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次の試合を観に行くためのトップリーグ週間ベスト15(第14節)【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
目下トライランク首位のサントリー中つる。今季、大ブレイクしたスピードスターだ。(写真:アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグ第14節(1月7日~1月8日)の私的ベストフィフティーンを紹介します。これからラグビーを好きになってもらう方の見どころ探しに活用していただければ幸いです。備考は文末にございます。

昨秋のワールドカップなどで何となく勝手を知った方向けにまとめております。もしわからない箇所がありましたら、「まぁ、要は、そういう感じなのね」と読み飛ばしていただいてかまいません。きっと、実際の観戦時に照らし合わせられることと存じます。

トップリーグの第15節は1月14日、各地でおこなわれます。詳細はこちらをご確認ください。

1 左プロップ

稲垣啓太(パナソニック)…トヨタ自動車戦に先発。最後の最後まで運動量は衰えず、仕掛けながらのパス、防御網を引き締めるタックルなど各所で存在感を示した。東芝戦に先発した石原慎太郎(サントリー)は、スクラムでは隣のフッカーの青木佑輔と密着。対面の浅原拓真の押し込みを防いだ。五十嵐優(キヤノン)はNTTコム戦でのスクラムを優勢に保ちながら、疲れのたまる後半30分頃にも強烈なタックルを繰り出した。

2 フッカー

堀江翔太(パナソニック)…トヨタ自動車戦の後半開始早々、インターセプトから70メートルを駆け抜けトライ(コンバージョンゴール成功でスコアは15―0)。続く5分頃、チーム全体でチェイスライン(キックを追う隊列)を押し上げながら、タックル。次のフェーズで相手は落球した。続く8分には攻撃で魅せる。防御を引きつけながらのパスで、ウイング福岡堅樹(後述)の快足を活かす。間もなく、フランカーのデイヴィッド・ポーコックがインゴールを割った。庭井祐輔(キヤノン)は後半26分、敵陣ゴール前でペナルティーキック得るやスクラムを選択。ここから3度にわたって組み勝ち、相手の反則を誘った。度重なる組み直しの過程でスクラムの組む場所が移動されたことなどから、最後はペナルティーゴールをチョイス。19―15と点差を広げた。

3 右プロップ

伊藤平一郎(ヤマハ)…スクラムを押し込み、得点生むモールでも相手防御の手からボールを守った。畠山健介(サントリー)は画面に映り続けた。レイルア・マーフィー(キヤノン)はNTTコム戦の後半12分から登場してスクラム、鋭い出足での防御で強さ示す。

4 ロック

ヴィリー・ブリッツ(NTTコム)…チームは敗れたが、鋭いキックチェイスや抜け出した相手を追う守りで光る。金昊範(クボタ)は雨中の神戸製鋼戦で先発。序盤に相手の危険なタックルに倒されながらも、持ち前の頑健さを貫く。特に、ランナーへの堅実なサポートを重ねる。例えば後半19分、敵陣深い位置でキックチャージを決めたその足で弾道を追い、接点のボールの上を乗り越える。間もなく、チームは勝ち越し点を決める。

5 ロック

真壁伸弥(サントリー)…試合終了間際にも強烈なタックルを繰り出すなど、献身的に動き回る。相手防御を巻き込む突進でスコアもおぜん立て。トヨタ自動車戦に出た谷田部洸太郎ヒーナン ダニエル(以上パナソニック)もタックルの連続で快勝劇を支える。

6 ブラインドサイドフランカー

ヘル ウヴェ(ヤマハ)…守ってはこぼれ球を拾った相手選手を掴み上げ、そのまま球をもぎ取る。スクラムでも膝を地面すれすれの位置まで落としながら、前方のプロップのお尻をプッシュ。ラインブレイクでも存在感を発揮した。リアム・メッサム(東芝)も防御の密集戦で存在感。

7 オープンサイドフランカー

ジョージ・スミス(サントリー)…相手を引きつけながらのパスなど、おもに攻撃面で効力を発揮。ピーター・ラピース・ラブスカフニ(クボタ)は前半10分、チームの反則の繰り返しで一時退場処分を食らう。しかし、出場時間では危機を救うジャッカルなどで光った。三村勇飛丸(ヤマハ)はタックル、モールの壁役などで渋く光った。

