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【W杯予選】韓国で会見に臨んだソン・フンミン ”20秒動画”で分かる「めっちゃいい人っぷり」

(写真:ロイター/アフロ)

日本と同じく、11日に北中米ワールドカップアジア2次予選最終節を戦った韓国代表。ホームに中国を迎え1-0の勝利を挙げた。

すでに6日の時点で最終予選進出を決めていた一方で、この日の勝利によりアジア最終予選でのトップシードを確保した。2次予選終了時にAFC内でのFIFAランキング3位以上が確定したためだ。

試合の結果もさることながら、試合前日(6月10日)の記者会見での様子が韓国で話題になっている。会見後、主将であるソン・フンミン選手の取った行動についてだ。わずか20秒ほどの出来事だが、ソン選手の人格が垣間見える瞬間だったとされている。

話題となった動画は、「XPORTSNEWS」の取材陣が撮影したもの。6月11日にYouTubeなどで拡散された。内容は至ってシンプル。記者会見に出席したソン・フンミン選手が、終了後に席を立ち、自分が座っていた椅子を含む周りの椅子を丁寧に整理する様子が映し出されている。ごく自然な、何気ない仕草ではあるものの、その姿からは日頃からの慣れと、周囲への心遣いが感じられる。

「XPORTSNEWS」はこの動画に「ソン・フンミン、記者会見終了後の席の整理もきれい」とタイトルを付けてアップ。YouTubeのコメント欄には称賛の声が寄せられ、SNSや掲示板サイトでも瞬時に拡散されるなど、大きな反響を呼んでいる。

「主将、かっこいいです」

「ソン・フンミンは『代表』という言葉にふさわしい選手。後輩たちが見習ってほしい。パク・チソンに続き、実力、人格ともに完璧なキャプテン」

「ソン・フンミンと同時代に生きていることが幸せ。怪我せずに最後まで幸せなサッカー人生を送ってほしい」

「職場で憂鬱な時、ソン・フンミンの動画を見ている。それを見て、同僚も笑顔になれる」

この日の会見では、ソン・フンミンが最近見せている「新人のために気遣いが出来る姿勢」についても話が及んだ。例えば今月6日のシンガポール戦でのこと。自身が87分に交代時、代わりに投入され、A代表デビューとなるオ・セフン(町田ゼルビア)のために走ってピッチを退いた姿などだ。

このことから、ソン自身が代表で初ゴールを挙げた2011年アジアカップのグループリーグ・インド戦のことが韓国で話題になっているという。パク・チソンのパスが起点となって、ソンの代表での「伝説」が始まったエピソードだ。

会見ではこの話題が質問として挙がった。ソンはこう答えている。

「そうだったんですか? チソンさん、そんなことしてくれていたんだ…(笑い)。僕にとっては本当に、チソンさんのような偉大な存在と共にボールを蹴れたことが、非常に大きな助けになっています。この人の生活パターン、この人が何を食べて、この人が何時に寝ているのか。オフには何をしているのか。そういったところから本当に多くのことを学びました。今でもそのインド戦のことを本当によく覚えています。その時は韓国はまず、大会のグループリーグを1位で勝ち上がるんだ、という気持ちで試合を戦っていたのですが、ゴールを決めた後のパフォーマンスをする時間もあまりないなか…イ・ヨンピョさんが『もっと決めろ』と叫んでいたのを覚えています。かなり緊張していたのですが、そのなかで多くのインパクトを残す必要がありました。当時は後に自分が代表の主将になるなんて思ってもいなかったものです。今の若い選手たちは…自分たちよりもいい素材が多いなとは思います。でも足りていない部分もあるので、そういった点をこちらも意見しながら、成長していってほしいなと思っています」

今年7月に32歳となるソン。年齢を重ね、成熟の時を迎えていることがよく分かるエピソードと発言だった。自国の地でそれをしっかりと印象付けたのだった。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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