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藤井聡太名人、4連勝防衛か? 豊島将之九段、反撃の1勝あげるか? 5月18日から名人戦七番勝負第4局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月18日・19日。大分県別府市・割烹旅館もみやにおいて、第82期名人戦七番勝負第4局▲豊島将之九段(34歳)-△藤井聡太名人(21歳)戦がおこなわれます。

 七番勝負はここまで藤井名人の3連勝。この第4局でも藤井名人が勝てば、防衛、2連覇を達成します。

 第3局の翌日、藤井名人は次のように語っています。

藤井「もちろん防衛に向けて一歩近づけたかなという感触はあるんですけど。ただ、七番勝負ですとやっぱり、4勝して初めて1勝と言えるかなと思うので。そういう点では次の対局もこれまでと変わらない気持ちで臨みたいと思っています」

 藤井名人と豊島九段の通算対戦成績は藤井25勝、豊島11勝。現在は藤井名人が12連勝中です。

 藤井名人の今年度成績は4勝2敗です。

 八冠をあわせもつ藤井名人。伊藤匠七段の挑戦を受けている叡王戦では、1勝2敗でカド番に追い込まれています。6月に開幕する棋聖戦五番勝負では、山崎隆之八段の挑戦を受けます。王位戦では5月14日におこなわれたリーグ最終戦の結果、渡辺明九段と斎藤慎太郎八段が挑戦者決定戦に進んでいます。

 豊島九段は今年度に入ってから名人戦3局、王位リーグ3局で合わせて6連敗中と苦戦が続いています。

 長い将棋界の歴史では、これまで3連勝から4連敗した例は2回しかありません。また、名人戦では1度もありません。データ的には、藤井名人防衛の可能性が高いといえそうです。しかし将棋は最後までなにが起こるかわからないゲーム。藤井名人に6連勝したことがある棋士は豊島九段のほかにいません。まずは反撃の1勝が期待されるところです。

 第4局の先手番は豊島九段です。第2局は豊島九段先手で、相掛かりからひねり飛車模様と、工夫した作戦が見られました。第4局ではどういった作戦を取るのかが、まず注目されるところです。

第83期順位戦A級

 名人戦七番勝負はまだ進行中ですが、順位戦はすでに新年度の対戦表が発表されています。A級1位には名人戦の敗者が入ります。

 名人戦敗者の初戦の対戦相手は佐々木勇気七段です。

 A級1位は次期名人戦に再度登場する有力候補でもありますが、今期は先手番4局、後手番5局と、先手番が1局少ない点が、わずかに不利となります。

 今期は千田翔太新八段(30歳)と増田康宏新八段(26歳)がA級1期目で初参戦となります。

 藤井現名人(21歳、A級以上3期)、豊島現九段(34歳、A級以上8期)も含めて、現時点での11人の平均年齢は31.7歳、A級以上の平均在籍期数は5.3期と、非常に若いメンバー構成といえそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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