金本監督、お待たせしました!陽川選手が猛アピールで1軍へ《阪神ファーム》
阪神ファームは12日から鳴尾浜にソフトバンクを迎えての3連戦で、まず初戦を取り対戦成績を2勝2敗としました。3回までに9安打で8点を奪い、今季公式戦初先発の横山投手が4点失ったものの影響はまったくなし。リリーフ陣が5回以降をすべて3人ずつで片付け、上本選手のホームランも出て9対4で勝っています。これでまたチームは5割に戻りましたね。
なお、きのう12日は1軍のナイター前に金本監督が鳴尾浜を視察。望月投手や田面投手のピッチングも見たそうです。もちろん試合も観戦して、選手たちはチャンスとばかりにアピール全開!特に陽川選手は先制2ラン、タイムリーなど3安打3打点と大活躍です。金本監督が引き揚げた5回以降、打線がパタッと静かになったのは…ま、気のせいでしょうね。なお1軍からは大和選手や荒木選手も出ました。
陽川選手、1軍初昇格!
そして、きょう13日は北條選手と横田選手が鳴尾浜でソフトバンク戦に出場。横田選手がファームの試合に出るのは、ことし初めてですね!いつも外野の芝生にやってきては横田選手に威嚇されるカラスも、喜んでいるでしょう(笑)。そういえば、ことしはまだ芝生まで下りてきていないかも?
という余談はいいとして、きのう猛アピールした陽川選手が荒木選手と入れ替わりで、きょうから1軍です。期待の大砲が3年目でついに初の出場選手登録を勝ち取りました。おめでとうございます!なのに…いきなり甲子園のナイター・DeNA戦が雨天中止って、空気の読めない空ですねえ。でも単にデビューが延びただけ。期待値は変わりありません。
では陽川選手も大活躍した、きのう12日の試合結果です。
《ウエスタン公式戦》4月12日
阪神-ソフトバンク 4回戦 (鳴尾浜)
ソフ 004 000 000 = 4
阪神 242 001 00X = 9
◆バッテリー
【阪神】横山-○石崎(1勝4敗1S)-松田-岩本-二神-桑原 / 鶴岡-小豆畑(5回~)
【ソフ】●島袋(3敗)(3回)-加治屋(3回)-寺原(1回)-伊藤祐(1回) / 細川-張本(7回~)
◆本塁打 陽川5号2ラン(島袋)、上林2号2ラン(横山)、上本2号ソロ(加治屋)
◆二塁打 上本、金子圭、鶴岡
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]二:上本 (4-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .269
〃遊:植田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .133
2]遊二:大和 (3-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .333
〃二:森越 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .194
3]一:荒木 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .200
〃一:西田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .133
4]三:陽川 (4-3-3 / 0-0 / 0 / 0) .347
5]左:ペレス (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .333
〃左:緒方 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .286
6]指:新井 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .282
7]右:中谷 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .265
〃中:柴田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .216
8]捕:鶴岡 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .667
〃捕:小豆畑 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .167
9]中右:俊介 (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .350
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
横山 4回 74球 (3-6-2 / 4-4 / 6.43) 145
石崎 1回 11球 (1-0-0 / 0-0 / 5.06) 146
松田 1回 12球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 142
岩本 1回 16球 (0-0-0 / 0-0 / 3.00) 139
二神 1回 19球 (0-0-1 / 0-0 / 3.60) 142
桑原 1回 12球 (0-2-0 / 0-0 / 0.00) 144
試合経過
まず打線が序盤に得点を重ねます。1回は1死から大和が右前打し、荒木の遊ゴロで走者が入れ替わり、陽川はセンターバックスクリーンへの第5号2ラン!2回は中谷が左前打、鶴岡はサードのエラー、俊介のセカンド内野安打で無死満塁となり、上本がレフトへタイムリー二塁打!2人を還し、なおも無死二、三塁で大和は中犠飛。上本も三塁へ進み、2死後に陽川の左前タイムリーで生還と4点を追加しています。
