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女性閣僚はたった2人。この数字はある意味正しいが、絶望的・・・

吉田大樹労働・子育てジャーナリスト/グリーンパパプロジェクト代表
女性が少なすぎるが現状では致し方なし(写真:ロイター/アフロ)

女性閣僚2人は現時点では相応とみるべきか

第3次安倍第3次改造内閣が発足した。全体的な評価についてここでは特に論評はしないが、女性閣僚が2人という現状に日本の政治が抱える問題があるのではないかとの思いに至る。

現在、自民党会派の国会議員は、衆院290名、参院126名の計416名となっている。そのうち、女性は、衆院25名、参院20名で、その割合は、衆院8.62%、参院15.87%、全体でも10.81%と1割をようやく超える割合しかいない。

で、今回の第3次改造内閣。野田聖子総務大臣兼女性活躍担当大臣と上川陽子法務大臣の2人の女性が入閣したわけだが、全閣僚19名中2名ということで、その割合は10.53%。いや、公明党枠は除いてあげないとかわいそうかと思い、18名中2人にしても、11.11%に留まる。

ただ、男女共同参画、女性活躍といえども、すでにそれを飛び越えてダイバーシティ(多様性)の時代になりつつある。何のわだかまりもない状態で416名をガラガラポンした結果、正直女性が何人だろうと関係ない話に本来はしなければならないのだろう。

自民党会派の女性割合10.81%と比べたら、今回の11.11%というのはある意味妥当な数字にも見える。無理をして、4人、5人と改造するたびに入れていくと、女性の人材が追い付かなくなるのは明白だ。第2次安倍政権以降、小渕優子経済産業大臣、松島みどり法務大臣、そして、今回の稲田朋美防衛大臣と、途中辞任した大臣のうち女性は半分を占める。この3名が辞任に追い込まれたのは女性だからとは決して思わないが、事実として半分を占めている。

「少なくとも30%」がクリアできる施策を

今回、安倍首相は「仕事人内閣」と命名し、「人づくり革命担当相」も新たに設けた。正直、他人の世話をする前に、自らの足元をよく見たほうがいいのではないだろうと思わざるを得ない。

政府は、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標」を掲げているが、ただの「30%」ではなく、「少なくとも30%」だ。どこにそのような目標を掲げる自信があるのかまったく理解できないが、「30%」にするなら、その行程をもっと明らかにすべきであろう。

これは、以前筆者が書いた男性の育休の記事でも指摘したところだが、

100人中3人しか取得しない男性育休の現状

「男性の育児休業取得率を2020年に13%」という目標と同じく、これは簡単にクリアできる数字ではない。時系列的な積み上げがなければ到達できない数字だ。

安倍政権の支持率が急激に下がったことで、政権浮揚を狙って行われた今回の改造劇。安倍首相自身が語るように働き方改革をより実効あるものにするために、今後ポジティブな展開を見せる可能性が高い。しかし、女性の活躍について自民党自身が本当に「必要性にかられた」様子は正直あまり見受けられない。政権浮揚のための「道具」としての働き方改革に過ぎないのではないかと勘ぐってしまう。

そのような見られ方を除去するためには、より積極的なアプローチにシフトすることが不可欠だろう。具体的には、2000年にフランスで制定されたパリテ法のように「選挙の候補者を男女同数とする」ことが最善の道だろうが、ガチガチな同数ではなく、4:4:2(男性:女性:自由)などのフレキシブルさがあったほうがいいだろう。

たとえ法律ができなくても、各党が最低でも3割以上を女性候補者にするなどの自主的なクオータ制を掲げるべきだ。日本にはそのような制度が馴染めないなどという愚論に各党も手を貸さないことだ。

手堅いのか、絶望的なのか

「解散総選挙はいつか」という憶測も盛んに口にされているが、筆者は安易に解散総選挙をすべきではなく、可能な限り4年の任期を全うすべきだと考える。任期を全うすることで安易な政局に流されない、しっかりした政策の積み重ねの議論ができるのではないか。

また、女性候補者の確保は容易ではない。どの党も「少なくとも30%」の候補者は確保できるように4年の任期を見据える中でアプローチすることを選択すべきだ。

もし国会議員は置いておいて、閣僚の女性割合を強引にでも引き上げようとするならば、民間からの女性登用を積極的に行うしかない。企業においても女性管理職の割合を引き上げるために、積極的な中途採用でその数字を確保しようという動きもあるが、そのようなアプローチも必要かもしれない。

2016年の男女平等ランキング(世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数」)が111位(144国中)と、前年から10位も下げている。「女性活躍」という言葉とは名ばかりに、実が得られていない証左だ。

散々女性のことを論じてきたが、これは男性の問題という認識が必要だろう。女性が変わるのではなく、少なくとも男性が変わる必要がある。それを理解している男性閣僚が何人いるだろうか。今回の閣僚の平均年齢は、前回から0.79歳上がり、61.57歳となった。40代も残念ながらゼロだ。手堅いと評されるが、絶望的にも見えてくる。

とにかく、政権最初の記念撮影で、男性の中に女性が埋もれている写真を見るのだけはもう懲り懲りだ。

労働・子育てジャーナリスト/グリーンパパプロジェクト代表

1977年7月東京生まれ。03年3月日大院修士課程修了(政治学修士)。労働専門誌の記者、父親支援団体代表を経て、16年3月NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。これまで内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚労省「イクメンプロジェクト推進委員会」委員を歴任。現在、こども家庭庁「幼児期までのこどもの育ち部会」委員、「こどもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、東京都「子供・子育て会議」委員などを務める。設立したNPOで放課後児童クラブを運営。3児のシングルファーザー。小中高のPTA会長を経験し、現在鴻巣市PTA連合会前会長(顧問)。著書「パパの働き方が社会を変える!」(労働調査会)。

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