大増税時代を生き抜く、サラリーパーソンの節税術
2014年度の税制改正大綱は、年収1000万円超のサラリーパーソンに対する給与所得控除の削減や軽自動車税の増税など、家計にとってはきびしい内容でした。
給与所得控除の削減
自営業者にとっての経費のように、会社員の場合も給与所得控除という収入から差し引ける控除額があります。控除額は給与などの収入金額に応じて決まっており、現在の給与所得控除額の上限は年収1500万円超で245万円です。しかし、16年1月からは上限が1200万円超で230万円、17年からは上限が1000万円超で220万円と縮小される予定なのです。年収1500万円の会社員の場合、年7〜11万円の負担増になる見込みです。
軽自動車税の増税
15年4月以降に購入する軽自動車への軽自動車税は年間7200円から1万800円になり、年3600円負担が増えることになります。地方に住んでいて軽自動車を移動手段に使っている人にとっては大きな負担となります。
14年4月には消費増税も予定されており、大増税時代を生き抜くためにはサラリーパーソンも節税について学んだほうがよさそうです。年末調整で申告ができる生命保険料控除や扶養控除などに加えて、確定申告をすることにより受けられる控除があります。
医療費控除
1月1日から12月31日までの1年間で医療費にかかった合計金額が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超える場合に医療費控除を申告できます。ちなみに、お財布を1つにしている家族の分もまとめることができます。
医療機関に支払った診療費や病気やケガの治療薬代などの領収書を集めるようにしましょう。また、通院にかかった交通費(公共機関の交通費やタクシー代)なども控除の対象になるために交通費を家計簿などに控えておきましょう。
寄付金控除
国や地方自治体などに対して寄付金を支払ったときには、所得控除を受けることができます。控除額は「寄附金(その年の総所得金額の40%を限度)-2000円」です。なかでも、都道府県・市町村に対する寄付金(ふるさと納税)は住民税の「特例控除」があり、さらに税金の軽減が大きくなります。所得税・住民税の範囲内であれば概ね2000円を超えた納税金額は戻ってくるイメージです。
加えて、数千円相当の地域の特産品がもらえることが多いために大変おトクです。例えば、北海道紋別市の場合1万円以上の納税で「カニ」が、山口市の場合5,000円以上の納税で「徳地黒毛和牛の焼肉盛り合わせ」、長野県阿南町は3万円以上の納税で「米60キロ」などが選べます。
ふるさと納税のやり方は簡単で、「Yahoo!公金支払い」というサイトでクレジットカードもしくはTポイントで、ふるさと納税の支払いを行うことができます。寄付した団体などから交付された寄付金の受領書などを確定申告の際に提出する必要があるために保管しておきましょう。
雑損控除
災害や盗難などで資産に損害を受けたとき、所得控除を受けることができます。控除額は「損失額−所得の10%」なので給与所得200万円の人が、現金30万円を落とした場合10万円の雑損控除を受けることができます。ちなみに、災害の場合は5万円超で控除を受けることができます。
還付申告の場合は翌年の1月1日から5年間行うことができます。ちなみに確定申告義務のある人は確定申告の期間中(2月16日から3月15日)に行う必要があります。還付だけの人は税務署が混み合う確定申告の期間を避けることをおすすめします。会社員の場合は年末に会社からもらう源泉徴収票と領収書などの必要書類を持参するようにしましょう。確定申告書などは税務署にもあります。空いているときは職員に書き方などの指導を受けることもできるため、分からないことがあれば聞いてみるのも手ですよ。このように、大増税時代を生き抜くためにも、少しずつ節税を学んでいきましょう。
イラスト:ふじいまさこ