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目標の「5つの型」ごとの達成プロセスと進捗管理のコツとは?(スライド5枚)

横山信弘経営コラムニスト
目標の型ごとの「出発地」「経由地」「目的地」(筆者作成)

目標を達成することは簡単ではない。そう言われる。

しかし「目標の立て方」さえ分かれば、意外とその達成は簡単だ。大事なことは、目標は最終目標だけでなく中間の目標もあるということである。それを頭に入れて進捗管理すれば、ストレスなく絶対達成できる。

多くの人が途中で挫折してしまう理由は、目標の「型」に合った中間目標の立て方を知らないからだ。

今回は「山登り型」「家作り型」「絵描き型」「掃除型」「勝ち負け型」の5つの型ごとに出発地、経由地、目的地を明確にし、それぞれの進捗管理の仕方を解説しよう。

<参考記事>

【永久保存版】絶対達成できる目標の立て方――「5つの型」を覚えよう!

売上目標を追う営業パーソン、プロジェクトを管理するマネジャーなど、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

(山登り型)
(山登り型)

(家作り型)
(家作り型)

(絵描き型)
(絵描き型)

(掃除型)
(掃除型)

(勝ち負け型)
(勝ち負け型)

■「5つの型」に合わせた達成プロセス

目標の「型」は、5つある。それぞれの型に合わせて、中間目標や、マイルストーンを考えてみよう。ここでは分かりやすくするために、出発地、経由地、目的地という言葉を使って表現してみる。

この3つのポイントを頭に入れておくことで、進捗管理はストレスなくできるだろう。

これは、カーナビを使うことと似ている。

たとえば目的地は設定したものの、途中の道順が分からず適当に走っていたらどうか。「なんとなく目的地に近づいているな」と感じながらも、目指す目的地になかなか辿りつけないという事態に陥ることも多い。最悪の場合は、迷子になってしまう。

具体的な例を挙げよう。

入社1年目の社員が「コミュニケーション能力を高めたい」という目標を立てたとする。ただ、そこに到達するためのプロセスが分からないまま、とりあえず毎日先輩に話しかけ、上司に「今週は20人と会話しました」と報告するだけでは目標達成は難しい。

なぜなら、

・20人という会話の数が適切なのか

・どういう内容の会話を意識すべきか

・相手の反応をどう確認していくか

といった達成プロセスが不明確なまま、ただコミュニケーションの量だけを追いかけているからだ。

このように達成プロセス(どこを経由したらいいか)がわからず、

「どう? 目標に近づいている?」

と上司が進捗管理をしても、うまくいくはずがない。だから5つの型に合わせた達成プロセスを知ることが大事なのだ。

それではここで、出発地、経由地、目的地それぞれの特徴について解説したい。

■「出発地」が違う型もある!

出発地とはスタートする地点、ポイントのことだ。「山登り型」「家作り型」「絵描き型」「掃除型」「勝ち負け型」の5つの型、どれも同じかというと、実は違う。

「山登り型」だと分かりやすい。山登りでも、マラソンでも、売上目標でも、誰もが同じ出発地からスタートする。もちろん実力差はあれど、同じ場所から始めるのが基本だ。

だからこそ、この時期に、この「経由地」に到達しておかなければならないという目安が明確になる。「家作り型」「掃除型」「勝ち負け型」も同じだ。

「絵描き型」だけが違う。しっかりと覚えておこう。

なぜなら、「絵描き型」は能力そのものを目標にすることが多いからだ。だから人それぞれ「出発地」が違うのだ。だからこそ「絵描き型」の目標達成はとても難しい。

センスや才能に恵まれている人は、知らず知らずのうちに有利な出発地にいたのである。だからこそ優越感を覚える。反対に、不利なところからスタートしなければならない人は、自分の才能のなさに強い失望を覚えるだろう。

努力しても努力しても、クラスメートや同僚との差がいっこうに縮まらないなら、自己肯定感は下がり続ける。誰のせいでもない。自分の才能やセンスのなさにこそ問題があると思い込むからだ。