先発の横山は1回、2回とも三者凡退。早くも3三振を奪う立ち上がりでした。しかし6対0とリードをもらった直後の3回は1死から8番・古澤に中前打され暴投で二塁へ。細川には四球、真砂の一ゴロで2死二、三塁として、続く2番・金子圭に初球を左翼線へ運ばれました。これがタイムリー二塁打となり2人生還、さらに次の上林も初球打ちでライトへの2ラン。この回、4点を返されます。
するとその裏、阪神は新井の四球などにより2死一塁となった場面で鶴岡が左翼線二塁打を放ち、新井は一塁からホームイン!レフトから中継を経て戻ってきたボールをキャッチャーが捕れず(記録は捕手のエラー)、鶴岡も三塁へ進み、続く俊介の右前タイムリーで生還。また2点を加えて8対4としました。
4回の横山は先頭に四球を与えながら2三振などで後続を断ち、この回で交代。5回は早くも石崎が登板です。1死から真砂に右前打されるも、代わったばかりの小豆畑が盗塁阻止!結局3人で片付けました。打線は4回に大和がサードのエラー、陽川はサード強襲の内野安打で2死二、三塁とするもペレスは見逃し三振で0点。5回は三者凡退。でも6回に上本がレフトへ第2号のホームランを放って9点目が入っています。7回は寺原の前に三者凡退、8回は小豆畑の左前打のみで、4回以降は淡々とした攻撃ですね。
こちらのリリーフ陣も見事な抑えっぷりを見せています。6回は松田が三者凡退。7回の岩本も三者凡退。8回の二神は先頭の張本に四球を与えて久々の走者を出したものの、真砂の三ゴロで1死一塁となり、その真砂の二盗をまたしても小豆畑が刺して3人で終わらせました。9回は桑原が登板し、3番の上林を空振り三振、4番のカニザレスは遊ゴロ、そして塚田を空振り三振!名古屋遠征に帯同しなかった投手陣が、みんな揃って3人ずつで片付け試合終了です。
公式戦初先発の横山、初登板の松田
横山投手は前回、2日の社会人・日本新薬戦では4回を投げ無失点ながら「課題は真っすぐの質。どうしてもしっくりきていない」と試合後に話していました。今回はどうだったのでしょう?「ダメです。ゲームを作ろうとしたんですけど…」。3回2死二、三塁で金子圭選手に二塁打されたのは初球。「外に構えたんですが少し内よりにいって。鶴岡さんも、どうしようもなかったと。試合勘(がまだ戻っていない)というのもありますが、もう少し考えられなかったのはダメですね」
それでも6奪三振。「去年に比べたら、徐々にという感じはありますが、まだまだ空振りも少ないですし。左バッターにああやってライトへホームランとか(去年は)あまりなかったので。あそこでファウルや空振りを取れるようにならないと。1球で仕留められたのは、まだまだです」
変化球が多めでしたね?「ストレートがよくなかったから、鶴岡さんがうまく配球してくれたんだと思います」。1回先頭の真砂選手から空振り三振を奪った120キロは?「チェンジアップというか、でも挟んでいるのでフォークというか…説明は難しいんですけど」。なるほど。昨年までタイガースに在籍した玉置投手と同じですね。握りはフォーク、でも投げ方はチェンジアップという。4回に猪本選手を見逃し三振に仕留めたのも、この球でしょう。
今後について「真っすぐの質は継続的に上げていく。あとは状況判断です。正直、3回にセットで投げにくさはあったんで、その精度も。試合でしっかりできるようブルペンで準備していきたい」と話す横山投手。久保投手コーチも、本人の言う「去年に比べたらまだまだ」と同じで「徐々にはよくなっていますが…彼のいい時を、去年のあれを思うと。もう少し時間がかかりますかね」というコメントでした。
公式戦初登板だった松田投手は「ほんとに出遅れていて、結果を出さないと使ってもらえないので、しっかりアピールをしていきたい」と言っています。今回は何かを試した?「実戦なので、試したいことはあるけど結果を出さないと。試したいことはブルペンでやって、ゲームはしっかり投げることが大事です」。最速が142キロ。もっと上げたいかと聞かれ「もちろんです」とキッパリ。そして次回登板に向けては「チャンスをもらえるなら、きょうよりいい結果が出せるように準備します」とのこと。
“定位置”へ戻るための試行錯誤
そして石崎投手です。5回に登板して1イニングを1安打無失点。「ここ何戦か点を取られて、自分の思うピッチングができていない中、きょうも監督やコーチに『どうにかしよう』と機会を与えてもらった。そこでゼロに抑えられたのは、自分の“闇”というか、負の連鎖を断ち切れたかなと思います」。少しホッとしたようですね。10日の試合後は話しかけられなかったので。「負のオーラが出てたでしょう?」と言って苦笑いしました。
1アウトを取ってから、真砂選手に対して104キロ、105キロ、106キロと続けてカーブを投げましたね?「はい、初めてです。ブルペンで投げていたけど試合はプロに入ってから初めて。腕を振るにはカーブが一つの手なのかなと。力の入れどころや体重移動がカーブではよくわかる。この感覚でストレートを投げられたらと思いました。ブルペンで腕が振れているのに、マウンドでできないのは致命的。そういう意味でカーブはいい球種ですね」
見たことがなかったのでビックリしました。「高校時代から、緩い球で腕を振るためブルペンでは投げていたんです。ゲームで使えて自分にとって大きな収穫」。それを選択したのは誰かの進言?「掛布監督には、何かが変わるんだったらやってみればいいと言ってもらいました。きょうは余計なことを考えず、今できることをしよう、何か変えないと、と思いついたのがカーブです」。これがきっかけとなりますように。
普段より早くゲーム中盤での登板となったのは、少し楽に投げられるところでという理由でしょう。10日の中日戦で逆転打を浴び、抑えで今季4敗目を喫した時に、久保投手コーチは「チームを犠牲にしても使い続けているんだから」と苦言を呈しました。きのうも「本来ならドッグ入り(実戦から離れて再調整)すべきかもしれないけど、去年はファームで最多セーブも挙げたピッチャーなんだしね。投げながら打破していきます。それを感じてくれれば」と、“いつもの場所で”投げる石崎投手を待っています。
連続安打の5試合で11安打7打点!
