Omoinotake 深化した“踊れて泣ける”ポップス――ドラマ主題歌「ラストノート」に集まる注目
ストリーミング累計が自身初の3億回再生を突破した「幾億光年」
Omoinotakeの新曲「ラストノート」が10月19日に配信され、好調だ。竜星涼と八木莉可子がW主演を務める日本テレビ系土ドラ10『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』の主題歌としてすでにドラマと共に話題になっている。2024年1月にリリースし、ストリーミング累計が自身初の3億回再生を突破した「幾億光年」に続いてのドラマ主題歌ということで、注目が集まっていた。
「ラストノート」は冒頭から美しく突き抜けるファルセットが炸裂し、一気にその世界に引き込まれる。冨田洋之進(ドラゲ/Dr)と福島智朗(エモアキ/B)のリズム隊がドライなリズムを繰り返し叩き出し、かと思えば構成もメロディの展開も目まぐるしく変わり、まるで暗闇の中で行先不明の場所へ、手を引かれて連れて行かれているような感覚になる。サビ前のBメロのメロディと拍子が混沌とする意表を突いた展開が、さらにその感覚を強くさせる。そしてそんな不穏な空気を切り裂いて、光を射すように降り注ぐのも藤井怜央(レオ/Vo、Key)の歌だ。クールで妖艶な鍵盤の音を弾くレオが歌う、エモアキが手がけた歌詞、言葉が持つ意味、空気もこの曲全体を覆うシリアスな世界を色濃くしている。
「誰しもが少なからず、周りを、時には自分自身の本心を、欺瞞しながらも懸命に日々を生きている。そんな心の裏側に、少しでも寄り添えたら」
この曲についてメンバーは「主人公の二人の『人を欺きながらも助け合い生きる姿』を通して、人の持つ二面性について、思いを巡らせました。誰しもが少なからず、周りを、時には自分自身の本心を、欺瞞(ぎまん)しながらも懸命に日々を生きていると思います。そんな心の裏側に、少しでも寄り添えたらと思い書かせていただきました」とコメントを寄せている。
「ラストノート」とは時間の経過とともに変化していく香水の最後の香りのこと。この曲についてドラマの主演を務める竜星涼は「高く澄みわたった歌声は、すべてを背負うこととなってしまった主人公たちの、切なくも、孤独と闘い生きている背中を、力強く後押ししてくれています。僕ら兄妹が物語の最後にはどんな香りになっているのか? この楽曲と共に楽しんでいただけたら幸いです」とコメントしている。
希望と絶望の狭間で葛藤しながら最後に残る何かを求めて、日々を生きる人間の姿を描いた歌詞
エモアキはこの曲の歌詞について、インスタでのエッセイで次のように綴っている。「変わっていく環境の中に、溶け込まないと、生きていけなかった。方言は消えて、愛想笑いばかりが増えた、生きやすいように、言葉や、心の形は、日に日に変わっていった。僕は誰になってしまうんだろうと、自分へ問いかける言葉を詩にし続けた。どうか、本当の自分だけは、願いだけは、忘れてしまわないように、僕は、そんな備忘録が、欲しかった。僕は二人いる。二重人格なんかじゃなくって、本当の自分と、それを欺いている自分。」(中略)。
ドラマの内容とリンクしながらそこに自身の姿も映しながら、この想いがあっての、希望と絶望の狭間で葛藤しながら最後に残る何かを求めて、日々を生きる人間の姿を描いた歌詞――それを感じながら聴くと「ラストノート」の一音一音、ひと言ひと言、歌の佇まいの解像度が高くなる。本当の自分と欺いてる自分、きっと誰もがその存在をわかっているはずだ。だからこの曲は聴いた人全ての心に響くのではないだろうか。
打ち込みとストリングスが融合し、さらにドラマティックになっている。Omoinotakeは常に現行のトレンドを最新曲に落とし込みながら、「踊れて泣ける」というそのイズムを貫いている。11月5日『Omoinotake ONE MAN TOUR 2024』のZepp Diver City公演で、この曲を初めて生で聴いたが、まさに破壊力抜群。想いを“伝え”、何かを“感じてもらう”という手段が歌、音楽であるならば、Omoinotakeのサウンドと歌はさらに破壊力を抜群の増していた。
レオのファルセットは明らかに強度を増し、より美しさを増していた。これまでは超高音域になると、やや苦しそうな気配を感じたが、でもそれが逆に感情がストレートに伝わってきて、エモーショナルさにつながっていた。しかしこの日はまさに“深化”したボーカルを聴かせてくれ、強さとしなやかさを感じさせてくれ、曲が描くドラマをしっかり伝え、抜群の余韻を残してくれた。2024年の充実ぶりが音にも歌にも昇華され、感じることができたライヴだった。なおこの日のライヴは2025年1月5日(日)19時よりCS日テレプラスで独占放送されることが決定している。
1月29日メジャー2ndアルバム『Pieces』発売
この日はステージの上から嬉しい発表があった。1月29日に約1年半ぶりのメジャー2ndアルバム『Pieces』を発売することが発表されると大きな歓声が上がった。「ラストノート」「幾億光年」はもちろん「蕾」(TVアニメ「僕のヒーローアカデミア第7期エンディング・テーマ)、「アイオライト」(ブルボン アルフォートミニチョコレートCMソング)、「ホワイトアウト」(『GLOBAL WORK TVCM メルティニットはまちがいない服。篇』 タイアップ楽曲)などに加え、新曲も収録される。最新のビートと、Omoinotakeならでは切なさと人懐っこいメロディをブレンドさせ響かせてきたこの一年半の彼らの成長と進化が、あますことなくパッケージされている。
Blu-rayが付属する初回生産限定盤も用意され、Blu-rayにはバンドの結成記念日である4月28日に大阪・大阪城音楽堂で開催された「Omoinotake SPECIAL LIVE 2024“エアレンデル”」の模様が収録されている。
公式ファンクラブアプリ開設&2025年3月から全国ツアースタート
さらにこのアルバムの世界を生で伝えるワンマンツアー「Omoinotake One Man Tour "Pieces"」の開催も発表された。3月22日地元・島根県の安来市総合文化ホールアルテピア大ホールを皮切りに、3月28日大阪・オリックス劇場を始め5月2日の東京・LINE CUBE SHIBUYAまで全8公演行われる。東京と大阪でホールワンマンを行うのはこれが初めてだ。さらに待望の公式ファンクラブアプリ「オモタケラボ」が11月5日に開設された。ずっと応援してきたファン、そしてライヴでも初見のファンが多かったが、「幾億光年」をきっかけに彼らの音楽に興味を持ったファンが共にOmoinotakeとその音楽を愛し、楽しんでいく「場所」がようやくできた。
Omoinotakeはデビュー当時から「ヒット曲を作りたい」「『NHK紅白歌合戦』に出続ける」という目標を掲げてきた。そのひとつは達成した。もうひとつの目標を実現させる準備はもうできている。