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年末年始に帰省する人のために移動や、帰省先での行動、感染対策のポイントは?

忽那賢志感染症専門医
(写真:つのだよしお/アフロ)

2020年の年末は新型コロナの感染者の増加のため帰省がなかなか難しい状況でしたが、感染者も抑えられている今年の年末は帰省を予定している方も多いのではないでしょうか。

帰省の際に注意すべき感染対策のポイントについてまとめました。

移動そのものの感染リスクは高くない

(提供:SHIROKUMA/イメージマート)
(提供:SHIROKUMA/イメージマート)

まず前提として、旅行は感染症の拡大につながりやすいと言われていますが、移動すること自体は、感染リスクは高くありません。

例えば東京から小倉まで新幹線で移動した場合に、マスクを装着したまま居眠りして誰とも接触なく過ごせば感染することはまずありません。

では、なぜ旅行で新型コロナの感染リスクが懸念されるのかというと、移動すること自体よりも移動先での活動内容(会食、マスクを外しての会話など)が感染リスクに繋がり得るためです。

飛行機では一般的に客室の空気は2〜3分ごとに完全に入れ替わっており、空気の50%は機外に出し、50%は再循環させていますが、再循環させる際にはHEPAフィルターを通過させています。また、新幹線も6〜8分ごとに1回は空気が入れ替わっており、換気の頻度としては十分と考えられます。

ですので、移動中の行動内容に過度に気をつかうよりも、帰省先での感染対策を徹底することの方が重要です。

とは言え、そもそも公共交通機関では物理的な距離(ソーシャル・ディスタンス)を保つことは困難ですし、実際に飛行機や電車、バスなどで移動中に新型コロナに感染したという事例は国内外で報告されています。

近くの席の感染者から感染するリスクはゼロとは言えません。

また、これまでの報告からは飛行機や電車、バスでの感染は移動時間が長くなるほど、そして混雑しているほど起こりやすいことが分かっていますので、できる限り感染リスクの低い移動をするためには、

・移動中はマスクを装着し、食事をする場合もマスク会食・黙食を徹底する

・混雑している便を避ける(帰省ラッシュの時期・時間帯を避ける)

・移動時間をできる限り短くする

などの対策が有効と考えられます。

帰省する前にできる感染対策は?

写真:イメージマート

今は日本国内では新型コロナの感染者数は非常に少なくなっており、帰省によって家族に感染を広げる可能性は昨年と比べてずっと少ないと言えます。

しかし、万が一にも帰省先で感染させてしまうと楽しい帰省も水の泡です。

帰省する前に、できる限りの対策をしておきましょう。

具体的には、

・帰省前に2回のワクチン接種を完了する

・(特にワクチン接種していない方は)帰省直前にPCR検査・抗原定量検査を行う

ことによって、感染を広げるリスクを減らすことができます。

当然ですが、体調の悪い方や新型コロナの濃厚接触者となってしまった方は、帰省は控えるようにしましょう。

また、2021年12月17日現在はオミクロン株による市中感染は起こっていませんが、年末年始に向けて感染者が急増するようなことがあれば、帰省するかどうかを再検討する必要が出てくるかもしれません。

帰省先で注意すべきことは?

前述の通り、帰省の際に注意すべきポイントは移動そのものよりも帰省先での行動です。

特に実家での食事、中学・高校の同級生との飲み会などマスクを外しての長時間の会食は感染リスクが高くなります。

・食事の際は黙食・マスク会食を徹底する

・できる限り少人数で会う

・長時間の会食を避ける

・こまめに手洗いをする

といったことを心がけましょう。

初詣や初売りなども正月の楽しみの一つですが、混雑する場所や時間帯は避ける方が安全です。

感染症とは関係ありませんが、暴飲暴食にもお気をつけください。

・・・と、いろいろと細かい注意点について述べましたが、今年の年末にこれだけ感染者が減らせているのは日本の皆さん一人一人の努力によるものだと思います。

十分に感染対策に注意しながら、今年の年末はご家族との楽しい時間をお過ごしください。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

感染症専門医

感染症専門医。国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部 感染制御学 教授。大阪大学医学部附属病院 感染制御部 部長。感染症全般を専門とするが、特に新興感染症や新型コロナウイルス感染症に関連した臨床・研究に携わっている。YouTubeチャンネル「くつ王サイダー」配信中。 ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:kutsuna@hp-infect.med.osaka-u.ac.jp

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