続いて、リーグトップの第5号を放った陽川選手です。金本監督はホームランとタイムリー、そして3打席目の内野安打を見て引き揚げたそうですよ。来られたのは知っていた?「はい。試合前に気づきました。でも、そこは気にせず普段通りにと思っていました」。ホームランは141キロの真っすぐを打ったもので「真ん中、ちょっと外付近だったと思うけど、甘かったのでいきました。自分としても1球で仕留めることを課題にやっているので、それを1打席目からできてよかった」と言います。
次もチャンスでカウント0-2の3球目を打って左前タイムリー。結果は出たものの「全部まっすぐで、初球をファウルして次もファウル、その2球目を仕留めたかった。1軍では3球続けては来ないんで」と反省していました。オープン戦まで1軍を経験したからこその言葉ですね。また「ストライクゾーンにきたボールは追い込まれるまで自分のスイングをしようと思ってやっている」という陽川選手。そうそう、4打席目に寺原投手から打ったライトフライも自然でよかったでしょう?「悪くはなかったと思います」
本塁打5、打点18は変わらずリーグトップです。打率はソフトバンクの真砂選手が.373で、ついで広島の堂林選手の.368。そのあと、きのう2安打の俊介選手が.350、陽川選手は2分ほど上げて.347、ペレス選手は少し下がって.333と阪神勢が続いています。陽川選手は「もちろん打率も大事。気にしていますよ」とのこと。きのうで5試合連続安打、その間は23打数11安打7打点で打率.478という数字。しかも、打点がなかったのは1試合だけです。三振も少し減ってきましたね。
阪神打線で大切な長打力を持つ陽川
陽川選手について掛布監督は「ここのところ戻ってきたね。下半身がうまくレベルに回転して、腰も回転するよう練習からやっている。力を入れず、下半身で飛ばす感覚を持っていると思う。自然に右方向へ飛んだり、自分のスイングができています。トップでバットが動くと差し込まれるけど、止まって“間”があると最短距離でバットが出る。外のボールでも上体が突っ込まなくなる。下半身リードでやっていて、脆さがなくなったよね」と分析。
「状態がいいと僕が伝えたし、あれだけのヒットやホームランを打つと金本監督も好印象を持ってると思いますよ。長打力は阪神の打線の中でもすごく大切で、それを陽川が持っている。江越もそうでしょう?鳥谷が2番を打って、外国人の兼ね合いもあったけど、長打の打てるバッターがはまると2番もはまる。阪神の戦い方で長打は大切」。ちなみに陽川選手は、長打率も.618でリーグトップです。
そして、金本監督の来訪は「きのう電話があって、きょう行きますと。親子ゲームが初めてなんで顔を出してくれたんでしょう。いい緊張感が出ますね」という経緯だったもよう。「電話で確認はしているけど、1軍監督の目があれば、それに越したことはない。野球の怖さを感じながら野球をやらせるのがテーマ。明るさの中に緊張感があり、怖さも感じている。その中で陽川が結果を出したのは喜ばしいですね。金本監督も評価していると思います」と繰り返しました。
植田「大和さんの動きが速い!」
2回に2点タイムリー二塁打、6回にはソロホームランで2安打3打点の上本選手は「しっかり一日一日やっていくだけです」という、いつも通りのひとこと。とはいえ、ホームランも8日の中日戦(ナゴヤ)に次ぐ2本目。調子いいですよね?「まだまだ、そんなことないです」。ちなみに金本監督の視察は「知らなかった」と…。さすがにそれはないと思いますけどね。再登録可能な10日が経ちました。準備はOKでしょう。
最後は植田選手に、1軍から来た大和選手のことを聞いています。「大和さんの守備、見てたんですよ~ずっと。見てたけど…打球が飛びませんでしたね(笑)」。確かに大和選手への打球は前半まったくなく、6回のショートライナーとセカンドに移った7回のゴロだけ。どちらもイージーなもので、横っ飛びするとか、ショート深くで捕る当たりではありません。
植田選手も「ほんま残念です。見たかった」と繰り返しました。できたらギリギリの併殺などを見てみたかったなあと我々も思います。「でも、ノック中も見ていましたよ。全然違いますね。速い。足の動きが軽いというか、打球のとこへ行くのがメッチャ速い!」 と真剣に語る植田選手。それだけでも刺激になったかな?鳥谷選手や大和選手を超える遊撃手を目指してくださいね。
(※13日の14時30分に記事を公開したあとで、タイトルや本文など少し手を加えました。ご了承ください。)