鹿児島県指宿市山川大山にある指宿枕崎線の西大山駅は「JR日本最南端の駅」として知られている。平成15（2003）年8月10日に沖縄県のゆいレールの赤嶺駅が開業するまでは日本最南端の駅だった。

ホームからは日本百名山の一つ・標高924ｍの開聞岳を望むことができる。ホーム端に建つ「JR日本最南端の駅」の標柱と開聞岳のツーショットはこの駅を訪れた人なら必ず写真を撮る定番の構図だ。観光客がホームに降りて撮影できるよう一部列車は当駅で数分間停車する。

このように本数の少ない列車で訪れる観光客向けのサービスもある西大山駅だが、観光客の多くは自家用車やバスでこの駅を訪れる。駅前には駐車場が整備され、日によってはひっきりなしに観光バスがやってきて、ツアー客が駅前に降りたつ。バスツアーの観光客が多く訪れるその姿は駅というよりもバスツアーの定番観光地といった雰囲気だ。

駅周辺に人家は少ないが、中園久太郎商店という漬物工場とそこが運営する土産物屋「かいもん市場久太郎」があり、観光客は駅だけを見て帰るのではなくここで買い物をしてから去って行く。ここの名物はマンゴージェラートで、土産物だけでなく西大山駅の到達証明書も販売されている。

もはや鉄道で訪れる人はほんの一部になってしまっている西大山駅だが、停車する列車は下り7本、上り8本。列車の間隔が大きく開く時間帯もあり、不便なダイヤだが、うまく組み合わせて訪問するという手もある。本数が少ないからこそ「はるばる来た」という達成感も味わえるはずだ。