「北欧すごい」?驚くほど質素な子どもたちのお弁当
日本では「北欧の幼稚園や保育所はすごい」という伝え方が目立つのですが、確かにすごい部分もありますが、完璧な国などないので、すごくはない部分もあります。
ノルウェーの園では、お弁当がとてもシンプル。ここまでシンプルなら、親の負担も減るでしょうが、反対に子どもの食育や健康面を考えると疑問を感じることも。
ノルウェーの短いランチ時間や驚くほど質素な「マートパッケ」(ノルウェーでいうサンドイッチのお弁当)のことなどは、日本のメディアや視察にくる方々にも伝えるのですが、「北欧すごい」で特集する前提があるので、「あれ?」という側面は採用されないことが大半です。
以前取材で訪問した、ノルウェーの2か所の園の子どもたちのランチボックスです。この日は外で食事。
「白い食パンには砂糖が入っている」という認識が残っているため、茶色いパンにバターやチーズ、果物、生野菜。
撮影をしていて感じることは、「同じ親が同じ台所で作っているのかな?」という一定のパターン。
朝に作られたものなので、冷たく乾燥しています。
この時、おやっと思ったのが、保育士のランチボックス。リュックサックから、ナイフ、バターが入った容器丸ごと、きゅうり1本、マヨネーズ、魚の卵チューブなどを取りだし、パンの上にトッピングを開始しました。先生、先生のランチのほうが明らかに新鮮でおいしそうです。
「ノルウェーのランチはシンプルすぎる」ということは、在住外国人の間でも話題となるのですが、食の文化があまり深くはないノルウェーではこれが普通。日本のキャラ弁のようなものを持って行ってしまえば、逆に子どもたちの間で浮いてしまいがち。この環境に他国の食文化をもっていくことは、外国人の親には難しいのではないでしょうか。
筆者の周りには、「子どもの時のランチは飽きていたよ。でも食べるしかなかった」という人もいれば、「大人になってもマートパッケが大好きだ!」というノルウェー人もいます。
ノルウェーの園のスタッフに、日本のキャラ弁やお弁当の写真をスマートフォンで見せたところ、「日本の親はこんなにすごいお弁当を毎日作っているの!?大変じゃない」と驚いていました。
「北欧症候群」が増加しそうな日本メディアの「憧れの北欧」のつくりかた
Photo&Text: Asaki Abumi