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2連敗10失点のサッカー北朝鮮代表。在日Jリーガー李栄直が語った「それでも通用する部分」とは?

金明昱スポーツライター
グループリーグ最終戦のレバノン戦に挑む北朝鮮代表(写真:ロイター/アフロ)

 サッカーアジアカップのグループステージ突破を決める国が続々と決まる中、かつて“東アジアの古豪”と言われたかの国が、苦戦を強いられている。

 朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮代表)だ。17日(日本時間18日1時)、グループステージ突破に向けて、最終戦のレバノン戦に挑む。

 グループEの初戦(8日)で北朝鮮はサウジアラビアに0-4、第2戦(13日)のカタールに0-6と大敗を喫した。勝ち点0で2試合10失点と決勝トーナメント進出(16チーム)には、かなり厳しい状況だ。

 それでも、グループA~Fの各組3位に入った4チームに決勝トーナメント進出の可能性が残されており、北朝鮮もグループステージ最終戦で勝ち点3を得られれば、逆転での16強入りもあり得る。

 しかし、順位の決定基準が1.勝ち点、2.得失点差、3.総得点などとなっているため、「10失点」が重くのしかかる。仮にグループステージ最終戦で勝利して勝ち点3を得たとしても、他グループの3位とは得失点差での勝負となる。

 大量得点でレバノンに勝利しなければ、決勝トーナメント突破は難しいだろう。

苛立ち抑えて集中力高めたい

 戦力的にはどうだろうか。

 FIFAランキング81位のレバノン。数字だけ見ると同109位の北朝鮮よりも上だが、ここまでレバノンも2敗しており、実力差はそこまでないと見られる。

 しかし、2連敗の北朝鮮のチーム状況はそこまでいいとは言えない。

 初戦の5バックからカタール戦は4バックに切り替えたが、ことごとくサイドを崩され、6失点での大敗。

 相手のスピードに置いていかれるシーンが目立ち、守備でもマークの甘さから簡単に失点を許していた。カタールのFWアルマエズ・アリに4得点を許してしまったが、終盤では完全に集中力が切れてしまっていた。

 それに北朝鮮に6枚のイエローカードが出され、その中でも主将のFWチョン・イルグァンが2枚のイエローカードで退場処分となった。90分間の試合を見た限りでは、思うような試合運びができずに苛立っていた印象は否めない。

エースFWハン・グァンソンは見せ場作れるか

 在日コリアンJリーガーのMF李栄直(東京ヴェルディ)は、カタール戦後にこう語っていた。

「戦い方としては基本的には一戦目と変わらずカウンター狙いでした。ただ、ファーストディフェンスをどこから始めて、どこで取り切るのかを自分も含めて、チーム全体がまだしっかり理解できていない部分があると感じています。後手で守ろうとするので、相手について行けない部分があった。1対1の状況を作られて、個人の能力に負けてしまっていました」

 反省を口にする李栄直だが、少しの光明はある。

「正直、レバノン戦も難しい試合になると思います。ただ、自分たちがしっかりボールをとれたときのカウンターは、しっかり前までつなぎ、得点チャンスにまで持っていけることは分かりました」

 数少ないチャンスをものにできるかどうか。鋭いカウンターの起点になるチョン・イルグァンはカタール戦でのレッドカードで、レバノン戦は欠場となる。だが、エースのFWハン・グァンソン(ペルージャ)が戻ってくるのは朗報だ。

 ハン・グァンソンは初戦のサウジアラビア戦で2枚のイエローカードで前半で退場処分となり、第2戦のカタール戦は出場停止となっていた。

 20歳のエースは今大会、まだ見せ場を作れておらず、フラストレーションがたまっていることだろう。

李栄直「このまま終われない」

 李栄直も「ハン・グァンソンの能力はアジアでもトップクラス。チームの中でも前線で戦える選手の一人」とその能力の高さを認めており、エースとしての仕事をこなせるのか真価が問われるところ。

 さらに李は「このまま日本に戻れない」と意気込む。

 「まだ最後まで諦めていません。しっかりと足跡を残して帰りたいし、得るものは得たい。応援してくれる人のために1勝目指してがんばります」

 最後はきっちりを1勝して、意地を見せてもらいたいところだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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