8 ナンバーエイト

アダム・トムソン(キヤノン)…前半20分、敵陣22メートル右中間。防御を裂いたセンターのティム・ベネットをサポートし、球をもらうとタックラーをかわしながら右大外へ。バックフリップパスをフルバックのウィリー・ルルーへ繋ぎ、ウイングの橋野皓介の勝ち越し点をもたらす。後半30分にはラインアウト後の接点脇を抜け出しだめ押しトライ。守っても要所でジャッカルを繰り出すなど、ピンチとチャンスの場面で光った。ワイクリフ・パールー(トヨタ自動車)は相変わらずの突破力。

9 スクラムハーフ

流大(サントリー)…接点で東芝の圧力を受けながらも空いた区画へテンポよく配球。ペナルティーキックからの速攻でスコアも演出した。田中史朗(パナソニック)はトヨタ自動車戦の後半20分から登場。接点周辺で球を持ち出しては、タックラーを引きつけてのパスで得点をおぜん立てした。

10 スタンドオフ

ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)…豊田自動織機戦に先発し、スコアメイクに絡んだ。前半34分、シザースパス(球の受け手と走路を交差させる動き)でアウトサイドセンターのウィリアム・トゥポウのトライを演出。後半8分には似たような位置でパスをもらうや、鋭いステップで防御を交わし自らインゴールへ。続く38分には中盤での大きな突破から、ナンバーエイトの豊田将万のだめ押し点を導いた。グラウンド中盤より後ろでは、飛び出す防御の裏へのロングキックを披露。首尾よく陣地を取った。小野晃征(サントリー)は多彩な仕掛けで味方を前に出し、ベリック・バーンズ(パナソニック)ジャン・クロード・ルース(キヤノン)はエリア獲得のキックで光った。

11 ウイング

福岡堅樹(パナソニック)…キックチェイスや得点場面で持ち味の快足活かす。後藤輝也(NEC)はボールタッチへの意欲を示し、持ち場のタッチライン際以外の場所でもスペースを切り裂いていた。

12 インサイドセンター

ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ)…突撃役。雨中で攻撃時のミスを重ねるチームにあって、ひたすら防御網に杭を打った。山崎雄希(コカ・コーラ)は自陣深い位置でのロータックルで光った。

13 アウトサイドセンター

ライオネル・マプー(クボタ)…神戸製鋼戦に先発。対面はジャック・フーリー。南アフリカ代表経験者同士のマッチアップだった。守ってはそのフーリーを抱え上げるタックルを繰り出し、攻めては、抜け出した味方へのサポートでトライをマーク。後半8分頃には、味方のキックを追いかけ、捕球した相手に絡みつくプレーでペナルティーキックを獲得した。リチャード・カフィ(東芝)は防御(前半26分には自陣インゴール手前左隅でのタックルが「危険」とされて一時退場処分を食らったが、そもそもその場所をカバーできたこと自体が出色)、ジョーダン・ペイン(NEC)は長距離を駆け抜けてのトライでそれぞれ存在感を示す。

14 ウイング

中つる隆彰(サントリー)…東芝戦の前半8分。球をもらった瞬間のスピードチェンジで、目の前の防御を振り切る。先制トライを奪取。この日は持ち前の加速力で計3トライを挙げ、トライランキング首位をキープした。石垣航平(コカ・コーラ)は頑健な身体でのタックルで魅せた。

15 フルバック

塚本健太(サントリー)…後半25分、相手防御の死角へ駆け込んでパスをもらいトライを奪う。サニックス戦での小松大祐(リコー)も、それと似た形での得点をマーク。小柳泰貴(コカ・コーラ)は、0―5とリードされて迎えた前半10分頃に好守を繰り出す。大外を抜け出す選手にタックルし、ピンチを防いだ。

<備考>

・ポジション解説は以下のURLのテキスト文中の「■」部分をご参照ください。

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(前編)

2019年W杯に向け…。ラグビー版「ドラフト会議」スカウティングレポート?(後編)

・背番号4、5(両ロック)、背番号6~8(フォワード第3列)と背番号11、14(両ウイング)は、ポジションの類似性から当日のゲームとは異なる背番号で選出させていただいていることがあります。

・基準は独断ですが、なるべく「その試合での勝利(もしくは勝利を目指す過程)に貢献した選手」をご紹介します。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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