私は幼いころから「絵が上手だ」と言われた。誰かに教えられたわけでもないのに、「うまい」「才能がある」と言われた。もちろん私よりも上手いクラスメートはいたが、大人たちにそのように褒められ続けると、自分にはそのような才能があるのだと確信する。

しかしいっぽうで、人付き合いは苦労した。とくに高校に入ってからは、友だちと一緒にいるよりも独りで過ごしたほうがラクだと感じるようになった。そのせいで人間関係を築く能力は下手だ。

だから社会に出てからは不条理を覚えた。絵がうまく描けることよりも、誰とでもすぐに仲良くなれる能力のほうが、はるかに役立つからだ。たとえば私みたいな人間が、

・多くの人と仲良くなる力を身につける

という目標を掲げたとき、「出発地」は他の人と比べて大きく異なる。「経由地」もまったく違うだろう。したがって他の人と同じように進捗管理されても、うまくいくはずがないのだ。

■最も難しいのが「経由地」を決めること

「経由地」とは、出発地から目的地までの途中に通過する特定の地点、ポイントのこと。普通は複数ある。

「山登り型」だと、「経由地」は直線的に並ぶが、「家作り型」だと「目的地」までのルートが複数に分かれるため、途中から並列になる。そして最後に一緒になって完成するので、どこを「経由地」とするかはコツが要る。

最も難しいのは、やはり「絵描き型」である。他の型は、ある程度パターン化できる。しかし「絵描き型」は「出発地」も「ルート」も個人ごとに異なるので、その道の専門家によるルート(達成プロセス)設計が不可欠だ。

先述した通り、私が「多くの人と仲良くなる力を身につける」という目標を掲げた場合、どのような「経由地」を設定したらいいか。その目標を達成させた経験がまったくない人なら、まるでイメージつかないはずだ。

私の仕事のやり方、交流関係、どのような人との関係構築が重要で、そうでないのか。すべて現状把握したうえで考えなければ難しい。単に、

「お客様と月に1回、飲みにケーションをしましょう」

「上司と週に1回は仕事の相談しましょう」

といった「経由地」を設定しても、そのようなシチュエーションがほとんどないのなら意味がない。

「掃除型」も「勝ち負け型」も独自のやり方で「経由地」を決めなければならない。「出発地」「経由地」「目的地」の3つの中で、この「経由地」の設定が最も難しいだろう。

■「目的地=目標」にならないケースとは?

目的地は簡単だ。そのように考える人は多いだろう。しかし、違う。「山登り型」は「目的地=目標」となるが、そうとは限らないケースもある。

「絵描き型」が典型例だ。

・お客様と関係を構築する

これを「目的地」とし「経由地」の一つを

・月に1回お客様に有益な情報提供する

としたとしよう。そうすると、この「経由地」が目標になるのだ。この目標を達成させるために、お客様が何に関心を寄せているのか、どんな課題を持っているのかを知らなければならない。ここでまた別の「経由地」を設定する必要がある。

そう考えると「目的地」はある意味、そのテーマにおける最終ゴールのようなものだ。「目的地」は一つしかない。しかし「家作り型」のように前もって合意形成が必要だったり、「絵描き型」のように、とてもぼんやりで曖昧で、人によって評価が分かれるケースもある。「勝ち負け型」などは「目的地」が常に動いていて、照準が定まらない。

■5つの型ごとの「出発地」「経由地」「目的地」徹底解説!

このように、「出発地」「経由地」「目的地」それぞれの特性を覚えておかないと、達成プロセスを思い描くことができない。当然、目標達成に不可欠な進捗管理も効果的にできないのである。

それではこれから、それぞれの型ごとに「出発地」「経由地」「目的地」のポイント、進捗管理のコツについて解説していく。

(1)山登り型

目標達成のプロセスを考えるとき、「山登り型」は最も分かりやすい型である。目標が明確で動かず、経由地を順番に通過することで確実にゴールに到達できる。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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