドとの極上セッションに客席は酔った。

この模様が７月29日(土)19時から１時間スペシャルとして、さらに8月26日(土)18時30分から放送される。まずは7月29日放送回をレポートする。

ストリングスとホーンセクションを含む総勢30名を超えるバンドが、素晴らしいサウンドを会場に響かせていた。集まったファンは改めて生音の醍醐味を存分に感じ、ゲストの素晴らしい歌と交差し生まれる感動に包まれた。

MCはミュージカルへの出演経験もあるお笑いトリオ･ジャングルポケットの斉藤慎二。そして上白石萌音、三浦大知がサポートした。

オープニングは「Overture」。ショパンの「雨上がりのプレリュード」から「Stand By Me」や「JUMP」といった洋楽まで古今東西の名曲を園田涼がアレンジし、まず客席にこの日のバンドの豊潤な“音”を紹介。これから始まるセッションを想像し、気持ちが盛り上がる。

新生リトグリ､圧巻のステージ

トップバッターはLittle Glee Monster。代表曲「世界はあなたに笑いかけている」を坂本昌之のアレンジで披露。6声の凄みと楽しさが伝わり、客席からは手拍子が起こる。新メンバーを迎えた新生リトグリの“はじまりの一曲”「WONDER LOVER」は、音楽プロデューサー本間昭光がよりグルーヴィーなアレンジに仕上げ、踊りながら完璧にハモる、まさにNEWリトグリを象徴する一曲だ。迫力のある歌とコーラスでリトグリの“強さ”を象徴する「ECHO」は、笹路正徳のアレンジで披露した。現在のリトグリの充実ぶりを示すように高い熱量を客席に届けていた。

コロナ禍でバンドと“リモートセッション”を経験した上白石は「やっと“せーの”で音を出せる」

コロナ禍で収録が不可能となった2020年、同番組は『Sound Inn S @HOME』と題してアーティストとミュージシャンが自宅などで演奏する“リモートセッション”を開催し＜テレワーク演奏で名曲カバーをやってみた＞という特別映像を、BS-TBS公式YouTubeチャンネルで配信し話題を集めた。上白石萌音も参加し、松田聖子の「瑠璃色の地球」をカバーした。

上白石は「やっと“せーの”で音を出せる」と笑顔で語り、改めて「瑠璃色の地球」を笹路正徳のアレンジで歌った。バンドが奏でる優しい音に乗せ、松本隆の歌詞とその行間から伝わってくる強さと優しさを丁寧に掬い上げるように表現。オリジナル曲「ストーリーボード」は島田昌典のアレンジが、この曲が持つ切なさに強い光を当て、その光に包まれ歌う上白石の歌がさらに切なさを醸成させる。

客席が女優･上白石萌音の圧巻の“演技”に引き込まれたのが「On M y Own」(ミュージカル『レ・ミゼラブル』より)だ。音が鳴った瞬間役に入り切って表情豊かに歌い、客席に感動が広がる。MC斉藤は「生きる希望が伝わってきた」と絶賛していた。

46年前同番組のMCを務めた伊東ゆかり､松崎しげるが登場

『Sound Inn S』は1974年～1981年までTBS系列で放送されていた歴史ある音楽番組だ。この日は46年前MCを務めていた伊東ゆかりと松崎しげるが、スペシャルゲストとして登場。伊東は「Fly Me To The Moon」を、名アレンジャー･前田憲男が手がけた当時のアレンジで披露。ビッグバンドならではのゴージャスなサウンドに乗せ、クールな歌声を聴かせてくれた。

松崎も「Stardust」を船山基紀のアレンジで歌い、「当時洋楽カバー曲を歌うことが多かった」というこの番組の雰囲気を伝えた。レジェンド二人の見事な歌に誰もがうっとりと聴き入っていた。

三浦大知「music」で総立ちに

三浦大知はこの番組について「プロデューサーさん、アレンジャーさんとの出会いの場」と、自身の音楽活動に刺激を与えてくれる存在と語り、この番組でコラボした斎藤ネコがアレンジしたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の主題歌「燦燦」を、斎藤の指揮で歌った。どこまでも美しいストリングが印象的で、ダイナミックかつ優しく生命力あふれるアレンジが、三浦の力強く繊細な歌と融合し、深い感動を与えてくれる。

「ALOS」は自身が作詞を手がけた、言葉が際立つ優しい歌だ。河野伸のアレンジがその言葉をまっすぐ届け、広がりを感じさせてくれるサビがどこまでも心地いい。三浦が心からセッションを楽しんでいるのが伝わってくる。ラストは「立って盛り上がってみましょうか」という三浦の言葉に促され、全員がスタンディングで「music」(アレンジTomi Yo)を手拍子で一緒に“奏でる”。