鈴鹿8耐が仰天の秋開催、11月1日決勝に延期!43回の歴史で初めて。
新型コロナの影響は真夏のオートバイの祭典「鈴鹿8耐」(7月19日決勝)にも及ぶことになった。開催サーキットの鈴鹿サーキット(三重県)は4月27日にプレスリリースを出し、コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース・第43回大会を10月30日(金)〜11月1日(日)に延期すると発表した。
異例の秋開催に変更
鈴鹿8耐は今年、東京オリンピックの開催に配慮する形で、恒例の7月最後の週末から1週前倒しするスケジュールになっていた。
東京オリンピックはすでに1年後に延期されたものの、日本のコロナウィルス感染拡大の影響は日に日に大きくなっていくばかり。
8月開催の「阿波踊り」や「ねぶた祭り」など伝統の祭りが中止されていく中、夏の大規模イベント開催の見通しは非常に難しい状況になっていったと言えるだろう。
そんな中、鈴鹿8耐は中止ではなく「延期」という選択肢をとった。逆に当初、秋に開催予定だった「全日本ロードレース選手権・MFJグランプリ」を中止して、その日程に延期した。
これは鈴鹿8耐がFIM世界耐久選手権(EWC)のシリーズ戦の1戦であることも影響しているだろう。参加チームの多くは日本のチームだが、毎年10チームほどの海外チームが来日し、近年はシリーズの最終戦として開催されてきた。
ただ、ヨーロッパ各国が今も都市封鎖や外出制限を行うロックダウンの状態にあり、欧州での夏の大規模イベント開催は不可能。ましてや国をまたいでの移動もいつ解除されるか見通せない状況だ。
鈴鹿8耐で優勝争いをするのは日本メーカーのワークスチームや日本拠点のスポット参戦のチームであるが、FIM世界耐久選手権の年間チャンピオンを争う海外チームが来日できないようでは成立しない。11月1日決勝というのは、ヨーロッパ拠点の彼らが来日でき、なおかつ現実的に鈴鹿サーキットで2輪の大規模レースイベントが開催できるギリギリのタイミングということだろう。
今年で43回目を迎える鈴鹿8耐だが、他の世界選手権との兼ね合いで7月最終週を外れたことは過去にもあったが、秋に季節が変わっての開催は前例がない。
ヤマハワークスは活動休止に
秋になって、コロナ禍が終息し、明るくイベントが開催できるようになっていることを心から祈りたいものだが、国際レースは選手やスタッフの渡航制限が影響する可能性が大きく、なかなか先は見通せない。
今年の鈴鹿8耐に関しては、昨年優勝のカワサキワークス「Kawasaki Racing Team」が早々と参戦を発表。ジョナサン・レイ/アレックス・ロウズ/シャビ・フォーレスという優勝経験者2人を含む盤石の体制だ。
しかし、チームの中心となるのは「スーパーバイク世界選手権」(WSBK)を戦うカワサキワークスのメンバーで、ヨーロッパがベースの人達だ。WSBKも開幕戦のフィリップアイランド(オーストラリア)でのレース以降、全て延期されている。現状では新しい鈴鹿8耐の日程は、10月24、25日決勝のスペインと11月7日、8日のイタリアのWSBKレースの間になっており、過密スケジュールの中でレースをすることになる。
一方でカワサキの最大のライバルであるヤマハは今季、鈴鹿8耐でのワークス活動を休止する。これはコロナ禍の影響が出る前から決定していたことだが、ヤマハはEWCの「YART」にワークスライダーの野左根航汰(のざね・こうた)を送り込み、このチームをトップチーム体制とする。
ホンダは新型マシンの熟成に朗報?
そして今季、新型マシン、CBR1000RR-Rを投入して形勢逆転を狙っているホンダは体制発表等を行なっていないものの、ワークスチーム、ワークスマシンの参戦が期待されている。
新型CBRはパワフルで抜群のトップスピードを誇るものの、3月のテストではまだ眼を見張るようなタイムは記録されずじまい。鈴鹿8耐の開催時期が3ヶ月後ろにズレたものの、外出自粛を受け、テスト走行もストップしている状態だ。
ホンダワークス「HRC」は今季からレース活動の軸足をWSBKに移しているが、そのWSBKも開催休止中。新型マシンの熟成は実戦レースとその事前テストを通じて進められていくものなので、開発スピードを上げられないのは実に辛い。
日本における開発の舞台でもある全日本ロードレースJSB1000は8月9日〜10日のスポーツランド菅生(宮城県)からの開幕を予定しており、国内での熟成も時間が限られている。秋開催の8耐で優勝を争える状態を作れるかは、いつテスト走行、実戦参加にGo!が出されるか次第だ。
コロナウィルスの感染拡大の影響は国内のモータースポーツにも甚大な影響を与えている。緊急事態制限が出されている今は「STAY HOME」に協力して、1日も早くチームや選手たちの活動が再開できる状態になるよう祈るしかない。