京都の涼をふんわり包む、まさに香魚な「あゆ」平安殿さんのひらめきと遊び心に心躍る夏の香り
すっかり暑い日が続いておりますが、京都の鴨川では涼とグルメを求めて川床で京都の夏らしさを満喫する方々で予約がいっぱいだとか。素敵ですね。
さて、その川床でお食事を提供する飲食店では、この季節には鮎の塩焼きなんかも供されるのだとか。その鮎の別名は「香魚」とも呼ばれ、後ほど説明いたしますがとある野菜や果物のような匂いが立ち昇るからだとか…今回ご紹介する鮎菓子は、そんな鮎の謂れを絶妙な加減に落とし込んだ、創業1951年創業の和菓子屋「平安殿」さんの「あゆ」をご紹介。
平安殿さんは平安神宮へと延びる神宮通に面しているので、観光帰りのお土産を購入する場所としても利便性の高いロケーションです。
卵やお砂糖の香ばしさを縫うように立ち昇る爽やかな涼香。一般的な鮎のお菓子からはまず感じることのないのに、なぜか妙に納得してしまうんです…そう、西瓜の香り!
春になると河口や海から遡上し、そのタイミング狙って鮎漁がはじまるわけですが、その頃には清流の岩に付着した苔を食べる生態へと変化を遂げ、釣り上げられた鮎はきゅうりや西瓜といった瓜のような独特の香りを放つと言われています。鮎はキュウリウオ科に属し、仲間としてはシシャモやワカサギがあげられ、いずれもその匂いのもととなる内臓も丸ごと食べられる魚です。
話が逸れてしまいましたね。西瓜の涼香だけではなく、非常にしっとりとした柔らかで繊細な皮からもほんのりと西瓜の甘味を感じることができます。
そしてなんといってもこの非常に粘り気の強い求肥!ねっとりとして舌に絡みつくのですが、むしろ西瓜の果汁入りとあるようにそこがまた軽やかなエッセンスとなって食べやすいんです。
色合いもピンク色と、まるで西瓜の実そのもののようです。初めていただいた時、焼き皮とピンク色の求肥の組み合わせに一瞬目を疑ったことを鮮明に覚えております。
シンプルな求肥の鮎よりも、こちらの方がお子様や和菓子を普段食べないという方には好まれるかもしれません。
日本の四季ならではの遊び心と文化を絶妙な加減で和菓子の中に閉じ込めた平安殿さんのあゆ。こちらはオンラインストアでも購入可能ですが、季節商品ですので8月30日まで限定とのことです。