ついにコカコーラが値上げ!2019年、日本は値上げ時代に入るのか そのときどうする
コカコーラが2019年に値上げ。スーパーの安売り目玉商品がついに!
12月20~21日にかけての新聞記事に目を引くものがありました。とうとうコカコーラが清涼飲料水の値上げに踏み切る見込み、というものです。
(以下Yahoo!ニュースよりいくつか)
朝日新聞 コカ・コーラ、6~10%の値上げへ 原材料費が高騰
時事通信 コカ・コーラ、来年4月値上げ=27年ぶり、物流費高で最大10%
コカコーラといえば、スーパーマーケットの安売りの定番商品のひとつです。クリスマスシーズンには、1.5リットルのペットボトルが150円(税込み)で売られていることもあるほどです。自動販売機であれば500mlの値段よりも安くその3倍の量のコカコーラが買えるのですから、驚くべき割引です。
ところが、大型ペットボトルを中心に、「6~10%」ほどの値上げに踏み切るものと報じられています。
(引用)
時期は4月頃とされており、これは消費税引き上げとは関係ない(食品なので軽減税率の対象として10%上げとは関係ない)もので、輸送費その他の経費上昇を反映させるものとしては1992年以来、27年ぶりということです。
物価は基本的に上がるものだが、ここ20年はほぼ水平だった
私たちはもう、モノの値段が上がっていく感覚をほとんど持ち合わせていません。それもそのはず約20年くらいは物価が上昇しない不思議な時代に生きているからです。参議院のWEBに掲載されている「消費者物価指数半世紀の推移とその課題」というレポートでは1998年まで続いた物価上昇の傾向はそれ以降は停滞ないしデフレであったと評価しています。まさに「20年」ということになります。
団塊ジュニア世代が大卒で社会人になったのがおおむね1995年以降ですから、今では新社会人だけではなく、現役世代の半分くらいが社会人になってからずっと物価上昇のない時代を生きています。
経済と物価の関係を語るのは経済学者に任せてここでは省略しますが、基本的に経済が成長すると物価が上昇するのが基本的な仕組みとされています。
日本では第二次世界大戦後の高度経済成長のあいだ、物価は大きく上昇を続けてきました。統計が安定してきた1947年以降で考えると、物価は18倍以上になっているほどです。(持家の帰属家賃を除く総合指数によると1947年が5.4のところ2017年が100.5)
「物価の文化史事典」によれば新聞の1カ月の購読料が、戦後直後の1946年のあたまに5円だったものは毎年何度も値上げを繰り返し1940年の終わるころには70円になっていたそうです。
その後も1954年が330円、1965年が580円と上がったものが1973年にはとうとう1100円となり、さらに1974年にはなんと1700円まで値上がりしています。今では4037円(読売新聞、税込み)となっています。こちらはなんと800倍以上の値上がりとなっています。
値上げが売り上げ減少につながることを恐れて「お値段そのまま、内容控えめ」の実質値上げも進んでいたが、変化の兆し
ここ数年、物価が少しだけ上がりはじめていました。皆さんも最近、ちょくちょく値上げのニュースを目にしていたのではないでしょうか。納豆が値上がりしたりとか、小麦粉やサバ缶が値上がりしたとか、そのたびにニュースで大きく取り上げられるほどです。
実は値上げではないのですが「実質値上げ」も行われています。「お値段そのまま、内容控えめ」というやりかた、つまり中身の量を減らすというものです。
これをシュリンクフレーションと言う人もいますが、実は多くのお菓子、冷凍食品、日用品などがこうした実質値上げの影響にあります。「きのこの山」のようなおなじみのお菓子が、実は内容量が17%も減っていたとしたら驚くのではないでしょうか。「昔よりなんか量、減ってない?」と思ったらそれは真実だったのです。
→ 比較検証サイト「いつの間にか容量が減っている商品wiki」
→ Yahoo!ニュース個人の私が書いたコラム「お値段そのままサイズダウン」シュリンクフレーションで買い物はどう見直すべきか
これは値上げをすると売り上げダウンになるという恐怖から来るものでした。しかし風向きが変わり始めています。
昨年から今年の頭にかけて、宅配便についてはクロネコヤマト、佐川急便、日本郵政と値上げが相次ぎました。Amazonの配送業者がどう変わるかなどいろんな話題を呼びましたがおおむね値上げをしてもこれらの宅配ビジネスは売り上げ低迷とはなりませんでした。おおむね堅調に業績は推移しているようです。
先ほどのコカ・コーラもニュースが表に出始める直前の株価の終値3000円が報道後、急騰し一時3430円まで上昇しました。10%以上の値上がりですがこの日、ほとんどの銘柄が値下がりしていたので、注目を集めました。株式市場は値上げに踏み切ることを売り上げダウンする可能性があるというより、業績が向上するものとして評価したことになります。(同社はまだ確定事項としていないようで24日時点ではプレスリリース等は公表されていない)、
Yahoo!ファイナンスの「コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(株)」銘柄の関連ニュースページ
私は2019年、値上げがもっと行われるのではないかと予想します。物価が上がる時代になるということです。軽減税率の適用により税金は据え置かれていても、数%程度の値上げを行うものは幅広く出てくるのではないでしょうか。
モノの値段が上がる時代に、20年考えてこなかった新しいマネープランが求められる
さて、私は経済予測をする仕事ではなく、個人のマネープランをアドバイスするファイナンシャルプランナーですから、最後にアドバイスするべきは、こうした動きを個人はどう捉えていくべきか、ということです。
何せ「20年ぶりの変化」が来るわけですから、マネープランも20年ぶりの見直しが必要ともいえるからです。
まず考えるべきは「値上げ=賃上げ」かどうかという視点です。もし世の中の値上げ傾向と同じくらい給料がアップしていれば、とりあえずなんとかやりくりできるということになります。例えば2018年の春に数%の賃上げがあり、また2019年の春に数%の賃上げがあれば、なんとか値上げに見合う給料アップとなっているでしょう。
言い換えれば、ここ数年で4~5%給料が上がったとしても、これは値上げや消費増税分であり実質プラスマイナスゼロだと思うくらいがいいでしょう。賃上げに気を許してムダづかいをしないことが大切です。
賃上げがなかった場合は、4~5%くらい節約をするつもりで、ムダな支出をざっくり削って対策をする必要があります。
次に考えるべきは、ポイント還元でしょう。クレカのポイント、電子マネーのポイント、ショップのポイントカードなどを確実にゲットすればこうした値上げを数年くらいはカバーすることができるからです。本当かどうか分かりませんが、消費税が10%になったら国がポイント還元するような話も出てきます。これを取り逃さないためにも、キャッシュレス決済に慣れておくほうがいいでしょう。
そして、長い目で考えたときには、「物価上昇に見合う生活の感覚のアップデート」を行うことが必要です。物価が上がる時代というのは
「給料は2019年に月20万円だったものが、2025年に月22万円になった(しかし物価も上がっているので実質的には増えていない)」
「2019年500円のものが2025年には550円になっているならしょうがないが、600円になっていたら値上げしすぎの感があるし、むしろ500円のまま、あるいは520円くらいの値上げならお得」
というようなことを毎年変化に合わせて考えていくことになるからです。けっこう面倒です。
そういう変化を把握していくためには家計簿(スマホアプリでつけるとラク)なども重要なツールとなってくるでしょう。
2019年は、もしかすると「本格的な値上げ元年」になるかもしれません。モノの価格の変化に敏感になっておきたいところです。