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渋野日向子ら“黄金世代”と同世代が韓国では頂点に。ツヨカワ女王チェ・ヘジンとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チェ・ヘジン(写真提供=KLPGA)

女子ゴルフの賞金女王争いが最後の最後まで大混戦になった。

大王製紙エリエール・レディスで渋野日向子が大逆転優勝したことで、賞金女王レースはふたたび鈴木愛、申ジエ、渋野の三つ巴の状態に。今週末に行われる最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップで決まることになる。

鈴木愛の2年ぶりの賞金女王戴冠か、史上初の韓国・アメリカ・日本での賞金女王を狙う申ジエか、今季の注目を一身に集める“黄金世代”の渋野日向子の大逆転か。

特に今季の注目を一身に集める“黄金世代”のひとりである渋野が賞金女王になった場合、史上初となるルーキーでの最年少女王となるだけに盛り上がる一方だろうが、韓国では一足早く2019年シーズンが終わり、渋野ら“黄金世代”と同世代の選手が頂点に立っている。

チェ・ヘジンがそのひとだ。

韓国では11月19日にシーズンを締めくくる「2019韓国女子プロゴルフ(KLPGA)大賞」授賞式が行われたが、そこでチェ・ヘジンは年間MVPに相当する大賞、最多勝(5勝)、平均ストローク賞(70.47打)、人気賞、ゴルフ担当記者が選定するベストプレーヤートロフィー、そして賞金女王と、新人王を除く個人タイトルすべてを独占。6冠に輝いた。

日本では1998~1999年生まれを“黄金世代”としているが、それに照らし合わせれば1999年生まれのチェ・ヘジンも“黄金世代”だろう。

しかも、韓国では今季、チェ・ヘジンよりもさらに若い2000年生まれの選手が頭角した。新人王に選ばれたチョ・アヨン、ルーキーながら優勝したKLPGAウィナースクラブ入りしたイ・スンヨン、イム・ヒジョンなどだ。韓国では彼女たちのことを“ミレニアム世代”と呼ぶが、韓国でも日本の“黄金世代”に負けず劣らず若手が台頭した1年だった。

(参考記事:“黄金世代”よりも若い!! 韓国で話題の“ミレニアム世代”の神セブンを一挙公開)

もっとも、この流れは今季に限ったことではない。チェ・ヘジンの場合、4年前から有名だった。

中学生ですでに韓国国家代表に選ばれ、2015年にまだ高校生ながら韓国女子アマチュア選手権で優勝。2017年6月には高校生アマながらKLPGAツアー初優勝を遂げ、翌7月には全米女子オープンで準優勝。その6週間後にもKLPGAツアーで優勝して、プロ転向する前に2勝を挙げてしまった逸材だ。

プロ転向した昨季も2勝を挙げて新人王と大賞(年間MVP)にも輝いている。アマチュア時代からスーパーエリートで、その愛くるしい笑顔とは対照的な勝負強さを備えていることから“可愛らしき怪物”ともされる韓国の“黄金世代”は順調に成長してきたわけだ。

今季は5勝のうち韓国のメジャー大会のひとつである『クリスF&C 第41回KLPGAチャンピオンシップ』も制したのだから、もはや名実ともに韓国ナンバーワンと言っても過言ではないだろう。

そして、当然のごとく注目されているのが来季の主戦場だ。

これまでもキム・ヒョージュ、チョン・インジ、パク・ソンヒョン、イ・ジョンウン6など、韓国で頂点に立った先輩たちが次のステージとしてアメリカのLPGAツアーに挑戦しているように、チェ・ヘジンもLPGAツアー挑戦を公言しているが、来季はアメリカと韓国のツアーを行き来する考えだという。

KLPGAツアー賞金女王として出場できるLPGAツアーのメジャー大会はもちろん、韓国企業がタイトル・スポンサーを務める試合などにも積極参加。優勝するか、賞金ランキング40位以内に入ってLPGAツアーメンバーの資格を得て、2021年からアメリカを主戦場にしたいという青写真を描いているという。

「KLPGAとLPGAの来季日程が決まり次第ですが、KLPGAの日程と重ならない場合はできるかぎりアメリカに行く計画。そのために英語の勉強もしています」というチェ・ヘジン。

まだ彼女が中学生だった頃に行われたゴルフ韓国代表常備軍・済州(チェジュ)合宿で話を聞いたときも賢い子だなと感じたが、20歳の若さで頂点に立っても浮かれたところがないのが頼もしい。

いつの日か渋野日向子ら日本の“黄金世代”とアメリカで競い合う日も来るだろう。本人の計画通りになれば来季はLPGAツアーでもそのプレーを確認できるので、今から注目しておくのも一興かもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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