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米国グラブハブ、ロシアYandexの自動運転ロボットによる大学キャンパス内へのフードデリバリー中止

佐藤仁学術研究員・著述家
(Yandex提供)

「ロシアのGoogle」が開発した自動運転ロボット

ロシアによるウクライナ侵攻で日本企業も含め多くの国の企業がロシア市場から徹底をしている。そのような中、アメリカのフードデリバリー大手のグラブハブは、ロシアのYandexが開発した自動運転ロボットによる宅配デリバリーを行っていたが、Yandexとの契約を打ち切った。

「ロシアのGoogle」とも呼ばれているロシアの検索サイト大手のYandexは202年12月から、モスクワで自動運転ロボットによる宅配サービスを開始した。同社が提供しているアプリで注文するとファーストフード店の商品を自宅や会社などまで、自動運転ロボット「Yandex Rover」が運んでくれていた。

そして2021年7月にロシアのYandexは、アメリカのフードデリバリー大手のグラブハブと提携してアメリカの大学で自動運転ロボットによる配達を開始した。だが今回のYandexとの契約打ち切りで、オハイオ州立大学とアリゾナ大学で提供していた宅配サービスを一時停止する。

広大な米国キャンパスでは便利なフードデリバリーサービス

自動運転ロボットによる宅配サービスは、客から注文があると、自動運転ロボットがファーストフード店まで行き、そこで店員が自動運転ロボットに商品を入れる。自動運転ロボットが配達先まで配送する注文した客だけがロボットを開ける番号を知っており、商品を手に取ることができるので、自動運転ロボットが配達してきて、商品が入っていないということはない。

グラブハブではアメリカ全土の250以上の大学でフードデリバリーのサービスを提供している。大学のキャンパス内だけでなく、学外にある寮や学生が望む場所にデリバリーしてくれていた。新型コロナウィルス感染拡大の前からアメリカの学生らはキャンパス内でよくフードデリバリーを利用していた。さらに新型コロナによる影響で店舗の営業時間短縮やロックダウンなどでフードデリバリーは学生の間でも人気がある。

アメリカの大学のキャンパスはとんでもなく広いことが多いが、キャンパス内では自動車での移動ができないところも多い。そのため車は駐車場に止めて、キャンパス内は徒歩や自転車で移動している。そのため今まではフードデリバリーを配達する人も自動車で駐車場に止めてから、キャンパス内の指定の場所へ運んでいた。しかも広いキャンパス内では、どこに目的の建物があるのか学生や教員ですら知らないことも多く、キャンパス内を外部の配達員が配達するのは大変だった。さらにセキュリティの理由からキャンパス内に入る申請書を校門で書くなど手間がかかることも多い。だが自動運転ロボットならキャンパス内の目的地までロボットが正確に配達してくれる。コストパフォーマンスも人間の配達員が配達するよりも遥かに良い。

▼Yandexがアメリカのミシガン州での自動運転ロボットでの配達のイメージ動画

▼Yandexのさビスていk-

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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